猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ブルー・ジャスミン

2014-05-24 03:49:45 | 日記
アメリカ映画「ブルー・ジャスミン」を観にいった。
エレガントで美しい女性ジャスミン(ケイト・ブランシェット)が、サンフランシスコ空港に
降り立った。彼女はニューヨーク・セレブリティ界の花として夢のようにリッチな生活を
送ってきたが、実業家の夫ハル(アレック・ボールドウィン)がFBIに逮捕され、あらゆる
資産を没収されてすっからかんの身で、精神安定剤とウォッカなしでは過ごせない。
ジャスミンが身を寄せたのは離婚して2人の息子を育てる庶民的なシングルマザーの妹・
ジンジャーの質素なアパート。外見も性格も異なる彼女たちは、血の繋がりはないものの、
同じ里親の元で育った姉妹だった。
ジンジャーは金もないどころか負債もあるというのにファーストクラスの座席を予約し、
高級ブランドの洋服やバッグを身につけたジャスミンに呆れ、ジャスミンは前夫、新しい
恋人と、貧乏で品のない男を選ぶジンジャーが理解できなかった。ジャスミンの頭の中は、
華やかな表舞台に返り咲くために人性を立て直すことでいっぱいだった。

ウディ・アレン監督のロマンチック・コメディーである。コメディーといっても締めると
ころは締めていて、おもしろかった。ケイト・ブランシェットの演技が圧巻。彼女はこの
作品でアカデミー主演女優賞を受賞している。私はケイト・ブランシェットは「エリザベス」
や「エリザベス・ゴールデン・エイジ」でのエリザベス1世のイメージが強いのだが、こう
いうコミカルな演技もさすがにうまいんだな、と思った。
とにかくセリフが多く、場面転換も多い映画で、まあアメリカ映画らしいのかな。ジャス
ミンがセレブ生活を送っていた頃のシーンが度々挟まれるのだが、その生活は本当にゴー
ジャスで、タメ息が出るよう。あんな生活1度はしてみたいものだ。ジャスミンは財産を
失っても、その頃の生活が忘れられない。虚栄心だけは人一倍高く、ずっとブランドの服
やバッグやアクセサリーを身につけている。あの上着ってシャネルなんだなあ、知らなかっ
た。エルメスのバーキンは私にもわかったが。
ほとんど働いた経験のないジャスミンは、仕方なく歯科医院の受け付けの仕事を紹介して
もらうが、医師の下心に嫌気がさして辞めてしまう。薬と酒が手放せない。独り言も言う。
もうメチャクチャだ。
大体ジャスミンは知的に見えてそう頭が良くない。夫が詐欺行為をやっていたことも、浮気
三昧だったことも、全く気づいていなかった。そんな妻っているだろうか。あげくの果てに
夫は逮捕、セレブ生活も終わりである。そりゃ精神不安定にもなるだろう。
でもこんな愚かなジャスミンが、不思議と魅力的に描かれている。彼女には邪気がないのだ。
妹のジンジャーはスーパーで働くシングルマザーだが、恋人もその友人たちも趣味がいい
とは思えない。ジャスミンの虚栄心も愚かだが、ジンジャーも愚かだ。良く言えば気さく
だが、悪く言えば下品。この姉妹、性格はまるで違うが、頭が悪いところは共通している
ようだ。どっちもどっちと言ったところか。
おしゃれでコミカルで悲しくて、おもしろい映画だった。



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