猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

白いカラス

2017-08-12 23:26:37 | 日記
2003年のアメリカ映画「白いカラス」。
マサチューセッツ州の名門大学で学部長を務めていたコールマン・シルク教授(アン
ソニー・ホプキンス)は、ある日の講義で何気なく発した「スプーク」という言葉が、
黒人学生への差別発言だと波紋を呼んでしまい、大学を辞職に追い込まれてしまう。
しかも、この出来事にショックを受けた妻は急死してしまい、コールマンは絶望する。
半年後、未だ怒りの収まらないコールマンは、作家のネイサン・ザッカーマン(ゲイ
リー・シニーズ)を訪ね、自分の屈辱の経緯を本にしてくれと依頼する。尻込みした
ネイサンだが、孤独な2人の間には友情が芽生えていった。やがてコールマンはネイ
サンに、フォーニア・ファーリー(ニコール・キッドマン)という若い恋人がいると打
ち明ける。義父からの虐待や夫の暴力、子供の死といった悲惨な過去を背負った女性
だった。一方コールマンは、長年連れ添った亡き妻にさえも隠していた、出自にまつ
わる秘密があった。

重たい人間ドラマである。老教授のコールマン・シルクは、ある日全く授業に出てこ
ない、顔も知らない2人の学生のことを「スプーク」と言った。スプークとは幽霊の
ことで、教授は幽霊学生という意味で言ったのだが、スプークには黒人に対する蔑称
の意味合いもあったことで、人種差別発言だと糾弾され、大学を辞職に追い込まれて
しまう。コールマンには差別意識は全くなく、大学を訴えると息巻くが、ショックを
受けた妻はコールマンの腕の中で死んでしまう。
物語の中で、コールマンの出自の秘密が明らかにされていく。コールマンに人種差別
意識があるわけがないのだ。それについて、邦題の「白いカラス」はよくできている
なあと思った。変な邦題が多い中でこれは良かった。原題は「The Human Stain」で、
これももちろんいい。
とてもいい映画だと思うのだが、今ひとつ好きになれなかったのはニコール・キッド
マンが演じるフォーニアという女性のせいだと思う。彼女は悲惨な過去を背負い、今
でも元夫に嫌がらせを受けている。警察に通報する騒ぎになったこともある。でも、
あまり気の毒に思えないのだ。ニコール・キッドマンは相変わらずとても美しいが、
フォーニアはガサツでアバズレで怒りっぽい女性である。私は個人的にこういう人は
嫌いなのだ。つまりフォーニアに魅力を感じず、「容姿だけの女」に見えてしまうの
だ。ネイサンや友人が「あの女とは別れた方がいい。君のためにならない」と忠告す
るにもかかわらず、コールマンは彼女と別れない。人生最後の恋だと思っているから
というのもあるが、コールマンがフォーニアを愛する理由が私にはよくわからなかっ
た。
コールマンがフォーニアと別れなかったために、悲惨な結末を迎えてしまう。人種差
別問題や老人の恋をテーマにしており、最初から最後まで暗く重たいが、見応えのあ
る映画だった。アンソニー・ホプキンスの演技はやはり素晴らしい。



全般ランキング
人気ブログランキング
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする