元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「蝶の舌」

2011-06-18 07:53:05 | 映画の感想(た行)
 (原題:La Lengua de las Mariposas)99年スペイン作品。1936年のガリシア地方の小さな村。病弱だった8歳の少年が尊敬できる立派な教師と出会い、前向きに生きることを学ぶが、スペイン内戦の勃発によりその楽しい日々は終わりを告げることになる。マヌエル・リヴァスによるスペインの国民的な有名小説を「にぎやかな森」などのホセ・ルイス・クエルダ監督が映画化したもの。

 公開当時は“予告編だけ見れば作品の全容がつかめてしまう”と思ったものだ。予告編に接した観客にとって、本編を観る価値はあるのかと思ってしまう。映画の出来自体は可もなく不可もなし。映像は美しいし子役も達者なんだけど、展開が予定調和で無駄なエピソードも多い。

 スペイン内戦という歴史的事実に映画自体が寄り掛かりすぎ。もっと登場人物の内面に容赦なく迫るか、思い切った作劇の工夫をしないと、すぐに忘れ去られてしまうだろう。

 それでもハヴィエ・サルモネスのカメラによる映像は痺れるほどに美しい。先生は生徒たちを森へ連れ出し、大自然の不思議さを説いていくシーンは本作のハイライトであろう。こってりと色が乗った自然の風景と、蝶の舌の接写なども併せて、奥行きのある画面を作り上げている。その意味では、観る価値はあるかもしれない。

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