元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ALWAYS 続・三丁目の夕日」

2007-11-14 06:42:57 | 映画の感想(英数)

 評価できる点が二カ所だけある。ひとつめは特殊効果の専門家でもある山崎貴監督が嬉々として撮ったであろう“冒頭のシーン”だ。レトロな“TOHO SCOPE”のタイトルバックから続く、東宝の“代表的スター”を登場させてのお遊びには、手練れの映画ファンも大喜びだ。山崎監督は本シリーズで実績を作った後、また本格的に“この手の作品”を手掛けるかもしれず、その点は楽しみである。

 ふたつめは、堤真一扮する鈴木オートの主人が同窓会に出席するくだりである。同窓会と言っても学校のそれではなく、戦地で行動を共にした同じ部隊の者達が久々に顔を合わせる集まりである。彼はそこでかつての“戦友”と再会するが・・・・このシークエンスは秀逸だ。昭和30年代前半は、やがて来る東京オリンピック等を契機とした高度成長時代の助走の時期だ。その戦後の発展を担ったのは、戦争をリアルタイムで経験した戦中派の人々である。日本を何とか復興させ、戦前に匹敵するような国際的地位をつかみたいと強く誓って頑張った彼らの心の底には“戦争の影”が存在していたことを、改めて実感する。

 さて、それ以外の部分は前作と同様、ただノスタルジーに乗っかっただけの退屈な人情ドラマだ。舞台設定や練り上げられた大道具・小道具を観て、団塊世代は懐かしさに浸るのだろうが、それより下の年代である私としてはまるでピンと来ないというのが本音。

 ただし、40代以下の観客にアピールできるように、たとえば昭和40年代以降を舞台として、本作のようなコンセプトの映画を作ったとして客を呼べるかといえば、それは違うだろう。団塊世代という特殊な立ち位置にいる層の頭数だけは多いということが、昭和30年代をネタにしたズブズブの懐古ドラマを製作可能にしたと思われる。

 この世代こそが、戦後日本を良い意味でも悪い意味でも(実は「悪い意味」の方が大きいとは思うが ^^;)代表してきた者達であるという厳然とした事実が存在しており、それより下の世代は、彼らの“後始末”をやらされるハメになっていると言って良い。呑気にノスタルジアだけに浸っていられるのも、ある意味彼らの“特権”かもしれない。

 キャスト陣については特筆するものはないが、吉岡秀隆演じる三文文士から子供を取り返そうとする大金持ちの父親に扮した小日向文世がちょっと印象的。こういう善人顔が憎まれ役をやるのは効果的で、近年悪役のオファーも目立っているのも頷ける(笑)。

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