ローマカテゴリーに入れることに抵抗を感じる。
もし私がヒマと権威を兼ね備えた歴史学者ならば、歴史上の人物の美貌の評判の信憑性を検証する企画をたてたい。そして、時代や地域で区分した美形ランキングなんてものをやってみる。
メンクイを自認する藤本ひとみさんは、マルグリット・ド・ヴァロアの容姿レベルについてこまごまと検証を加えていたことがある。(こういう人が、オクタヴィアヌスを「知的でハンサム」と言い切ってくれたことは妙に嬉しい) 永井路子さんは、伝説に捕らわれずにシビアなので、こういう人が美人と断言していると信用がおける。おまけに塩野さんも加えて、世界史上の美形の品定め対談なんて企画はないもんだろうか。男性作家がいてもいいけど。
また飽きもせずこんなことを考えてしまうのは、先日の『超歴史ミステリー!! 女王クレオパトラの墓を探せ!!古代エジプト最後の謎に米倉涼子が挑む』とかなんとかいう番組のせい。クレオパトラの墓のありかに対して私は良くも悪くも興味ない。謎であるほうがロマンチックじゃないかとも思う。だから、番組の本筋は実のところどうでもよくて、ローマサイドがどう説明されるかーーバカなこと言ったらツッコミいれてやるぞーーという点を専ら見ていた。まぁ、たいしてつっこんだことも言わず、私が腹をたてるような結果にはならなかった。
クレオパトラものに対して、私が目を光らせるのは次の点である。
1、パトラの容姿について。
「絶世の美女」と賞賛してると× 容姿じたいでなく教養がポイント ○
2、オクタヴィアヌスの容姿
美貌と記している ○ みっともないかのように描いていると×
3、カエサルの後継者
カエサリオンこそ当然後継者、遺言状は偽者!またはずっと前に書かれたもの、なんて調子 ×
オクタは遺言状の定めた正当な後継者 ○
4、最後のパトラに対してのオクタの態度
彼まで彼女に気があったように描く ×
あくまで冷静 ○
・・・正直、パトラを絶世の美女として持ち上げていると私はムカムカするのだが、映画や小説などフィクションの枠でしているならば、そういう設定なのだとして我慢もできる。しかし、歴史や伝記、つまり読者は本当のことだと思って接するジャンルでだとモンクも言いたい。
この点について上記の番組は、プルタークを紹介はするが、「しかしプルタークはクレオパトラを見たわけではない」と言っていて、どうも、美女という幻想を守り続けていたい態度がありありと伺えた。こういうのは腹は立たないです。史料にこう書いてあることは知ってる、でも夢は見ていたい、という思いいれは否定しない。地元民の感情だってあるし。
ギリシアの現代の「クレオパトラ」(という名の持ち主)さんたちはきれいでした。引用されていた『レジェンド・オブ・エジプト』(なんてぱっとしないタイトル!)のレオノラ・ヴァレラよりもずっと。
この際一言。
いま発売中の「ほんとうに怖い童話」というレディスコミック雑誌に、さいとう邦子『クレオパトラ』が載ってます。男主人公がオリキャラで、カエサルとの接触までで終わってるので、オクタなどの出番はないです。女王としての使命をわきまえた態度は好感が持てます。
「中世拷問史」なんてアオリ文句がついてて手に取りにくいですが、関心のある方はご覧下さい。表紙にタイトル載ってません。
コメント
私的つけたし (サラ) 2006-07-08 21:17:57
チェックポイントに、私的な意見を述べると、
「カルプルニアが不当に貶められていないこと」が追加されます。
一歩譲って、パトラ自身がカルプルニアを「石女!」と蔑むのはよしとします。(彼女の立場では、それが、カルプルニアに対する最大の優位点でしょうし) でも、作者の側から何のフォローもなく、カエサルまでが、尻馬にのって、カルプルニアをないがしろにしたように描くのは、品性が低いと思います。 と、書くと、クレオパトラものって、ほとんどが、特に小説は、「品性が低い」にあてはまっちゃうんですよね。
こういう点でマッシーは (レーヌス) 2006-07-09 14:12:09
マッシーの場合、カルプルニアのキャラは決して良くはない、むしろ悪妻なんですが(彼女なりに夫を案じてはいるのですが)、それに対して私があまり不快に思わないのは、「石女」としてさげすむことをだれもしていないから(語り手のデキ・ブルもカエサルも。本人も卑屈ではなく高飛車、むしろ夫側に原因ありだと言っている)、そしてクレオパトラを持ち上げる目的ではないから、です。 エセックス版でどうだったか記憶にありません。
もし私がヒマと権威を兼ね備えた歴史学者ならば、歴史上の人物の美貌の評判の信憑性を検証する企画をたてたい。そして、時代や地域で区分した美形ランキングなんてものをやってみる。
メンクイを自認する藤本ひとみさんは、マルグリット・ド・ヴァロアの容姿レベルについてこまごまと検証を加えていたことがある。(こういう人が、オクタヴィアヌスを「知的でハンサム」と言い切ってくれたことは妙に嬉しい) 永井路子さんは、伝説に捕らわれずにシビアなので、こういう人が美人と断言していると信用がおける。おまけに塩野さんも加えて、世界史上の美形の品定め対談なんて企画はないもんだろうか。男性作家がいてもいいけど。
また飽きもせずこんなことを考えてしまうのは、先日の『超歴史ミステリー!! 女王クレオパトラの墓を探せ!!古代エジプト最後の謎に米倉涼子が挑む』とかなんとかいう番組のせい。クレオパトラの墓のありかに対して私は良くも悪くも興味ない。謎であるほうがロマンチックじゃないかとも思う。だから、番組の本筋は実のところどうでもよくて、ローマサイドがどう説明されるかーーバカなこと言ったらツッコミいれてやるぞーーという点を専ら見ていた。まぁ、たいしてつっこんだことも言わず、私が腹をたてるような結果にはならなかった。
クレオパトラものに対して、私が目を光らせるのは次の点である。
1、パトラの容姿について。
「絶世の美女」と賞賛してると× 容姿じたいでなく教養がポイント ○
2、オクタヴィアヌスの容姿
美貌と記している ○ みっともないかのように描いていると×
3、カエサルの後継者
カエサリオンこそ当然後継者、遺言状は偽者!またはずっと前に書かれたもの、なんて調子 ×
オクタは遺言状の定めた正当な後継者 ○
4、最後のパトラに対してのオクタの態度
彼まで彼女に気があったように描く ×
あくまで冷静 ○
・・・正直、パトラを絶世の美女として持ち上げていると私はムカムカするのだが、映画や小説などフィクションの枠でしているならば、そういう設定なのだとして我慢もできる。しかし、歴史や伝記、つまり読者は本当のことだと思って接するジャンルでだとモンクも言いたい。
この点について上記の番組は、プルタークを紹介はするが、「しかしプルタークはクレオパトラを見たわけではない」と言っていて、どうも、美女という幻想を守り続けていたい態度がありありと伺えた。こういうのは腹は立たないです。史料にこう書いてあることは知ってる、でも夢は見ていたい、という思いいれは否定しない。地元民の感情だってあるし。
ギリシアの現代の「クレオパトラ」(という名の持ち主)さんたちはきれいでした。引用されていた『レジェンド・オブ・エジプト』(なんてぱっとしないタイトル!)のレオノラ・ヴァレラよりもずっと。
この際一言。
いま発売中の「ほんとうに怖い童話」というレディスコミック雑誌に、さいとう邦子『クレオパトラ』が載ってます。男主人公がオリキャラで、カエサルとの接触までで終わってるので、オクタなどの出番はないです。女王としての使命をわきまえた態度は好感が持てます。
「中世拷問史」なんてアオリ文句がついてて手に取りにくいですが、関心のある方はご覧下さい。表紙にタイトル載ってません。
コメント
私的つけたし (サラ) 2006-07-08 21:17:57
チェックポイントに、私的な意見を述べると、
「カルプルニアが不当に貶められていないこと」が追加されます。
一歩譲って、パトラ自身がカルプルニアを「石女!」と蔑むのはよしとします。(彼女の立場では、それが、カルプルニアに対する最大の優位点でしょうし) でも、作者の側から何のフォローもなく、カエサルまでが、尻馬にのって、カルプルニアをないがしろにしたように描くのは、品性が低いと思います。 と、書くと、クレオパトラものって、ほとんどが、特に小説は、「品性が低い」にあてはまっちゃうんですよね。
こういう点でマッシーは (レーヌス) 2006-07-09 14:12:09
マッシーの場合、カルプルニアのキャラは決して良くはない、むしろ悪妻なんですが(彼女なりに夫を案じてはいるのですが)、それに対して私があまり不快に思わないのは、「石女」としてさげすむことをだれもしていないから(語り手のデキ・ブルもカエサルも。本人も卑屈ではなく高飛車、むしろ夫側に原因ありだと言っている)、そしてクレオパトラを持ち上げる目的ではないから、です。 エセックス版でどうだったか記憶にありません。
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