Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

9/18(金)「清冽」南紫音のブルッフVn協奏曲

2009年09月19日 00時17分25秒 | クラシックコンサート
「日本フィルハーモニー交響楽団 第55回さいたま定期演奏会」

2009年9月18日(金)19:00~ 大宮ソニックシティ大ホール S席 1階 1列 24番 5,000円
指 揮: 飯森範親
ヴァイオリン: 南 紫音
管弦楽: 日本フィルハーモニー交響楽団
【曲目】
ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲
ブルッフ: ヴァイオリン協奏曲第1番ト短調
ベートーヴェン: 交響曲第6番ヘ長調「田園」
《アンコール》
 グリーグ: 組曲「ホルベアの時代より」(ホルベルク組曲)から前奏曲

 今日は大宮まで足を伸ばしてきた。目的はもちろん南紫音さんのブルッフ:ヴァイオリン協奏曲。南紫音さんはブルッフは初挑戦とのことで、ファンの私としては、当然待ち望んでいた。彼女と日本フィルの組み合わせでは、かつてメンデルスゾーンを聴いたことがある。この時の指揮は炎のコバケンさんだった。
 7時。指揮の飯森範親さんが登場し、序曲「プロメテウスの創造物」。う-む、オケが重い。なにやらドタバタした感じ。ティンパニの音が大きいのは日本フィルの特徴かな。弦がおとなしくて、金管が強い。
 そして2曲目。南紫音さんが濃いピンクのドレスでスラリと登場。ロン・ティボー国際コンクールで2位を受賞したのが2005年だから、もう4年の経つ。演奏に、年々貫禄が増していくように、成長の真っ最中というか、期待の星である。
 ブルッフのヴァイオリン協奏曲は、美しいメロディが次々と奏でられていく、名曲だ(ところがクラシック音楽を聴かない人はまずブルッフなんて知らない。学校で教わらないからだ)。ボクも大好きな曲のひとつである。最近では、昨年(2008年)のNHK音楽祭でのサラ・チャンの快演が記憶に新しい。
 まず、南紫音さんのヴァイオリンだが、ひとことでいえば「清冽」というところか。マジメというか清らかというか、20歳の女性らしい繊細さというか素直さというか。ひとつひとつの音を正確に弾く堅実な演奏で、ちよっと堅いかなァという気もした。もう少し流すところは流してメリハリをきかせたりしてもいいかなとも。でも技術のレベルは高いし、低音の深い音色から高音のすすり泣くようなフレーズまで、表現の幅も広く、彼女のヴァイオリンを十分に堪能できた。
 最前列の奏者の正面の席だったので、その表情もよく見えた。曲の途中、ソロの途切れる部分でホールの空間に厳しい視線を送り、集中している表情が険しい。2楽章の中盤以降、時折満足げな微笑も見られるようになり、ご自分でも満足のいく音が出ていたのだろう。彼女は、演奏の内容も演奏中の動作・仕草なども、どちらかというと淡々としている方で、感情をほとばしらせるようなところがない(優等生的?)。もう少し感情を前に出すことによって、表現に艶のようなモノが出てくるかもしれない。今後の課題だろう。



 一方、飯森範親さんの指揮と日本フィルの演奏は、この曲にはちょっと重すぎた。テンポの遅めで、リズム感がバタついて、推進力がない。弦と管と打のバランスもイマイチ。ブルッフのロマンティシズム溢れるこの曲を、若いヴァイオリニストが弾くのだから、もっと勢いがあっても良かったのでないか。突っ走るような躍動感、情熱がほとばしるようなエネルギーを感じさせる演奏をすると、この曲は多少ヘタでもBravo!!になると思うのだが、いかがだろうか。
 休憩をはさんで、3曲目の「田園」になると、さすがにオケが弾きなれているのか、指揮も暗譜だったし、音がぐっとまとまってバランスが良くなった。アンコール前に飯森さんが挨拶をし、「ウィーンを散歩して来ましたが、次の曲は…」と語っていたが、「田園」を聴きながら目を閉じてみても、ウィーン郊外の田園風景は浮かんでこなかった(実際に行ったこともないですけど)。
 アンコールは、グリーグ:組曲「ホルベアの時代より」(ホルベルク組曲)から前奏曲。弦楽だけのオーケストラ曲だが、今日一番の出来だったりして(失礼)…
 とはいえ、たった5,000円でS席でコンサートを聴けるのは、地方の名曲シリーズならでは。ブツブツ言ってますけど、けっこう楽しんでいるんですよ。南紫音さん、飯森範親さん、日本フィルの皆さん、これからも素敵な音楽を、よろしくお願いします。

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