Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

1/24(月)都響A定期/須川展也・吉野直子・永野英樹/西村朗とジョリヴェの現代曲をたっぷりと

2011年01月25日 00時54分45秒 | クラシックコンサート
東京都交響楽団 第711回定期演奏会Aシリーズ

2011年1月24日(月)19:00~ 東京文化会館・大ホール A席 1階 2列 30番 5,500円
指 揮: ヨナタン・シュトックハンマー
サクソフォン: 須川展也
ハープ: 吉野直子
ピアノ: 永野英樹
管弦楽: 東京都交響楽団
【曲目】
西村 朗: サクソフォン協奏曲「魂の内なる存在」(1999)
ジョリヴェ: ハープと室内管弦楽のための協奏曲(1952)
西村 朗: 幻影とマントラ~オーケストラのための(2007)
ジョリヴェ: ピアノ協奏曲(1951)

 東京都交響楽団の定期演奏会Aシリーズで、「日本の管弦楽の名曲とその源流」シリーズのコンサート。日本人作曲家の作品を中心に、いわゆる現代音楽のみでプログラムが構成される企画ものだ。現代ものは、単純に聴く上では面白い曲もあるし、とくに抵抗があるわけではない。だからといって、好んで聴きたいというほど好きなわけでもない。20世紀前半くらいまでなら楽しめるが、それ以降になると、ちょっと、という感じだ。
 今日のコンサートは、演奏家というよりは作曲家の顔が前面に押し出された内容になっている。アンドリ・ジョリヴェ(1905~74)の2作品は20世紀の半ばの作、西村朗さんはもちろん現役で活躍中の方で、今日の2作品もごく最近のものだ。聴き比べると、何となく、50年の隔たりは感じられるが、いずれも名作の誉れ高い作品(らしい。浅学にしてこれまで聴く機会がなかった)。

 西村朗作曲「サクソフォン協奏曲『魂の内なる存在』」は、もともとからサクソフォン奏者、須川展也さんのために書かれた曲で、サクソフォンの高度で苛烈な技巧に彩られているが、オーケストレーションは比較的単純にリズムを刻み、沖から波がだんだん大きくなって押し寄せてきて、岸の岩にドーンとぶつかるイメージを感じた。須川さんの超絶技巧的な演奏は、さすがである。
 ジョリヴェ作曲「ハープと室内管弦楽のための協奏曲」では、弦楽4部が各4名、コントラバス3名、フルート(ピッコロ)、オーボエ(コールアングレ)、クラリネット、ファゴット、トランペットが各1、ホルン2に、独奏ハープという小編成。ハーブはさすがに大きな音が出ないので、これくらいの小編成でないと聴こえなくなってしまう。それでも現代曲風に管弦楽は鋭いアンサンブルを聴かせる。急-緩-急の3楽章構成で、第1楽章にはハープの華麗なカデンツァがある。第2楽章はカンタービレで美しい曲想が垣間見える。吉野さんのハープは繊細で,技巧的にも素晴らしいのだが、やはり音量面で聞きづらく感じた箇所が多かった。5階の奥の方ではどのように聞こえたのだろう。
 西村朗作曲「幻影とマントラ~オーケストラのための」は3楽章から成る交響的な作品だが、とくにリズム面が特徴的で、2管編成のオーケストラに、マリンバ、ヴィブラフォン、ピアノ、様々な打楽器が編成され、曲全体が打楽器系のリズムと音の奔流がppからffまでダイナミックに描かれていく。今日のコンサートでは唯一の管弦楽のみの曲。
 ジョリヴェ作曲「ピアノ協奏曲」は60年前の曲だが,実に新鮮な輝きに満ちていた。急-緩-急の3楽章構成だが、第1・第2楽章は、ピアノ協奏曲というよりは、ピアノ付き交響曲のような印象を受けた。もともとが無調・変拍子で主題も曖昧なので、ピアノもオーケストラの一部のように感じた。第3楽章は協奏曲風な対比が明瞭になり、リズミカルでダイナミックなものとなる。永野英樹さんのピアノは楽譜を見ながらの演奏だったが、複雑な和音がどんどん変わりながらリズムを刻み続け、かなり高度な演奏を求められる曲のようである。

 指揮のシュトックハンマーさんは現代音楽が得意とのことで、複雑な構成のオーケストレーションの曲を見事にコントロールしていた。極めてリズム感が良く、ダイナミックな表現も素晴らしい。都響の技術の高さもいつもの通りだが、このような曲の演奏こそ、オーケストラの力量が問われるところだろう。カケがヘタだったらおそらく音楽が崩壊してしまうに違いない。とくに、ジョリヴェの曲などは、CD化された音源などより、今日の演奏の方が遥かに劇的なものを感じた。現代音楽こそ、ナマに限ると思う。
 聞き終えてみて、面白かったのは確かだが、正直に言えばよく解らない部分も多い。もちろんこちらが勉強不足なのは承知しているが、現代曲は、作曲者が何を伝えたいのかが解らない曲がしばしば見られる。作曲技法の発展の結果、いきつくところの表現技法なのか…。今日のコンサートで言えば、ジョリヴェの方が解りやすい。西村の音楽は、何故あそこまで不協和音の連続でなければならないのか、旋律よりもリズムなのか、標題がなければますます解らなくなってしまう。まあ、音楽なのだから、難しいことは考えずに、聴いて何かを感じられれば、それはそれで素晴らしいことなのだとは思うが…。
 もちろん、現代音楽もなかなか良いものだ。いつもブラームスやチャイコフスキーばっかりでは、さすがに飽きてしまうではないか。だからこそ、時々、妙に現代ものを聴きたくなることがあるのも事実だ。
 今日のレビューは、守備範囲から少々はずれているので、勉強不足で内容が薄っぺらでした(反省)。

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