犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

21歳の野望

2017-12-23 23:11:51 | 大阪暮らし

 久しぶりに、中津のインドネシア料理屋さん、バグース(インドネシア語で「素晴らしい」)に行きました。いつものように、カウンターで一人で飲んでいると、後から一人の若者がやってきて、私の隣に坐りました。顔だちは日本人のようです。

「こんにちは」

「ああ、こんにちは。インドネシアの方?」


「そうです。チャイニーズ系ですけど」


「ああ、華僑ですか。学生さん?」


「はい、大学1年です。21歳ですが」


 日本語はとても流暢です。

「インドネシアの大学を中退して、日本に来たんです」

「なぜ日本に? アメリカのほうがいいんじゃない?」


「ぼく、アメリカは大嫌いなんです。偉そうにしていて」


「最近は中国も相当偉そうだけど…」


「ええ、中国も嫌いです。日本がいちばんいいです。礼儀正しくて。ぼくは日本に帰化すると思います」


「中国語もしゃべれるの?」


「ええ、インドネシアでは、中華学校に通っていました。親は福建語なので、福建語もできます」


「英語もできるんでしょう?」


「はい、語学に興味があって、フランス語、ドイツ語、スペイン語、ギリシャ語も勉強しました」


「ギリシャ語! なんでまた?」


「文字が面白いでしょう」


「なら、ハングルなんてどう?」


「韓国語もやってみたいです」

「ところで、大学では何を勉強しているの」


「数学です。線型代数」


「難しそうだね。学者になるの」


「いえ、ロボットをやろうと思ってます」


「AIとか?」


「いえ、産業用ロボットです。そっちのほうが儲かるでしょう?」


「…」


「いったん日本の会社に入って、経験を積んで、それから独立するつもりです。ぼくは人に使われるのが好きじゃないんで」

 とても21歳の青年とは思えない…。末恐ろしい野望の持ち主です。

「初対面で失礼ですが、名刺をいただけませんか」

「いいけど」


「今、いろいろとネットワークを広げようと思ってるところなんです」


「僕はもう歳だし、あんまり役には立たないと思うけどね」


 彼が独立して起業したら、雇ってもらおうかな。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ルンド | トップ | 聖なるウブドの激辛料理 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

大阪暮らし」カテゴリの最新記事