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「ツリーハウス」感想

2016年12月12日 14時10分26秒 | 乱読本感想
「ツリーハウス」
角田 光代
文藝春秋 2013年4月10日

2013年07月01日 14:01
★4
「翡翠飯店」藤代家の人たちの6、7十年に及ぶ長い物語。
登場人物たちの一見無気力で流されているような生き方がたんたんとした文章でつづられる。
で、途中までは気がつかなかったけれど、実はそれぞれの生きてきた道ってそんなに平淡じゃない。
満州で戦争を体験した祖父母や新興宗教に入信した太二郎の生き方なんて、ドラマチック。
作家によっては壮大な物語ができそう。
でも、この物語はそうじゃない。
あくまでも淡々と。
でも、だから、訪ねていった長春の街の食堂でのお祖母ちゃんの常軌を逸したような独白が胸を打つ。
宗教団体から逃げ出した太二郎が迎えの車の中でおにぎりを食べながら泣いたことが印象に残る。

実際にあった、私も報道で知っている事件が多く描かれている。
その事件の中に居た藤代家の人々。
なんとなく実在する一家のような気がした。

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