孤帆の遠影碧空に尽き

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中国  大物政治家・周永康氏の汚職捜査をめぐる権力闘争 “3.19中南海クーデター”の真相 

2013-12-16 22:08:48 | 中国

(捜査の行方が注目されている周永康・元政治局常務委員(左)と、すでに失脚した薄熙来・元政治局委員(右) 【12月14日 新唐人電視台】http://www.ntdtv.com/xtr/gb/2013/12/14/a1023976.html

トラを叩けるか?】
中国共産党の最高指導部である政治局常務委員会の前メンバーで、江沢民前総書記とも関係が深い有力政治家の周永康氏(71)については、かねてよりその側近や家族に汚職捜査が及んでいることが報じられていました。

「ハエもトラも叩く」という汚職官僚の摘発を政権の最大課題に掲げている習近平総書記の意向を受けてのものですが、周永康氏に関する話が出てからも本人に関する捜査進展の情報は公表されておらず、“結局、トラ(大物政治家)は叩けないのでは?”といった声も聞かれていました。

その意味で、薄熙来事件に続いて周永康・前党中央政法委員会書記の不正を追及できるか否かは、党内の権力基盤が強くないとも言われる習近平総書記の権力掌握の度合いを測るものとしても注目されています。

最近、その周永康氏が“軟禁”状態に置かれたことが“複数の共産党筋”から伝えられているそうです。
そうした情報が流されるということは、この先は不正断罪・失脚に向けて一気呵成に進む可能性もあります。

****周永康氏を「軟禁」=不文律変更し、汚職追及―発表へ環境整備か・中国****
中国共産党の習近平指導部が、党最高指導部・政治局常務委員会の前メンバーで汚職などの疑惑が浮上している周永康・前党中央政法委員会書記について、軟禁状態に置いたことが分かった。複数の共産党筋が16日までに明らかにした。周氏の汚職に関して近く何らかの発表があるとの観測も強まっている。

政治局常務委員経験者が汚職容疑で摘発されるのは前例がないとされ、習総書記(国家主席)は「反腐敗」への強い決意を誇示し、権力基盤を強化する狙いだ。【12月16日 時事】 
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ただ、大物政治家・周永康氏をめぐっては、党内指導部でも意見が一致していないとも伝えられています。
下記【産経】14日報道は、“党内では今、激しい力比べが展開されているようだ”として、事態の成り行きに含みを持たせています。

****中国前最高指導部の周永康氏は「拘束」されたのか…警察の“バック”、政局に激震も****
中国共産党の最高指導部である政治局常務委員会の前メンバーで、有力政治家の周永康氏(71)が党の規律検査部門によって事実上拘束され、その失脚が間もなく発表されるとの情報が最近、急増している。北京の多くの共産党筋も同じ証言をする。

しかし一方で、「周氏の取り扱いについて党内の意見が割れており、まだ正式に決まっていない」と語る党高官もいる。
治安、警察部門に大きな影響力を持つ周氏が失脚すれば、政局に激震が走るのは必至。習近平政権は今、重大局面を迎えているようだ。

 ■薄煕来氏と深い関係
周永康氏は、江沢民元国家主席(87)が率いる上海閥の重鎮として知られる。国有企業、中国石油のトップを経て政界入りし、大きな利権を持つ石油閥の中心人物だと今でも言われている。

公安相を経て2007年に政治局常務委員となり、胡錦濤政権で党内序列9位ながら、警察、検察、司法部門を統轄する責任者である党政法委書記として大きな権力を振るった。

昨年春に失脚した薄煕来・元重慶市トップ(64)と深い関係があることもよく知られている。
薄氏の免職が発表された直後の昨年4月から、周氏も事件に巻き込まれ、党規律部門の取り調べの対象となったとの情報が出回った。その後、北京の消息筋の間で、周氏の拘束情報が何度も浮上した。

12月2日付の台湾紙、聯合報は「周氏が汚職容疑で身柄拘束され、2日中にも正式発表される」と伝えた。
その後、カナダを拠点に置く中国語メディアや、米国の情報サイトなども同じような情報を流したが、12月12日になっても、周氏拘束の発表はない。

 ■クーデター未遂情報も
周氏の拘束容疑についても複数の情報が出回っている。石油企業の海外進出を巡る巨額な汚職のほか、部下を使って前妻を殺害したことや、2度にわたって習近平国家主席(60)=党総書記=の暗殺を図ったというクーデター未遂の情報まである。

一連の情報について、共産党高官は「周氏は今、党の規律部門によって一部の行動が制限されている」と明らかにした上で、「経済問題で調べられている。他の容疑は聞いたことがない」と話している。また、「周氏の処遇について党内の意見が割れており、まだ最終結論が出ていない」とも話した。

この高官によると、習氏が周氏の汚職問題を発表し、刑事事件にしたいとしており、周氏の後ろ盾である江氏の同意をも取り付けているという。

しかし、李鵬元首相(85)、宋平・元政治局常務委員(96)ら党内の一部の長老は「汚職金額の全額返済と党内処分」で済ますことを主張しており、今でも慎重論は根強くあるという。

 ■「常務委経験者は罰せず」
北京の共産党史の研究者によると、かつての最高実力者、●(=登におおざと)小平氏(1904~97年)は、党内対立が89年6月の天安門事件を誘発したことの反省から、党内の権力闘争の激化を避けるため、「刑不上常委」という言葉を残した。
最高指導部である政治局常務委員経験者の刑事責任は追及しないという意味で、以降、党内の不文律となった。

今回、習氏が周氏の汚職問題を調査する背景には、周氏の汚職金額が数億元(1元は約17円)にものぼるとされ、大きすぎたことと、資金の流れの証拠が多数あり、事件として捜査しやすい側面があると指摘される。

また、治安部門に大きな影響力を持つ実力者である周氏を倒すことで、習氏の求心力を高めたい思惑もある。

習氏は昨年秋に中国の最高指導者になって以降、「ハエもトラも叩く」と宣言し、大物政治家を含む汚職官僚の摘発を政権の最大のテーマとして掲げた。
しかし、約1年過ぎたところで、次官級クラスの官僚を多く摘発したが、有力政治家にはほとんど手を付けられなかった。インターネットで「トラがハエを叩いている」と揶揄されるようになった。

習政権として、周氏クラスの有力者を摘発することで、反腐敗の成果にしたい思惑がある。しかし、実行すれば、長年の政治的慣行を破ったことになる。他の長老たちの間でも「自分も捜査対象になるのでは…」との不安が広がり、抵抗しているようだ。

「周永康失脚」の発表は、12月中旬と来年3月という2つの説が今のところは有力だ。党内では今、激しい力比べが展開されているようだ。「ここまでやって結局できなかったら、習政権の求心力は逆に弱まる」と指摘する党関係者もいる。【12月14日 産経】
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“2度にわたって習近平国家主席の暗殺を図ったというクーデター未遂”ということについては、“周が爆弾と毒注射で習近平を暗殺しようとした”という話まであるようですが、かなり眉唾です。後述【香港誌・亜州週刊】も否定的です。妻殺しの噂についても同様です。

汚職は間違いないでしょう。それは周永康氏に限った話ではありませんので。
その巨額さと、失脚した薄熙来との深い関係があるということで、権力闘争のターゲットとなっています。

習近平“雲隠れ”事件と“3.19中南海クーデター”の真相
北朝鮮ほどではないにしても、中国共産党内の中南海での権力闘争は部外者には“藪の中”です。
今後の情報を待つしかありませんが、「周永康失脚」に絡んで、習近平氏が昨年の総書記就任を決定する党大会直前に“雲隠れ”した事件、今年3月、薄熙来事件に関連して中南海で“クーデター”とも噂された緊張があったこと、周永康氏と薄熙来氏の妻との関係など、非常に興味深い情報が伝えられています。

どこまで裏が取れている話かは知りませんが、香港誌・亜州週刊による“海外メディアの報道を検証した、かなり確度が高い記事”として紹介されています。

なお、下記記事で“双規”という言葉が出てきますが、“双規”とは汚職の嫌疑をかけられた党員が中国共産党紀律部局による取調べを受けることを指します。

この双規を受けて容疑が固まってから、司法機関に身柄を委ねられます。双規を受けた党員が後に無罪放免になるケースは基本的にはないようです。
双規が行われるかどうかは、薄熙来や周永康などの大物になると、政治局、常務委員会の決定によってなされます。
【6月28日 KINBRICKS NOW より】

****3・19中南海クーデターの真相とは? 周永康失墜の真相―中国****
周永康失墜の内情、習近平の“虎狩り”は驚きの展開に亜州週刊、2013年12月22日号数々の情報源が認めているとおり、かつて200万人近い武装警官、警察、司法関係者を率い栄華を極めた前中国共産党政法委員会書記・周永康は今、急速に失墜している。

かつて手に染めた犯罪行為は詳しく調査され、「刑は政治局常務委員に上らず」の慣例も打ち破られようとしている。周の後ろ盾と目されてきた江沢民、曾慶紅もすでに一線を引いているという。

周永康を取り調べる「二号専案」調査グループは今まさに周永康の取り調べを進めており、家族や側近もみな拘束された。一部海外メディアは先週末に真偽不明のさまざまな伝聞を流した。中には周が爆弾と毒注射で習近平を暗殺しようとしたとの報道もあった。しかし中国共産党高官はこの伝聞を否定している。

ある高位の職にある情報筋によると、12月11日時点の情報として取り調べは事実だと認めたものの、政変や暗殺の噂は否定している。この消息筋によると、習近平はすでに周永康を司法で裁くことを決定したという。

拘束公告文案はいまだ検討中
高官の状況に詳しい消息筋によると、12月10日時点で中国共産党はまだ司・庁級には周永康に関する通達を出していないという。「それどころか部級にもまだ通達されていない。公告をどうまとめるかはまだ検討中だ」という。

ある北京の官僚によると、司級まで通達されれば、現在の中国においては全国に公表されたも同じだという(情報の流出は防げないとの意)。

「二号専案」と呼ばれるこの事件。現在は違法行為、紀律違反行為の黒幕である周永康の取り調べが進められている。

習近平は総書記就任後すぐに「虎狩り」を決意した。そして今、まさに虎は檻へと追い込まれた。

妻殺害容疑は確認されず
別の消息筋によると、周永康は確かに薄熙来を持ち上げ、自らが院政をしく考えを持っていたという。しかしクーデター、毒注射による暗殺といった伝聞は誇張されすぎで事実とは異なると指摘した。
また妻殺しの噂もあるが、これも当局は確認できていないという。(中略)

周永康と薄熙来の事件は中国共産党内部に激烈な政治抗争をもたらすものとなった。
ある北京市の海外メディア関係者によると、2012年9月、すなわち習近平が総書記に就任する十八大(中国共産党第18期党大会)の2カ月前のこと、習近平が2週間にわたり姿を消した時期があった。

休養、全面改革プランの起草と公表されていたが、実際には権力闘争の手段としての休暇であった。習が中国共産党の核心的権力を掌握することを保障せよ、さもなくば総書記には就任しないと江沢民、胡錦濤に迫るためのものだったのだ。

江沢民、曾慶紅は周の支持者だったが、最終的には一線を引くことを決意した。

今年7月、江沢民は訪中したキッシンジャー元国務長官と会見、習近平を絶賛している。

周永康の家族、側近を拘束
李春城、蒋潔敏など多くの配下、側近はすでに双規(党紀律部局による拘束、取り調べ)された。家族も取り調べを受けているが、唯一、次男の周寒だけは拘束されていないという。周寒は中国石油に身を置き、父との関係も少なかった。長男の周濱とその妻は帰国、拘束され取り調べを受けている。

博訊網によると、周永康の兄弟姉妹も取り調べを受けている。当局が兄弟姉妹のオフィスを捜索したところ、数億元もの現金、預金通帳を発見したという。彼らは周永康による売官や収賄の仲介人となっていた。

2012年3月15日、薄熙来の双規が発表された。その4日後の19日、北京には「中南海クーデター」の噂が流れた。多くの著名ネットユーザーが北京と中南海の異常を伝え、大量の軍用車両であふれかえり、警備が強化されたことを伝えている。

当時流行した筋書きとは、周永康が武装警官を動員し中南海を包囲、クーデターを画策したが、胡錦濤が掌握した三十八軍の前に企みは敗れたというものだった。

消息筋によると、19日には確かに衝突があったが、それはクーデターではなく、薄熙来の“お財布”、大連実徳グループの徐明会長の身柄を奪うものだったという。

薄熙来の双規後、周永康は配下の警察に徐明の身柄を確保するよう命じた。中央紀律委員会がその身柄を引き渡すよう要求したが、周の意を受けた警察は拒否。

すると紀律委員会側は周の長男、周濱の汚職の資料を武器に身柄の引き渡しを迫った。周は武装警察に命じて徐明の身柄を移そうとしたが、紀律委員会側も兵力を集め、徐の身柄を奪うチャンスを狙った。

この一触即発の事態に驚いた中国共産党指導部は不測の事態を避けるため、中央弁公庁に命じて中央警衛局を動員させ、中南海の警備を固めた。

かくして武装警察と警察、中央紀律委員会、中央警衛局は緊迫の一夜を過ごし、さまざまな噂が流れることとなった。

消息筋によると、19日の事件後、周永康は全国200万人の武装警察の指揮権を剥奪された。
また習近平は政法委員会の権力削減を決定。十八大後には政法委員会書記は政治局常務委員のポストから格下げされた。また三中全会で発足が決まった国家安全委員会の管轄下に入ることが決まり、習近平は警察権力を掌握することとなった。

谷開来が供述、周永康との関係
薄熙来、王立軍、谷開来が主役となった重慶政治ショー。なかでも薄熙来の後半はそのクライマックスとなった。裁判最終日、薄熙来は自ら谷と王の“関係”を口にし、全国の観衆を驚愕させた。

その谷だが、王立軍とだけではなく、周永康とも“関係”していたのだろうか?

北京の消息筋によると、調査グループ内部の重慶市関係者が次のように話しているという。
薄熙来、王立軍の事件に関する調査はほぼ終わった今年初頭、谷は周永康との関係があったことを認めたという。「谷は軽微な精神障害でしたが、周永康との関係についての発言は事実です」と話している。

また匿名希望の消息筋は「谷が本当にそう言ったのかどうかははっきりしない。窮地を抜け出るために周永康を巻き込もうとしたのではないか」と話している。
ただし谷と周の“関係”については、谷の発言以外では確認が取れていない。【12月13日 KINBRICKS NOW】
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左でも右でも・・・・
習近平総書記は、上記のように、薄熙来に続いて周永康氏に狙いを定めて、「ハエもトラも叩く」姿勢を国民にアピールし、併せて党内権力基盤強化を進めています。

政治路線的には、薄熙来は自由な市場よりも国家機能を重視し、毛沢東思想を掲げる左派になりますが、こうした左派だけでなく、同時に民主化運動への弾圧も強化しています。

****新公民運動」活動家を起訴=「社会進歩の代価いとわず」と無罪主張―中国****
中国で幹部の資産公開や教育の平等など理性的な要求で社会の変革を目指す「新公民運動」の中心人物で、8月に逮捕された著名人権活動家の許志永氏(40)について、北京市検察当局は14日までに公共秩序を乱した罪で起訴した。

許氏の弁護人を務める張慶方弁護士は時事通信の取材に対して最近、接見した際に許氏が「中国では昔から今まで正義の士が、社会の進歩のために代価をいとわなかった。今、自分も代価を払う機会を得られ、非常に光栄だ」と語り、無罪を主張していくと述べたと明かした。【12月14日 時事】 
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左でも右でも、共産党の一党支配体制にとって好ましくないものは許さない・・・という姿勢のようです。

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