孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

ペルー  フジモリ元大統領長女ケイコ氏、大統領選挙への正式出馬

2011-01-07 20:48:23 | 国際情勢

(昨年12月 ケイコ氏(写真中央) “flickr”より By keiko.fujimori
http://www.flickr.com/photos/keikofujimori/5244655929/ )

有力候補3人の1人
今朝のTVニュースで、ペルーのフジモリ元大統領長女ケイコ氏の大統領選挙出馬を報じていました。
日系ですので顔立ちは馴染みやすく、どちらかと言えばお笑い系のTV番組などに出てきそうな感じです。

****フジモリ氏長女が正式出馬 ペルー大統領選*****
4月に実施される南米ペルー大統領選挙に、フジモリ元大統領(72)=服役中=の長女で、国会議員のケイコ氏(35)が6日、選挙管理当局に立候補届けを提出した。初出馬の同氏は世論調査で上位につけており、ペルー初の女性大統領を目指している。この日、ケイコ氏は「今日から(選挙までの)最後の区間が始まる」と演説。左翼ゲリラの残党らの摘発強化などを訴えた。【1月7日 共同】
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ペルーは国家全体としては順調な成長を遂げていますが(実質GDP成長率で07年8.9%、08年9.8%、09年0.9%)、その一方で、成長の恩恵を受けられず貧困から抜け出せない多くの国民が存在しています。
TVニュースでは、フジモリ元大統領の支持基盤でもあった貧困層や女性の支持を受けているとのことで、学校給食や医療の無料化など、貧困対策を前面に押し出した選挙戦を行っているようです。

もっとも、野党候補の選挙公約ですから、そうした貧困対策の一方で財政再建なども掲げ、一体どやって両立させるのだろうか・・・というところはありますが。まあ、それは彼女だけの話ではないでしょう。
今のところは、有力候補の一人となっているようです。

****フジモリ元大統領の長女、大統領選へ出馬表明****
ペルーで受刑中のアルベルト・フジモリ元ペルー大統領の長女で国会議員のケイコ・フジモリ氏(35)が7日、来年4月に行われるペルー大統領選への出馬を表明した。
大統領選は4月10日に投票が行われる予定で、フジモリさんは有力候補の一角になるとみられている。ペルー大統領の有資格年齢は就任時に36歳以上だが、当選した場合、フジモリ議員はこれをぎりぎりで満たす。また大統領の3期連続再選は禁じられているため、現在2期目のアラン・ガルシア大統領は、次期大統領選へは出馬できない。
ケイコ・フジモリ氏は、フジモリ元大統領の4人の子どものうちの最年長で、2006年の総選挙で圧勝し議会入りした。

最近の世論調査によると、アレハンドロ・トレド前大統領、首都リマの前市長ルイス・カスタニェダ氏と並び最有力候補3人の1人に挙げられている。
しかし議会での業績が乏しいこと、また市民虐殺事件で実刑判決を受け受刑中の父親のイメージの悪さなどが足かせとなり、次期大統領選までの数か月でフジモリ議員の形勢は不利になるだろうとみる専門家もいる。
また、大統領となって父親に恩赦を与えるためだけに出馬すると述べた昨年の発言も、一部で問題視されている。ここ数か月、フジモリ議員はこの件に関連する発言は一切していない。また、フジモリ議員が大統領に就任しても、そうした権限があるかどうかは定かでない。【10年12月8日 AFP】
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フジモリ元大統領の裁判への関与は?】
一方、父親フジモリ元大統領は在任中、麻薬組織や左翼ゲリラを抑え、経済を安定軌道に乗せたとの評価がありますが、その強権的・独裁的政治体質への批判もありました。
現在は、軍による民間人殺害への関与など2件の人権侵害と汚職5件の計7件の罪状で公判中で、一審ではすべて有罪となり、軍による民間人殺害への関与では最高裁での実刑判決も確定しています。

****ペルー:フジモリ元大統領、禁固25年が確定 市民虐殺で****
1990年代にペルーで起きた市民虐殺事件をめぐり殺人罪などに問われた元大統領、アルベルト・フジモリ被告(71)の上訴審で、最高裁特別刑事法廷は3日、禁固25年の1審判決を支持することを決めたと発表した。裁判は2審制で、これにより実刑が確定する。
秘密裏に左翼ゲリラ掃討を担当していた軍の暗殺組織「コリーナ部隊」が、91年に8歳男児を含む住民15人を殺害したバリオスアルトス事件と、92年に学生ら10人を誘拐・殺害したラカントゥタ事件などについて、当時大統領だったフジモリ被告の罪が問われた。
フジモリ被告は「コリーナ部隊の作戦に関与していない」などとして無罪を主張。しかし、1審判決は最高権力者である大統領が部隊を指揮した「間接主犯」と認定。上訴審も1審の有罪判決を支持した。同被告は他の事件でも有罪判決を受けているが、ペルーでは最も重い刑期が適用され、禁固25年となる。
   ◇
フジモリ元大統領は実刑が確定したことで、政治生命をほぼ絶たれたといえる。ただ、フジモリ派は11年の次期大統領選で長女ケイコ・フジモリ国会議員(34)を擁立する見通しで、元大統領の「名誉回復」を図る動きもある。
フジモリ被告は大統領時代に左翼ゲリラの鎮圧や経済立て直しで成果をあげ、依然として根強い人気がある。一方、92年に憲法を大統領が自ら停止するなど、強権的な政治手法から「独裁者」と批判されてきた。
側近の汚職を引き金に3期目就任直後の00年に失脚。既に4年余りの拘束生活を送るが、フジモリ派は国会で第3党を占めるなど一定の影響力を保持。ケイコ氏が次期大統領に当選すれば、父親に恩赦を与えるとの観測も出ている。地元ラジオ局RPP(電子版)によると、同派スポークスマンのラフォ国会議員は3日、「選挙で我々が勝利することで、元大統領の名誉回復を目指す」と表明した。【1月3日 毎日】
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ケイコ氏の大統領選出馬は、父親フジモリ氏への恩赦のためではないか・・・との批判もありますが、今朝のTVニュース・インタビューでは、「立候補にあたっては、貧困対策が最優先事項だ」と、“父親のための出馬”を否定していました。

父親の件については、優秀な弁護士のもとで無罪を勝ち取れるとも言っていましたが、その一方で、現在の裁判を不公正と批判して、市民を加えた裁判制度自体の変更をも示唆していたようです。(TVニュースは出勤前の慌ただしい中だったので、このあたりはよく観ていません。)恩赦という直接的な手段は公言していませんが、裁判への何らかの関与を考えているようです。

ケイコ氏が、現在の勢いを維持して台風の目になるのか、【10年12月8日 AFP】にあるように、失速していくのか、注目されるところです。


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1 コメント

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Unknown (Agee)
2011-01-07 21:30:07
へぇ~そうだったのか…。いつも更新楽しみにしています。これからも読ませて頂きますね(*^_^*)

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