孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

サウジアラビア 女性の地位改善? オバマ米大統領とウルグアイ大統領の女性への失言

2013-04-07 20:06:20 | 女性問題

【4月6日 AFP】http://www.afpbb.com/article/life-culture/religion/2937342/10543012

サウジ:女性の社会進出への賛否
戒律の厳しいイスラム教のワッハーブ派を国教とするサウジアラビアでは、女性一人での外出や車の運転などが禁じられている等、(日本・欧米的価値観では)女性の活動には大きな制約が課せられています。
そんなサウジアラビアの女性にとって、若干の前進でしょうか?

****バギーの運転を楽しむ女性たち、サウジアラビア*****
サウジアラビアの首都リヤド(Riyad)近くのスママ・パークで5日、ATV(全地形対応車)に乗る女性たちの姿が見られた。

地元の報道によると、同国の宗教警察は前週、レクリエーション施設内に限って女性が自転車やバイクに乗ることを認めた。ただし、伝統的なイスラム教徒の衣装を身に付けていること、男性の親族が同伴していることが条件だという(2013年4月5日撮影)。【4月6日 AFP】
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もう少し政治的なところでは、国王による任命制の機関「諮問評議会」(定数150人)に初の女性評議員30人が任命されています。

****サウジで初の女性評議員 アラブの春が後押し、30人任命****
サウジアラビアで、国王による任命制の機関「諮問評議会」(定数150人)に初の女性評議員30人が誕生した。保守派に反発もくすぶるものの、じわりと進んできた女性の社会進出の試金石となりそうだ。

リヤドの王宮で19日、女性30人を含む新任評議員の宣誓式が開かれた。30人はオベイド国連人口基金・前事務局長や王女2人、大学教授、医者らで、欧米への留学経験者や博士号取得者がほとんど。任期は4年で、評議員らは早速、各種委員会のメンバー選びに取りかかる。

 ◆男女別入り口
イスラム教の戒律が非常に厳しいサウジ。近親者以外の男女の同席は禁じられ、レストランや事務所など公の場は「男・女」や「男性・家族連れ」などと区分けされている。評議会でも、議場に女性専用の出入り口と議席が作られた。

評議員になったファドワ元ヌーラ・アブドルラフマン王女大学理学部長は朝日新聞の取材に「家庭内暴力や離婚後の親権など、あまり目を向けられてこなかった女性の問題に取り組みたい」と答えた。

ただ、評議会は法案を出したり、閣僚に質問したりできるが、立法権はない。地元紙バラスメールのヘッサ・エディターも「顔ぶれも高学歴・上流階級の女性ばかりで、社会の底辺が抱える問題を知らない」と距離を置く。

女性評議員の任命とともに、地方議会選挙への女性の立候補容認など、女性の地位向上支援を国王が表明したのは2011年9月。背景には中東で広がった民主化運動「アラブの春」の影響があるとみられる。同年、サウジ東部でも国内少数派のシーア派住民による小規模な抗議行動が起きた。

昨年1月には下着店にサウジ女性店員の配置を義務づける法律が施行され、昨夏のロンドン五輪には女性選手2人が出場した。女性の行動に目を光らせてきた宗教警察すら、女性職員を雇う検討に入ったと報じられている。

 ◆保守派は抗議
だが、そうした女性の進出に対する反発や、権利拡大に逆行する動きも出ている。ロイター通信によると、国王が評議会定数の2割超を女性に割り当てる勅令を出した直後の先月15日、保守派のイスラム法学者ら約50人が国王に「助言をしたい」と約2時間にわたって訴える異例の「抗議行動」が王宮前で発生。

AFP通信によると、パスポートの電子化に伴って、女性の出国時に夫や父ら「保護者」の携帯電話に自動で通知されるシステムが昨年11月に本格導入され、波紋を広げている。【2月20日 朝日】
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上記記事にもあるように、保守派からの反発も出ていますが、改革をもっと進めたいとする声もあるようです。

****民主化へ選挙実施を=サウジ王子****
サウジアラビアの富豪、アルワリード王子は2日夜に放映されたテレビのインタビューで、民主化に向けて議会選挙の実施を呼び掛け、議員に権限を与えるよう訴えた。AFP通信が伝えた。

アブドラ国王は1月、国政の助言機関である諮問評議会に初めて女性30人を任命した。王子はこれについて、十分ではないとの認識を示した上で、「歴史的な動きになるためには、部分的であっても選挙を実施し、権限を与えることが不可欠だ」と述べた。【4月4日 時事】
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サウジアラビアのアルワリード王子と言えば、先日米経済誌フォーブスが発表した世界長者番付で、資産200億ドル(約1兆8400億円)とされ、26位にとどまったことに対し、資産を不当に低く評価されたと抗議したことでも話題になった世界的大富豪です。(従来は“世界第5位の大富豪”とも言われていました)

お金持ちであることは間違いありませんが、一夫多妻制のもとでたくさんの王族がいるサウジアラビアにおいて、どのような政治的位置にあるのかは知りません。

なかなか変わらない男性の意識
話は変わりますが、最近目にした女性に関する記事2件。
ひとつ目は、アメリカ・オバマ大統領の失言。

****米大統領:失言で謝罪「彼女はルックス抜群****
オバマ米大統領が、女性のカリフォルニア州司法長官を「全米でも抜群にルックスが良い司法長官」と形容したことで批判を浴び、本人への謝罪に追い込まれた。カーニー大統領報道官が5日明らかにした。

大統領は4日に同州内で開かれた民主党のイベントで、カマラ・ハリス州司法長官を紹介。その際にハリス氏の容姿を褒めた上で、聴衆に「事実じゃないか。そうだろう」と同意を求めた。
これに対し、女性の成功を容姿と関連づけるのは「男女差別的」ではないかとの批判がメディアなどから上がり、大統領は同日中にハリス氏に電話をかけて謝罪した。【4月6日 毎日】
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“カマラ・ハリス長官を「才気にあふれ、献身的でタフだ」と称賛し、「断トツで最も美人な司法長官だ。事実だろ?」と聴衆に呼びかけた”【4月6日 産経】とのことで、男性の感覚すれば最大限に褒めたつもりだったのですが・・・。

一方、ウルグアイのムヒカ大統領のケースは、明らかにNGです。

****ウルグアイ大統領:隣国大統領を「ばあさん」と侮辱****
南米ウルグアイのムヒカ大統領(77)が4日の記者会見でマイクのスイッチが入っていることに気付かず、隣国アルゼンチンのフェルナンデス大統領(60)を「ばあさん」と呼ぶ侮辱発言をした。アルゼンチン政府は5日までに抗議の声明を発表、ムヒカ氏は火消しに追われている。

ムヒカ氏は記者会見場で、隣の政府高官に小さな声で「片方の目が見えない男より、あのばあさんの方がひどい」「ばあさんは頑固だ」と発言。率直な発言で知られ、国民の人気が高いが、口が過ぎた形。地元紙に「アルゼンチンのことを言ったわけではない」と否定するなど苦しい釈明を続けている。【4月6日 毎日】
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アルゼンチンのフェルナンデス大統領は、未だ国民的人気が絶大な美人政治家エビータに自らのイメージをダブらせようとしている節もあります。そんなフェルナンデス大統領ですから、今後の表向きの発言がどうであろうと、生涯ムヒカ大統領を許すことはないと思われます。

容姿を“売り”にしているタレントなどを除けば、褒めるにせよ、けなすにせよ、本人の能力とは関係のない女性の容姿を取り上げるのはNGということです。
ひと昔前は、“容姿端麗”が雇用条件になっていたりしましたが、男性側は(私を含め)頭の切り替えがまだ完全ではないようです。
女性の側にも“女を売りにする”ような意識があります。

ただ、男と女しかいない世界ですから、どこまでいってもそのあたりは微妙なものが残りそうですし、完全になくなるのがいいのか?という部分もあります。

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