孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

東アフリカ  過去60年で最悪の干ばつ、避難先で餓死者

2011-07-11 20:24:32 | 世相

(1992年ソマリア 世界最高の戦争写真家といわれているJames Nachtweyの作品 状況は現在も改善されておらず、むしろ大規模な飢饉が懸念されています。 “flickr”より By Photo Tractatus http://www.flickr.com/photos/photo-tractatus/4698746162/in/photostream/

一部地域は飢饉の瀬戸際
エチオピアやソマリアといった東アフリカは、内戦などの政情混乱もあって、これまでも飢饉が絶えなかった地域ですが、“過去60年で最悪の干ばつ”に見舞われ、大規模な飢饉が懸念されているとの報道がありました。
普段から貧困に苦しむ地域での“過去60年で最悪の干ばつ”ということですから、その悲惨さは想像を絶するものがあります。

****東アフリカ、過去60年で最悪の干ばつ 飢饉がせまる*****
東アフリカは「アフリカの角」を中心に過去60年で最悪の干ばつに見舞われており、約1000万人が何らかの影響を受けているとする報告書を、国連人道問題調整事務所(OCHA)が28日発表した。一部地域は飢饉(ききん)の瀬戸際にあるという。
 
報告書によると、雨季に雨が少なかったことに加えて食料価格が高騰したため、ジブチ、エチオピア、ケニア、ソマリア、ウガンダなどでは深刻な食糧不足に陥っている。
食料価格は現在も上昇を続けており、ケニアの一部地域では穀物価格が過去5年間の平均を最大80%も上回り、エチオピアでは消費者物価指数が約41%も跳ね上がった。
家畜のウシやヒツジが死ぬ確率も平年より高くなっており、一部地域では死亡率が60%に達している。その結果、栄養不良の割合も増え続けている。

■難民増加にも拍車をかける
干ばつに関連した避難民の数も増加しつつある。内戦が続いているソマリアでは、干ばつが引き金となり、今年に入って月に平均1万5000人がケニアやエチオピアなどの隣国に避難している。
一方でジブチやエチオピアも干ばつの影響を受けているため、難民の流入はこれらの国々の食糧事情をさらに悪化させることになりかねないという。
OCHAは、こうした状況にかんがみ、食糧援助を増やすよう支援国に求めている。【6月29日 AFP】
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避難先で飢えにより死亡する人が後を絶たない
上記記事にもあるように、難民を受け入れる国自体が食糧不足に苦しんでおり、避難先での餓死者が多数発生している状況です。

****ソマリア干ばつ深刻化、数千人が近隣国へ流入の末に餓死*****
ソマリアが、ここ数十年で最悪の干ばつに見舞われている。この数週間で数千人が隣国のケニアやエチオピアへ流入しているが、避難先で飢えにより死亡する人が後を絶たない。定員9万人のケニア・ダダーブ(Dadaab)難民キャンプには現在、38万人以上のソマリア難民がひしめき合って暮らしている。【7月11日 AFP】
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日本を含め各国との決して余裕のある状態ではないですが、餓死者が後を絶たない状況を改善すべく、世界食糧計画(WFP)などの国際機関を中心にした国際社会の支援・協力が求められています。

【「飢餓撲滅」のミレニアム開発目標、達成困難
国連は2000年にミレニアム開発目標を採択していますが、その目標のひとつが「飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる」というものです。
しかし、その割合は近年横ばい状態で、目標達成は困難と見られています。

****進まない「飢餓撲滅」、ミレニアム開発目標の達成困難に 国連****
国連は7日、加盟国が2000年に採択したミレニアム開発目標が掲げる2015年を達成期限とした8つの目標の進捗状況に関する報告書を発表し、「極度の貧困と飢餓の撲滅」の進捗状況については、よしあしが入り混じった状況だとの見方を示した。

第1段階での達成目標の1つである「飢餓に苦しむ人々の割合を半減させる」については、その割合は1990年時の20%から2005年に16%まで減った後、2007年まで横ばいが続いている。このような傾向と、経済危機や食糧価格の高騰を踏まえると、途上国の多くの地域において、この目標の達成は困難だと報告書は指摘している。
 
特に「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ大陸東部では、60年来で最悪の干ばつで約1000万人が飢餓状態にあると警告。さらに、世界の貧困人口は大幅に減っているのに対し、世界全体での飢餓人口は劇的な減少には至っていないと懸念を示した。
世界食糧計画(WFP)が年内にも、途上国における食糧政策の見直しを行う予定だという。

一方、世界の貧困率については、世界銀行のデータから、2015年までに目標の23%を大きく下回る15%を達成できる見通しだと、報告書はまとめている。特に中国を中心とする東アジアでの貧困解消が目覚しく、中国では2015年に貧困率5%以下を達成できる見込みだという。【7月11日 AFP】
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先進国は飽食の時代
一方で、自分たちの生活のまわりを見渡すと、TVにはグルメ番組が溢れ、ときに大食い競争とか早食い競争も。
“食べ放題”を掲げる飲食店も多く、コンビニやスーパーの店先では、賞味期限切れ商品が山のように廃棄されていきます。

****食料の3分の1が無駄に廃棄されている」、国連報告書*****
国連食糧農業機関(FAO)は11日、世界で毎年生産される食料のうち3分の1に当たる約13億トンが無駄に廃棄されているとする報告書を発表した。
この13億トンという数字は、世界の年間穀物生産高の半分以上にあたる。報告書によると、発展途上国では不作やインフラの不備などに起因した食料不足が問題になっているのに対し、先進国では小売業者や消費者がまだ食べられる食料を廃棄する傾向が見られる。欧米諸国で消費者が無駄に廃棄する食料は1人あたり年間95~115キロにのぼっているという。

報告書はまた、「各種調査によると消費者は外見よりも安全性や味を重視している」のに、先進国の小売業者は食料品の外見を重視しすぎていると指摘。

■「増産」よりも「無駄にしない」ことが得策
先進国ではさらに、特大のインスタント食品が生産されたり、レストランで「食べ放題」ビュッフェが提供されるなど、消費者は必要以上の食料を口に入れるよう仕向けられていると指摘する。
その一方で、世界の飢餓人口は9億2500万人以上にのぼっている。報告書は、「天然資源が限られていることをかんがみると、増え続ける世界人口の食を確保するには食料の増産よりも無駄にする食料を減らす方が効率的だ」と強調している。【5月12日 AFP】
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一方で大勢の餓死者が発生し、他方で多くの食料が無駄に廃棄されていく・・・国家単位に構成されている現在社会の仕組み上、いたしかたない(と思いたい)現実ではありますが、ただ是認してしまうには後ろめたい現実です。

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