陶芸工房 朝

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秋の実・ぬばたま(ヒオウギの黒い実)

2016年11月11日 | 野草

秋の実・その2は真っ黒なヒオウギの実です。

 

暑い夏の日差しの中で、濃い橙色に赤い斑点のついた花を咲かせているのはヒオウギです。

 

Belamcanda chinensis 2007.jpg

ウイキペディアより借用

  

それが、この季節(11月)になると、全くの別人のような顔になります。

それが下の写真の黒い実です。なぜか呼び名も「ぬばたま」となります。

 

 

 「ぬば」とは黒い色を意味する言葉で、黒い色の玉、すなわち「ぬば  たま」です。

 実の色が黒いということから「ぬばたま」は、「黒」「黒髪」「夜」「闇」など

「黒いもの」を表すときの枕詞(まくらことば)として使われます。

 

ぬばたまの夜の更け行けば 久木(ひさぎ)おふる 清き河原に 千鳥しば鳴く 

万葉集   山辺赤人

                ぬばたまの夜のふけぬれば、巻向(まきむく)の川音高し 嵐かも疾(と)き

                                                       万葉集    柿本人麻呂

 

 

人工の光 のなかった時代「夜」は今私たちが思う「闇」とはまったく違う、

恐ろしいほどの「漆黒」だったのでしょうね。

 

 

その「ぬばたま」の実は、ご覧のように「漆黒」です。

花のないこの季節、私はこの実を「茶花」として使っています。

 

 「古代の闇は、まさに黒という色によって塗られているというべきもので、

「黒(ぬば)魂(たま)」という名称は、十分に畏怖すべき聖性を備えたものでした。

闇は恐れやおののきを決定的にするものでした。

それは、神秘さであり、畏怖であり、威力でした。」(中西 進   万葉の花)

 

ぬばたまの  夜は深まり  雨音の高し

これって、眠れない夜の実感なんですが、これじゃあ  人麻呂と同じですね!

 

ぬばたまの   眠れぬ夜の   雨音の高き 

これで どう? 

 

 

     

 

 



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