海の音

2020年09月23日 13時55分11秒 | マーロックの日記

                       ザザァァ    ン

                                    クォ ~~~

         カタン

スタンドを立てる・・・

「・・・」

黒猫が動いた。

海が見える。

予報だと、また雨が降るらしい。

まだ空は晴れていて、鳥が飛んでる。

スーパーにあった自転車で、海の近くの道に来た。

橋がある。

見た感じ、強度に問題はなさそう。

ノロマさんや斧さんは、まだスーパーでウロウロしていると思う。

孤児院とスーパーの間の道とかは、漁師がある程度きれいにしてくれている。

だけどそれ以外は、木の枝や石などが散乱したまま。

土や砂がアスファルトを覆っていて、舗装路用のロードバイクでは走りにくい。

細いタイヤではパンクもしやすい。

なので、太くてパンクしにくいタイヤのマウンテンバイクを選んだ。

ペダルとスタンドを付けて、ここまで乗ってきた。

「ニャ~」

コンパクトなバックパックがあったので、それに飲み物と黒猫を入れて背負っている。

みかんのゼリーも。

黒猫は、それを食べたいのかもしれない。

              ピョ

あの橋は、最初に私たちが来た時に渡った橋かもしれない。

霧が濃かったから、よく分からない。

               カタン

ゼリーは食べずに、もう少し移動しよう。

スーパーの屋上から町の地形はだいたい分かるけど、実際に走ると広い町。

       ジャリ  リ

あの橋は渡らず、反対側に向かう。

黒猫は頭だけ出して、辺りを見ている様。

老紳士が払ってくれるらしいので、高価なフレームのを選んだ。

山やデコボコ道を走る専用のマウンテンバイクは、ギア比が小さくてスピードが出ない。

下る専用のなら、大きなギア比になっている。

幸い、前のギアがそこそこ大きいのがあったのでそれにした。

それでも、一番重くしても軽めのギア比。

この道を走るのには、これでよさそう。

サスペンションの付いた自転車に乗るのも、久しぶり。

伸縮しないようにロックすれば、スピードは出やすい。

ロックしてないけど。

この道路の感じだと、舗装路用のタイヤなら少し振っただけでタイヤが滑ると思う。

カラフルな壁の家が遠くに並んでる。

グリが言っていた通り。

見晴らしがよく、車は走ってない。

大きめの石に乗り上げて、超える。

               ジャリ

道の幅を自由にウロウロできる。

                   ニャ~

                              ピョ

「・・・・」

走行中に、2回車とぶつかったことがある。

互いにそれほど速度が出ていなかったし、直前に跳び降りているのでどちらも無傷だった。

2回とも、車のドライバーの不注意によるものだった――私ももっと注意すべきだった。

どちらもよく晴れた見晴らしのいい場所で、こちらを確認していないとは思わなかった。

ただ、1回目は女性のドライバーで接近した時に反対をジッと見ているのが確認できた。

「もしかしたら――」と思ったので、かなり余裕をもって自転車から跳び降りた――17歳の時だったと思う。

2回目はタクシーで、こちらは危なかった。

衝突の直前で跳び下りたのだけど、振り上げた足が車体に少し擦れた。

買ったばかりのレザースニーカーの革に、とても小さな穴ができた。

あと一瞬反応が遅かったら、自転車と一緒に飛ばされていたかもしれない。

無事に跳び下りて、道路にスタッと着地したので無傷だった。

ただ、とても大きな病院の目の前だったのですぐに手当てしてもらえた可能性は高かったのではないかと思う。

あれ以降、ぶつかったことはない。

慎重に予想するようになった。

             ジャリ

遠くからだと分かりにくいけど、道の横も流されてきたものが散乱してる。

木のベンチもあって、そこに座ってゼリーを食べるのもいいかもしれない。

「・・・」

でもスーパーに戻ろう。

町の東側は、こんど走ろう・・・・

          ジャリ  ・・・

                                 ザァァ   ン

                                     クォ  ~~~


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