♪ ♪
ヮィ ヮィ ♪
――― ァァァァァ
外は雨・・・
窓には水滴が張り付いていて、外が見えにくい。
昼はあんなに暖かかったのに、急に気温が下がってきた。
宿舎の北側は暖房が使える状態ではないので、ガードさんたちが地下の古いヒーターが動かないか試している。
上手く動けば、また止まるまでの間だけでも暖めることができる。
毛布はたくさんあるので、各部屋に多めに配ってある。
うふふ ♪
孤児院の小さな子が、スーパーから持ってきたらしい新しい服を来て喜んでる。
ノロマさんたちが選んだやつだろう。
耳付きのフードを被ってる。
孤児院の教室は食堂にしていて、みんなパスタを食べてる。
スープやサラダもあった。
当面は、町にある大きなスーパーにあるもので足りそう。
大雨の被害が落ち着いたら、近くの街から食料も送ってもらえる予定みたい。
「・・・・」
あった。
部屋の端っこの床に、小さな長方形の通気口。
間隔をあけて、いくつもある。
古い方のヒーターで温めた温水が循環して、温めた空気がここから出てくる。
いくつかは、空気を吸う方だろうけど。
古い金属で色がくすんでる。
新しいヒートポンプの方は、天井に通気口がある。
教室は新しい方も使えるので、上から暖かい空気が流れてくる。
ト
すでにおいしいトマトソースのパスタを食べ終わった私は、外に向かう。
パチ パチチ ・・・
暖房をつけているけど、設定温度はそれほど高くはしていない。
この部屋は広く、もともと食事などに使っていたようで、古い暖炉もある。
そこで薪を燃やしていて、おじいさんやおばあさんが近くで食事してる。
あそこなら、暖かそう。
レトリバーも丸まって休んでる。
―― パタン
ドアを閉める。
廊下も暖かい。
大きなヒートポンプで水を温め、建物全体を温めている。
すぐ隣はキッチンで、大きな冷蔵庫がある。
私たちのトレーラーからもいろいろここに運んでいて、エレガントさんたちが食事の準備をいつも手伝ってる。
避難してきた町の人たちも数日経って少し落ち着いて、食事の準備も手伝ってくれる人が増えた。
200人以上の食事の準備をするのは大変そう。
コックさんがいればよかったんだけど。
彼は客船のメインダイニングで働いているから、大人数の食事を作るのは慣れているみたい。
食器を洗うのなら私も手伝えるけど、大きな発電機がきたので食器洗い機が使える。
大型の食器洗い機で、とても速い。
?
私が廊下から食器洗い機を見ていたから、中のノロマさんが気づいた。
「まだ食べますか?」
「・・・・」
首を横に振って、私は去る。
ミ~
シロネコの声。
ギィ
渡り廊下に出るドアを開ける。
ザァァァァァ ・・・・・
通路には屋根があり、雨があたる音が大きい。
「クゥゥン」
ドーベルマンがいた。
夜になると、見張りをしている様。
そう教え込まれていたんだろうか。
「♪」
頭を撫でると、シッポ振った。
「・・・」
おや。
黒猫もいた。
ドーベルマンの向こう側にいたから分からなかった。
コニの所に連れて行ってもいいけど、散歩するのも好きそうなので連れて行こう。
ト
「ピョ」
小鳥がいる。
・・・昼も黒猫たちと一緒にいたやつだろうか。
「ニワトリなら中にいるよ」
「♪」
教えてあげる。
ドアは開けてあげないけど。
―― タ タ
「・・・・」
リスもいた。
私の背中を上ってくる。
「キキ♪」
チンチラたちと、しばらくネコカートから離れなかったようだけど。
ここにも慣れて、少し辺りを探索し始めた様。
黒猫がいればもっと早く動き回っていたかもしれないけど、黒猫は私と一緒に町をウロウロしていた。
フードの中に入ったからよく分からないけど、たぶん頭を出して外を見てる。
フサフサのシッポがたまに首にあたる。
この通路は、倉庫や宿舎を繋いでいて長い。
傘がなくても散歩できるので、歩こう。
ト
小鳥を背中に乗せたドーベルマンが、黒猫と一緒に付いてくる。
東側に向かっていくと、宿舎がある。
途中で北側に分かれていて、そっちには倉庫。
もとは倉庫ではなかったようだけど。
スーパーから運んだものが、そこに置いてある。
ニャ~
黒猫が鳴いた。
「―――」
見ると、ドーベルマンと一緒に足をとめて後ろ見てる。
ドアのガラスに、レトリバーが見える。
外に出たいなら、あいつなら自分で出れるだろう。
器用にドアも開ける。
私たちがどこに向かうのか気になっているのかもしれない。
ト
ギィ
開ける。
「クゥン」
すると、外に出てきた。
「・・・・」
さっきまで、暖炉の前でくつろいでいたのに。
私がりんごを食べに行くと思ったのかもしれない。
パタン
そのつもりはなかったけど、倉庫に行ってみよう。
りんごあるか分からないけど。
トレーラーに行けばある。
バチチ
風が強くふくと、横から雨があたる。
ドーベルマンは、レトリバーと同じくらいの大きさ。
どっちも耳が垂れているけど、レトリバーはフサフサ。
ト
鳴いていなくても、たくさんいると気配でにぎやか。
倉庫は近い。
みかんはあるかな・・・・
ト
ザァァァァァ ・・・・
キキ ♪