アントンK「趣味の履歴簿」

趣味としている音楽・鉄道を中心に気ままに綴る独断と偏見のブログです。

蒸機撮影の難しさ

2017-06-29 06:00:00 | 鉄道写真(SL)

今後は蒸気機関車に目を向けようなんて書いたものの、その蒸気機関車は、アントンKにとってはなかなか手ごわい被写体に思えてならない。

フィルム時代、アントンKはSL撮影にはモノクロフィルムを好んで入れて撮影していた。黒い蒸気機関車がより重厚に写り、また露出の条件もカラーより有利だと考えたからである。これには当時友人から、将来(老後に)写真を楽しむのなら白黒で撮っておいた方が良いとのアドバイスも手伝った。しかし実際には、考えもしなかったデジタルという技術によってカラー写真も退色を恐れず楽しめるような時代になったのである。まあモノクロ写真が良くないということではないが、やはり当時から積極的にモノクロ写真に重きを置いていた事もあり、今では少々残念に思う部分はある訳だ。

昔は鉄道撮影のほとんどが架線下の電化区間であったこともあり、逆に架線が無いと撮影しづらく感じたもの。当然ながら、置きピン撮影での列車角度の想定が思いもよらず苦慮した時代があった。これも次第に慣れていったことだが、正確なピント合わせもほとんどの場合カメラ任せとなった現在では、お若いファンには理解できない心境だろうか。

現代を走る蒸気機関車は、どうしてもイベント性が高く期間限定の運転になることが多いから、ファンが集中してしまい、撮影の自由度が減ってしまうのは如何ともしがたいところ。ま、これを恐れていては自分の撮影すらままならないから、どうにかして現場に挑むのであるが、蒸機の撮影となると、通常の鉄道撮影よりさらに思い通りにいかないケースが多いと感じる。それは「煙」の存在だ。

アントンKの周りには、今もって蒸機現役時代を頂点としたバリバリのファンが複数存在している。蒸機撮影について彼等から得たことは数知れずあるが、何と言っても蒸機撮影での煙への拘り方は昔から凄いものがあった。確かに煙の有無で写真の印象が大きく異なり、大量の煙とならばその躍動感は倍増する。これは現場にいないと判らないことかもしれないが、撮影中五感がしびれる被写体は蒸気機関車だけかもしれない。ただこの煙も、気象や出る量によって写真としての構図も変化してなかなか困難な撮影となることが多いのだ。

掲載写真は、かつて撮影した磐越西線での失敗作。馬下駅発車を狙って構えていたものの、当日の冬型の気圧配置による強風に蒸気があおられてしまい、ナント白い蒸気が機関車の前に被ってしまった。列車の後ろ側からの強風なのだろうか、立ち上がった煙の向きも悪く、散々な結果に。つまらぬ一例にすぎないが、この手の蒸機撮影に関する予期せぬ出来事は多く付き物だが、だから奥が深いとも言えるかもしれない。

1996-03-09    9230レ D51498      JR東日本/磐越西線:馬下駅にて