あいだみつをさんの本をときどきパラパラと見るのですが、「切り捨てる」という文章がありました。
自分自身を見ると、無駄な枝葉ばかりが伸びて、根が耐えられず、木が枯れようとしている。あるときに思い切って、枝葉をばっさりと切り捨てることにしたそうです。そのときは「もったいない」という気持ちをもった。でも、切り落としてしばらくたつと、息絶えようとしていた根が地中に少しずつ力強く張り巡らされ、地上からは見えないのだけど、静かな充実感を感じ始めた、というような内容。
今の世の中も枝葉ばかり。大学ですら、目先のことにばかり注力して、根が絶えてしまうのも時間の問題ではないかという気もする。もちろん、お金が無いと満足な研究も教育もできない、という論旨にも一理はあるでしょうが、そうなると世の中全体が無駄な枝葉ばかり要求し合っているようにも見えてくる。
今の私もまさに、枝葉ばかりが伸びようとして、さらには自ら求めていない枝葉までも付けられ、求められている状態。
その結果、木が枯れてしまえば、何のための人生だったのかと後悔することにもなりかねない。
教育と研究と社会貢献と。自分の根っこが何なのかを、今一度よく考えたい。