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身近な生き物:人間観察

2024-03-06 06:29:59 | 日記
姿が消えた

 野生動物は警戒心が飛び切り旺盛。
それが通説ですが時には例外もある様で、先日びっくりするような獣に
出会いました。
 何時も歩く森林公園、疲れたので森の中のベンチでひと休み。
汗ばんだ肌に吹き付ける風が気持ち良いような冷たすぎる様な。
 そんな微妙な感覚に行ったり来たりしていた私の視界に、突然姿を現した獣。
視界の左端から右に向かって悠然と歩を進めます。
私との位置関係は前方僅か2メートル。
どんなに鈍い動物でもヒトの気配を感じない筈がありません。

 ところがこの野生動物、余程肝が据わっているのか、あるいは私の存在感
が薄っぺらなのか、全くこちらを警戒する素振りがありません。
 そこまで無視されてはヒトとしての沽券にかかわります。
足元に落ちていた小枝を拾い獣の後ろを狙って投げつけました。
 悠然と歩を進める奴のおよそ50センチ後方に音を立てて落ちた枝。
いきなりの落下音に驚いた獣は「ギャ」と短く一声発するとその場でジャンプ。
空中で見事に身体を捻って後ろ向きに着地しました。
 怪しい気配に驚いて対応したけれど視界に敵の姿は欠片も無し。
拍子抜けしたのかそのままヒョイと体を翻して視界から消えてしまいました。
 歩道の向う側は緩やかな法面、身を隠せる場所はありません。
残されたオヤジの頭にはハテナマークが踊ります。
「いったい何処に消えた?」

地下から頭上へ

 鼻から額に掛けて一本の白い線がはっきりと見えたので、獣の正体は
ハクビシン。
胴の長さはおよそ40センチ、同じくらいの長さの尾が付いていました。
 その大きさを隠せる場所など無い筈の法面に足を運ぶと、意外なものが
見えました。
地面の一部が掘り返され直径20センチほどの土管の口があったのです。
 ここに飛び込んだのは間違いありません。
でも這いつくばって覗き込んでも奥は全く見えず、どこまで続いているかも
分かりません。

 ハクビシンは民家の屋根裏を住処にすることが多い生き物ですが、土管を
好む変わり者がいるかもしれません。
暫し観察を続けていれば再び姿を見せる可能性もあります。
長期戦を覚悟してベンチに戻ったのですが、その後全く現れる気配がない
まま時は流れました。
 地中に固執するオヤジを、もしかしたら高い場所から見下ろしていたの
かもしれません。
ハクビシンは木登りも得意、木に登ったタヌキが不器用に後ろ足からずり
落ちるのに対し、前脚から垂直に下りて着地します。
 電線を器用に伝わり、太さ1ミリの針金も平気で渡れる敏捷な生き物です。
土管の中から素早く這い出すと近くの樹に駆け上がり、樹上から見下ろして
いたのかもしれません。
「馬鹿だなあ」と呆れながら。
コメント
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