1km5億円
毎週土曜日は日々の暮らしの中で生じた極々小さな、ドーデもいい愚問を
取り上げています。
今週は「無電柱化の今と昔」です。
新聞の片隅に国土交通省の広告が小さく載っていました。
曰く<無電柱化さらなる推進に向けて 日本の未来を見据えた5か年計画>の
大きな文字と<災害時の安全性を高め、景観を向上させる取り組み>の解説が
書かれていました。
長野県内でも数か所で無電柱化が行われ、スッキリとした街並みに変わって
います。
それなりの効果は実感できますが、気になるのは費用です。
いったいどれ程の税金が使われるのか知りたいところです。
<昭和60年代初頭から地中に埋設する取り組みが始まったが、現在でも
3600万本の電柱があり、依然その数は増えている。>(国土交通省 より)
実情は<今でも毎年1万本の電柱が増えている。>(47NEWS より)
掛け声に反して電柱の数は減っていません。
しかし海外では難なく工事を終えています。
<ロンドン・パリ・香港・シンガポールでは既に100%完了>
国内で最も取り組みが進んでいるのは東京23区だそうですが、その数値は
僅かに8%。
この違いには色々理由がある様ですが、主な要因は工事の内容。
ただ埋めるのとあれこれ装備を加えるのでは、当然工費も違ってきます。
大雑把な言い方をするならば日本の工事は丁寧なのでコストがかさみます。
平均して1km進むのに5億3千万円掛かるそう。
海外ではもっと経費を削る工事が行われている様ですが、そこは国民性の違いと
求めるものの差でしょうか。
明治の光景
巨額の税金を使って完了した電柱の埋設も、一方ではデメリットも出てきます。
<地震などで損傷した場合の復旧に時間と手間がかかる。
地中なので維持管理費も掛かるしメンテナンスもし難い。
場所によっては変圧器を設置するスペースを地上に確保できないこともある。>
(電線のない街づくり支援ネットワーク より)
それでも計画を進めるにはそれなりの理由があるそうで。
それは<①防災の備え ②安全な交通確保 ③景観形成・観光振興>(国土交通省 より)
地震で電柱が倒れれば大規模な停電も起きるし、緊急車両の通行の邪魔にも
なってしまいます。
①と②は全くその通りな理由に思えますが、ちょっと違和感を抱くのは③。
確かに無電柱化が済んだ街並みを目にすればスッキリ感で満足しますから、観光客
が集まるのも納得します。
でもね。
時を遡ったらそこに現れた景色は随分異なもの。
新橋の街並みで繰り広げられているのはガス灯や電信柱の設置工事です。
近隣の庶民が見物に訪れて、これが文明開化かと驚嘆したり囃し立てたり。
明治の人々はまさか埋めた光景を見に人が集まるなんて思いもしなかっただろうな、
150年後の世の中で。
毎週土曜日は日々の暮らしの中で生じた極々小さな、ドーデもいい愚問を
取り上げています。
今週は「無電柱化の今と昔」です。
新聞の片隅に国土交通省の広告が小さく載っていました。
曰く<無電柱化さらなる推進に向けて 日本の未来を見据えた5か年計画>の
大きな文字と<災害時の安全性を高め、景観を向上させる取り組み>の解説が
書かれていました。
長野県内でも数か所で無電柱化が行われ、スッキリとした街並みに変わって
います。
それなりの効果は実感できますが、気になるのは費用です。
いったいどれ程の税金が使われるのか知りたいところです。
<昭和60年代初頭から地中に埋設する取り組みが始まったが、現在でも
3600万本の電柱があり、依然その数は増えている。>(国土交通省 より)
実情は<今でも毎年1万本の電柱が増えている。>(47NEWS より)
掛け声に反して電柱の数は減っていません。
しかし海外では難なく工事を終えています。
<ロンドン・パリ・香港・シンガポールでは既に100%完了>
国内で最も取り組みが進んでいるのは東京23区だそうですが、その数値は
僅かに8%。
この違いには色々理由がある様ですが、主な要因は工事の内容。
ただ埋めるのとあれこれ装備を加えるのでは、当然工費も違ってきます。
大雑把な言い方をするならば日本の工事は丁寧なのでコストがかさみます。
平均して1km進むのに5億3千万円掛かるそう。
海外ではもっと経費を削る工事が行われている様ですが、そこは国民性の違いと
求めるものの差でしょうか。
明治の光景
巨額の税金を使って完了した電柱の埋設も、一方ではデメリットも出てきます。
<地震などで損傷した場合の復旧に時間と手間がかかる。
地中なので維持管理費も掛かるしメンテナンスもし難い。
場所によっては変圧器を設置するスペースを地上に確保できないこともある。>
(電線のない街づくり支援ネットワーク より)
それでも計画を進めるにはそれなりの理由があるそうで。
それは<①防災の備え ②安全な交通確保 ③景観形成・観光振興>(国土交通省 より)
地震で電柱が倒れれば大規模な停電も起きるし、緊急車両の通行の邪魔にも
なってしまいます。
①と②は全くその通りな理由に思えますが、ちょっと違和感を抱くのは③。
確かに無電柱化が済んだ街並みを目にすればスッキリ感で満足しますから、観光客
が集まるのも納得します。
でもね。
時を遡ったらそこに現れた景色は随分異なもの。
新橋の街並みで繰り広げられているのはガス灯や電信柱の設置工事です。
近隣の庶民が見物に訪れて、これが文明開化かと驚嘆したり囃し立てたり。
明治の人々はまさか埋めた光景を見に人が集まるなんて思いもしなかっただろうな、
150年後の世の中で。