行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

司法取引は労使信頼関係を崩壊させる

2018-07-22 21:37:27 | 労働

タイの発電所事業を巡る外国公務員への贈賄事件で、東京地検特捜部は20日、大手発電機器メーカー「三菱日立パワーシステムズ」(MHPS、横浜市)の元取締役ら3人を不正競争防止法違反(外国公務員への贈賄)で東京地裁に在宅起訴した。6月にスタートした日本版「司法取引」(協議・合意制度)が初めて適用されたケースで、特捜部は同社側との合意に基づき、法人としての同社は不起訴(起訴猶予)とした。

各紙で同じ内容が報道されているので、事実なのだろうが、会社のために不正行為を止む得ず行っても、申告により個人はお咎め無いが会社は有りというのが司法取引だと思っていたがこのケースは全く逆だ。今回は現地の社員は関与していても許可した上司が起訴された。残念ながら途上国では賄賂はまだまだ商取引のコストになっている現状を見ると、現地社員が司法取引に巻きこまれ、会社は不起訴というケースが多発する恐れがある。

[会社は国際競争の中で苦闘している社員を守ってくれる]という信頼関係が根底から崩れ、こうした司法取引は米国では当たり前でも、日本の労使関係に大きな影響を与える。司法でのコストが削減されるかもしれないが、日本企業の国際競争力にボディブローで効いてくる。

司法取引とは違うが最近の事件で日産、スバルの不正検査によるリコールが気になっていた。スバルの場合2017年10月に発覚し、吉永社長が陣頭に立って、工場出荷時の無資格検査防止を指導していたにも拘わらず、2018年6月にまた同じ無資格検査をやっていたことが明らかになり、吉永社長は引責辞任した。社長の言うことが工場レベルでは無視されたというのが理解できない。今度の司法取引で改めて日本の労使信頼関係の行く末が心配だ。

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