行雲流水

阿島征夫、一生活者として、自由に現代の世相を評す。時には旅の記録や郷土東京の郊外昭島を紹介する。

年間給与所得300万円以下の割合が4割をこえた

2010-09-30 18:50:34 | Weblog
国税庁発表の民間給与実態調査によると、2009年は年間406万円で前年より23.7万円(5.5%)も減少、これは1949年に統計を取り始めて以来減少額、減少率とも最大で、20年前の89年の水準に戻ってしまった。給与がピークだったのは97年、467万円だから実に61万円も下がったことになる。

これをどう見るかであるが、専門家の中には団塊の世代が大量退職したことを上げている。企業では団塊の世代の卒業を人件費削減の絶好のチャンスと捉えていた向きもあり、一つの要因だろう。しかし、それ以上に大きな要因はリーマンショック後のワークシェアリングにあると筆者は見る。減少幅の内訳は給料手当が4.2%減の15.3万円、賞与が13.2%減の8.5万円となり、雇用維持のために人件費を削ったことが明らかだ。

この統計の中にはパートや派遣社員も入っており、こうした非正規労働者の実態は明らかでないが、団塊の世代退職の穴埋めで非正規労働者を雇用したことも考えられる。給与額の人数分布を見ると、300万以下の割合が前年の39.7%から42%へ増えていることを見ると所得格差が拡大したと見られる。

バブルがはじけてその影響が給与額に出てきたのが98年、それ以来07年を除くと毎年減少しており、個人消費の不振、デフレの進行がこの統計でも明らかになった。09年の給与所得者は4506万人そのうち、年間300万円以下の割合が4割をこえてきた事実は大問題だ。
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円高対策 早急に補正予算を

2010-09-28 15:11:30 | Weblog
為替が変動制になってから久しいが激しく動く時には実体経済が被害を受ける。為替だけは専門家でも予想できない。かつて組合運動を長くやってきたが為替に振り回された経験が多い。1973年、固定相場360円から308円で変動制へその後、175円になり、また270円近くに戻り、プラザ合意で250円から2年足らずで150円へと目まぐるしく変わった。

その後、91年、92年、93年、94年とバブルがはじけても円は上がり続けた。94年末には100円まで円高になり、このままではどこまで行くのか不安だった。労働界の中心勢力だった金属労協(IMF-JC)は日本の産業基盤を担う製造業を組織し、輸出関連部門の円高によるダメージを恐れていた。

94年12月16日、金属労協議長の得本さんと日経連永野会長と村山首相へ円高対策を直談判した。(写真は官邸にて、右端が筆者)当時の記録だと、すでに94年12月で前年より製造業の雇用者は50万人減少しており、空洞化が加速していた。政府に産業基盤である製造業の雇用と技術の喪失を防ぐためにあらゆる手段で円高是正を要請した。


村山首相は良く理解ができないようであった。その後年が明けると円は90円になり、春闘の最中4月19日には79円という事態になってしまった。
その後、日本が超低金利で外国との金利差で円は100円をこえる水準に戻ったが、この2年で120円から85円に急騰した。今の事態は94年から95年への変化と同じように雇用への影響は計り知れない。

菅内閣は為替介入を実施し、サプライズで84円台まで引き戻したが、空洞化を防ぎ、日本の国内景気を支えるためには補正予算4兆円の早期成立が喫緊の課題だ。与野党の協議を見守り、どの政党がどんな知恵を出すか注目したい。野党の真価も問われる。
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昭和記念公園のコスモスと彼岸花

2010-09-26 21:25:01 | Weblog
昭和記念公園のコスモスを見に行った。まだコスモスの丘では咲いてなく、10月中旬との園の予想で、上旬から咲き始め今日が見頃の東花畑のコスモスを見た。ここはハッピーリンクというコスモスが中心で他にはヴェルサイユとか赤いあかつき、スーパービッキーといった種類のものが咲いていた。








猛暑のせいか彼岸花も今年はやや遅く、あちらこちらの林の中でひっそりと咲いていた。


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牙をむいた中国

2010-09-25 17:04:27 | Weblog
中国リスクについてはこのブログでも触れたことがあるが、今回の牙をむいた中国政府を見れば全世界が認識したと思う。船長の釈放があまりに早かったので序の口で終わってしまった。それでも中国に投資をやり過ぎて動きがとれない企業にとっては肝を冷やしたことだろう。

政府へ経済界からの泣きが入っての菅内閣の結論と考えるのが妥当だろう。菅総理は訪米してオバマ大統領とも会談をしていたので、米国からも早期解決を要請されたかもしれない。レアアースの禁輸(というとWTOに提訴されるので中国政府は言ってない)については、米国も大いに感心を寄せていた。レアアースを使用している日本製電子部品が入らないと国防産業の生産にかなり影響を及ぼすからだ。米国では急遽、2002年閉鎖したレアアース鉱山を再開する検討に入ったとの報道もある。

共産党独裁の政府なら国際法や国際間の約束など二の次で、国内でも法より党が優先する。自分たちに不利と思うことには牙をむく、この原則を踏まえて投資を考えるべきだ。
かつて、私も中国でのプロジェクトで煮え湯を飲まされたこともあるが、だめもとぐらいの気構えでやらないと・・・今回のようなことは又起こると考えるべきだ。

ということは民主化政権が誕生しない限り、中国との交易、交流など深入りしないことだ
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垣間見るアジアの巨大市場

2010-09-23 14:52:38 | Weblog
前回のブログで新興諸国への期待を書いたが、アジアに限って短期と長期の見通しをシンクタンクの見方で探ると、当面は米国経済だより、長期に限ると良き政策が遂行されれば、巨大な市場が生まれる。

ゴールドマン・サックスは2日発表したリポートで、日本と中国を除くアジアの成長率(季節調整済み前期比年率)が、第1・四半期の11.1%、第2・四半期の7.3%から、第3・四半期にはわずか3.5%、第4・四半期には3.2%に減速するとの見通しを示した。アジアは今でも米国経済悪化の影響を免れないことが原因だ。
日本を除くアジアの鉱工業生産がことし後半に年率5%増加と、長期平均の半分程度にとどまると予想する専門家もいる。

一方アジア開発銀行研究所から出された長期の予想では、2030年加盟22カ国のアジア中間層の購買力について32兆ドル(2003年4.3兆ドルの実績)に達すると発表した。日本の最終消費支出が3兆ドルだから大変な額だ。アジア途上国の中間層(1日当たりの支出額が2~20ドルの消費者)は1990年には5億人だったが、2008年には19億人まで拡大した。中間層の拡大は耐久財の普及を促し、世界全体の消費拡大に貢献する。

しかし彼らの大半が「1日2~4ドル」の所得層で、再び貧困層に転落する可能性もあり、所得格差是正や進んだ教育や医療を広めるなど、中間層に配慮した政策が必要と云っている。特に強調したいのは最低賃金の法制化が重要だ。人口の多い中国、インドネシアで毎年改定が行われている。

日系企業投資が盛んな人口8875万人のヴェトナムでは、2011年の最低賃金を今審議している。4つの地域別最賃月額を決めていて、現在の案は21.5%アップの3700円~5600円、外資系企業はさらにこれに1000円程度上積みされる。それでも日本の最賃日額程度だ。
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米国が新興諸国の一つという考え方

2010-09-21 18:27:39 | Weblog
先日ある新興諸国に関するセミナーに参加した。いわゆるBRICsの分析が中心であったが、現在の世界経済危機を救える力はまだBRICsにはない。なぜならBRICsのマーケットは先進諸国の60%にすぎず、現在の需要不足を補う規模には至ってないからだ。

しかし、将来のこととなったら話は別で、13億人の中国や12億人のインドの内需が拡大すれば大きな市場になる。最近はさらに2.3億人のインドネシアが注目されている。2030年には中国が最大のGDP大国になり、これにインド、東南アジアを加えると、もはや米、欧州、日本合計のGDPを上回る。いずれもキーは人口大国だ。この中で中国は確かに何歩か先を行くが、一人っ子政策で高齢化が進み、若いインドやインドネシアがその後の発展をつなぐ形となりそうである。

あまり先のことは私にとっては興味がない。せいぜい2030年ころまでだが、そのセミナーで人口を軸に考えるとこの世界経済危機突破をはかるのはCIAだと言う話が出てきた。中国、インド、そして3.3億人のアメリカだというのだ。ECでも5億人いるが人口が増えてない。毎年、300万人移民が増えている米国こそが新興国だという理屈だ。確かに米国の楽観的な経済学者の主張の背景は毎年300万人の移民が家を買い、車や家電製品を買う、新規需要はほっといても出て来て2年後には米国経済は立ち直ると言う。

この場合、当然ドル高、円安となる。
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勢います南アフリカの賃金闘争、ブリッジストーンが標的

2010-09-19 18:38:04 | Weblog
前回のブログで、南アフリカ金属労組(NUMUSA)の友人が賃金闘争のために来日できなかったことを書いた。その後、NUMUSAの情報から判ったことだが、成長を賃上げやその他の労働条件向上に繋げようと向こう3年間の労働協約改定交渉でストを決行している。

労組の要求は賃上げにおいては1年目11%、2年目12%かCPI(消費者物価増加率)+2%のどちらか大きい方、3年目が14%かCPI+3%のどちらか大きい方、
これに対して経営者タイヤ協会の回答は1年目8.5%、2年目、3年目5%かCPI+1%のどちらか大きい方、という回答であるが、ブリッジストーンだけが1年目7%で2年目、3年目はCPIだけの賃上げと、業界各社より一段と低い回答を出した。組合はこれに強く反発、ブリッジストーンを標的にした2回目のストを9日に行った。

金属労組は自動車販売店も組織化しており、ブリッジストーンのタイヤ及び関連商品を販売店でボイコットするように指令を出し、ブリッジストーン社へ圧力をかけている。

新興諸国の状態は日本の60年代に匹敵する成長で、外資に対する賃上げ圧力は中国だけでなく他の新興諸国にも波及しだした。中国をのぞく新興諸国の労組は国際組織に入っているだけに横の連絡を密にするため、ネットワークが確立している。
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BRICsの組合リーダーからの報告

2010-09-17 23:07:18 | Weblog
昨日は国際労働財団の招きで在日したBRICsの組合リーダーの報告会があった。組合リーダーといってもスタッフとして各国の経済や労働条件などを研究している人材だった。
共通して言えるのは先進国組合リーダーが最近口癖になっている「グローバリゼーションで貧富の格差が広がった」という見解に対して、成長が続いているため、格差は広がったとは言えず、グローバリゼーションのおかげで生活が豊かになったという。しかし各国とも大きな課題を持っている。

特徴的なことはブラジルは労組出身のルラ大統領により政治への信頼感が戻ったことだ。社会的な課題は政労使の3者構成フォーラムで決めている。この10年間の成長率は年平均3.5%でそれ以前の20年間の成長率は1.5~2%で、失業率も低くなっており、社会的な格差は減少している。ブラジルからの参加者は労働・社会経済研究所からで、この研究所自体がつくられたのは政府の統計数字特にインフレ率が信頼できないから独自の調査の上、物価や失業率の計算をして運動の基礎にしている。

ロシアについては、プーチン前大統領以来強権政治が行われているが、労働組合は人権を守り、社会保障の改善に取り組み、雇用を守ることで政治と経営者を相手にぎりぎりの妥協をしながら組織を維持していることが伝わってきた。問題はサービス産業の肥大化で若者の多くが就職しているが組合がないことで良い仕事と適切な賃金のために組織化が課題。

インドはグローバル化であらゆる部門に投資がされ、競争に負けた中小企業が倒産している。それに反し、IT産業は大きく発展した。多国籍企業で労働者のスキルが向上すれば理想だ。現状は幹部は賃金が高いが労働者は国内企業より低い。インドでは10のナショナルセンターそれぞれ政党と関係を持っている。企業の中に複数の組合があり、複雑で政党との関係があり統一は見えない。

中国はインドと違い、中華全国総工会だけが組合と認められている。政党が事実上共産党だけだから、共産党の下部組織となっている。昨年は8.9%の成長で、今年は日本を抜くといわれるが一人あたりのGDPは3600米ドルで日米の10分の一にすぎない。また所得の地域格差(都会居住者一人あたり可処分所得15781元、農村居住者4781元)縮小が課題、
しかし、若者の失業を当面解決しなければならない。即ち農村から都会に働きに来ている若い失業者は農業の経験もないから農村に帰れない、少なくとも解決するには1300万人に雇用が毎年生み出されなければならないが現実は800万人にすぎない。

南アフリカから来る予定の金属労組のリーダーは旧知の友人で、会えるのが楽しみだったが賃上げストの真っ最中で来られず残念であった。
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民主党代表選、世論が永田町の論理を寄り切った

2010-09-15 10:15:02 | Weblog
8月30日のこのブログで「民主党党内世論の不思議」で書いたが、民主党の代表選選挙結果を見て、不思議でなく永田町の論理がそのまま民主党に受け継がれてしまったことがはっきりした。ただ、今回は小沢チルドレンと言われる新人議員が多く、選挙で世話になった小沢前幹事長に投票したことは人情としては判るが、鳩山前総理までもが小沢さんに総理にして貰ったから、小沢支持という訳のわからないことを言っている。後者の論理で小沢支持をした国会議員はそろそろ考え直して貰いたい。

かつて、田中角栄が金の力で総理の座を射止めたが、ロッキード事件で収監され、起訴され有罪となった時でも国会議員の多くは悪く言わなかった。野党の社会党議員にも気を配り誕生日には花を届け、資金集めのパーティ券を買い、永田町での人気は抜群だったからであった。

今の民主党で資金力のある小沢グループ、鳩山グループにパーティ券買い取りなど何らかの金銭的なめんどうを見て貰った議員が多いことが世論との乖離を生んだのだろう。今回の代表選でこうした永田町の論理が敗れたことは党改革の原動力となろう。

政治とカネで幹事長と総理を辞めた小沢と鳩山に党員とサポーターはノーと言ったのだから所属議員は二人の「タニマチ」から乳離れすべきだ。検察審査会にかかっている小沢の資金はどこから来たのか、平成の脱税王と国会で指弾された鳩山は親からいつまで援助して貰えるのだろうか
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日本のリーダーシップはメリーゴーランド 民主党代表選

2010-09-13 23:12:15 | Weblog
ニューヨークタイムズの社説で揶揄された民主党代表選
9月6日の社説で次のように、回転ドアから次々と出て来る首相、そして政策も変わることは日本だけでなく世界にとっても不幸なことだと言っている。
以下素人翻訳で我慢して下さい。

目まぐるしく変わる日本のトップ交代は益々非生産的になっている。この国はこの20年間で14人の首相を交代させ、もしかしたらもう一人誕生するかもしれない。このたった12ヶ月で3人の首相を生み出し、新しい政策を示すことも難しく、まして実行することはさらに難しい。

これではどんな国でもうまく治めることは難しい。しかし、日本は世界第3位の経済大国だ。その首相は活気のあるかつ統制のとれた経済政策により、不況から世界を引っ張り上げ、かつ米国との強い同盟関係を維持して行く必要がある。

9月14日には民主党の代表が決まり、同時に勝者が首相になることは殆ど確実だろう。小沢一郎、長い間権力の仲介人だったが、3ヶ月前に首相になった菅直人に対抗して立つと先週発表した。

専門分析屋は勝負はきわどいと言っている。二人とも欠点はあるが、50年支配してきた自民党最後の何人かの首相よりましだろう。菅氏は7月の参議院選挙で過半数を失い挑戦をうけている。駆け引きにたけているといわれる小沢氏はには政治とカネのスキャンダルがつきまとい、告発までされている。

どちらが勝つにしても、優先されるべきは経済政策だろう。GDPの倍に達する累積公的債務、GDPの10%に達する財政赤字だ。しかし日本は国内需要を刺激しなければならない。輸出にばかり頼ってはいられないのだ。これには財政刺激の継続が要求される。家計の消費を促進するには長期の戦略もまた要求される。

先日の共同会見では、小沢氏が子供手当や農家の所得保障など満額支給等、成長へ支出を増やすことに積極的だが、菅氏は国家債務を減らすことにより焦点を絞り、10%の消費税へ倍増税を示した。

米国との関係強化はこれまた重要だ。菅氏は沖縄の米空軍基地の再配置には長期の話し合いをすると約束した。小沢氏は交渉の再びのやり直しに意欲を示した。小沢氏は非現実的なポジションを考え直す必要がある。なぜなら、彼は代替案を持ってないし、米国は確実に動かないことを承知しているからだ。長いこと、基地問題は両国の安全保障関係に緊張をもたらした。彼の先月のコメント「米国人は単細胞で単純だ」は新しい友人を作るのに最も良い言葉とは言えそうもない。

ひとたび選出されれば、次期首相は確固たる経済、外交政策を実行できる充分な期間努めてほしい。政策がそのたびに変わる回転ドア指導者は日本の利益だけでなく世界の利益にもならない。
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