tamiのブログ

このブログ・・・妄想ー空想大好きな私が、勝手に楽しんで・・・勝手に文字にしています。ボロボロですが(笑)

my seif -16

2021-11-30 08:35:47 | my self


また、前ほどの表情は消えた事に驚いた・・・レアの表現の不安定さは、普通とは逆に自分が落ち着く事に苦笑いしかない。

それでも会話の中で返事が欲しい時は、前より真剣そうな顔付きで考え自分へ意思表示してくれるレアにホッとした。

犯罪に巻き込まれるから・・・そう何度も教え込む伊瀬の妻、依子・・・ジッと見返し頭を下げて出てくのよと言いながら深い深いため息をする彼女に伊瀬は苦笑いをしながらも謝った。

そして服・・・浴衣を洗っては干しての繰り返しに、一緒に買いに行き家で話し込んだ。

やっと探して見つけた浴衣・・・好みはなかった事にホッとしたが、着やすさはあるのか自分から探し浴衣を着込む。

本格的に寒くなる季節・・・大人3人で悩む日々・・・上着を着せて出掛ける事・・・出るならコレを着るのだと玄関の見える場所へ掛けておく。

見つけたら自分達が着せる・・・一人では着て行かない事に苦笑いだ・・・それでも寒さは心配で、浴衣を厚地へ替え別の浴衣は裏地を着けた。

普通の服も嫌がらないが、自分で着るのは浴衣・・・普通の服を着ていれば浴衣に着替えて行く・・・だからか家の中ではと、イセ夫婦は温かな服を選び妻が楽し気に着せていた。



食事も終わりリビングで寛ぐ・・・果物が乗った大皿から小皿へ2つのせ、テーブルの端に置いたレア・・・

皿をジッと見つめていたが、少しだけ視線があがり微笑んだ事に驚いた・・・見合う二人・・・またスッと見上げ微かに頷くと自分にかフォークで一つさして食べ始めた。


遅いと思ったがハルは伊瀬の家へ足を進めた・・・鍵がかかっていた事でレアは散歩へ行っていないのだと笑った。

預かった鍵・・・迷ったが静かに中へ入れば・・・リビングから漏れた明かりに驚き覗いた。

ソファーで寝ていたのはレア・・・伊瀬夫婦は起きていたが・・・眠る姿をジッと見つめていた。

『(笑)起きてらしたんですね・・・すみません、寝てると思って呼び鈴は鳴らさずに入りました』
『 ・・・ ・・・(笑)お帰り』
『ただいま(笑)帰りました』

自分の姿に 来たのかと苦笑いをした伊瀬・・・隣に座る依子は泣きそうな顔だった事に驚いた。

『・・・ な・・・何かありました?』
いつもの二人と様子が違う事に戸惑い静かにレアの隣へ座りながら伊瀬へ言った。

依子の視線はテーブルで、端に置かれた小皿を眺めていた・・・レアがいる場所でも二人が座っている場所でもない。

誰も居ない場所・・・誰かが来ていたのかと眺めていた。

『レアが・・・置いたんだ(笑)。
自分が食べる前に・・・(笑)ソコへ置いて笑った・・・もしかしてソコに居たのかと嬉しくてな(笑)へんな想像をしてしまったよ・・・』

『 ・・・』
『(笑)ソコが定位置だった・・・・』
泣きそうな顔でもあるが嬉しそうで懐かしそうな気もした伊瀬の姿に、レアがと寝ていた子へ目を向けた。

そうかと笑み思い出した・・・・
ここへ来た頃に聞いた話・・・娘夫婦と孫が事故で逝ったと聞いた・・・ショックで入退院を繰り返す妻が心配だと早期退職していた。

小皿に乗る果物・・・レアが会ったのだと、何より会いに来ていたのかと笑み優しくレアを撫でた。

『クリスマスプレゼント(笑)なんでしょうかね・・・レアが話せるなら・・・色々聞けましたね(笑)きっと』

穏やかな声で話すハルに驚きながらも聞き入り静かに小皿へ目を落とす伊瀬・・・確かにと笑む姿に優しく見守るハルもいた。

潤んだ目で懐かしそうな笑みになった彼女は、レアを見つめ囁くように礼を言った。


ムクッと起きたレアがハルに気づく・・・ジッと見ていたが、視線は静かに後ろへそれていった。

『起きたね(笑) レア、もしかしてソコに居るの?』
ゆっくりと静かにレアへ聞いてみる・・・視線は外さずに頷いた・・・

『それは写真で見た3人で(笑)、笑ってるのかな・・・』
3人でと言った時に自分を見つめたレア、だから聞いてみた・・・暫く考えてから頷き視線は流れていった・・・

低い位置へ視線は流れ 伊瀬夫婦の場所で止まり、何かを静かに見ていたが優しい笑みがレアから溢れた事に驚いた。

初めて見るのだろうレアの姿・・・伊瀬へ視線を向ければ驚いた顔でレアを見つめ、今度はレアが向けていた視線の先へと交互に眺めていた。

依子が涙を溢す・・・不意に振り向くレアがハルの頬へ手を当て、今度は伊瀬夫婦の方へ視線を戻した。

『(笑)依子さんに?二人に?』
二人と言ったハルに頷くレア・・・伊瀬夫婦は驚きながらも、涙を払うことなく微笑んだ。

視線が上がる・・・
『(笑)帰ってくのね・・・』

そうだと頷きながら天井へ向けていく・・・慌てるように一緒に眺める二人もいた。

ありがとう・・・
二人から溢れた声音の優しさにハルは静かにレアを抱き締めたのだった。


『皆を優しく見守れるなら(笑)、その笑顔で私達に声をくれない?』
『 ・・・ ・・・』
『レア(笑)、いつかでいいわ・・・』

だから声をと笑み見つめたハル・・・抱かれたままにジッと見つめるレアだった・・・いつもより長い時間で考える姿に口を引く。

いままでにない笑みが目の前に現れた事に嬉しくてレアを見つめるハルだった。

それ以来なくなった笑み・・・気にもしないハルに笑う伊瀬夫婦もいた。




ふと思い出した出来事・・・伊瀬夫婦は今も元気に暮らしているのかと・・・妙に懐かしくなったハルがいた。


二人と別れて日は流れていた・・・自分の場所から巻き込んで危険にも出来ない。

そんな場所に自分は居るのだと妙に気になる事に苦笑いしかない・・・それでも少しずつ現実へ迎える自分は出来ていた気もする。

学びは遥かに多い・・・望む先に出来ない可能性もある・・・出来ないままに始める自分もいそうで・・・それは長く続いていくのだと覚悟した。


少しずつ具体化していこうと・・・それは今いる場所とは違うが・・・その場を乱さず、巻き込まずに始めようと思えば・・・そんな自分が出来ていた事に可笑しくなった。

それでも始める自分がいる・・・ならば頑張ろうと誓いを新たにした陽乃だった。