大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2019年06月13日 | 写詩・写歌・写俳

<2716> 余聞、余話 「夏の花」

    花は花の使命に咲けるものながら文化の香りとなりて咲くなり

 庭や畑や道端など私たちの身近には草木の花が見られ、日々の生活の中で触れて来るということがある。その花たちを意識して見てみると、案外な数に上る。そして、それらの花を少しく調べてみると、花が文化の一端にあるということに気づく。

 今は夏であるが、夏には夏の花が咲くという当たり前のようなことにふと改めて思いが向かい、なぜ、この花は夏に咲くのだろうと思えて来たりする。と同時に、前述したように、花が文化の一端であるという私たちと身近な草木の関係性というか、そういうことにも意識が向かうということになったりする。

 では、六月の現在咲いている身近な花十種について写真とともに見てみたいと思う。その十種は我が家の庭先をはじめ、畑や道端などで撮影した花で、次の通りである。セロリ、モロヘイヤ、ナンテン、ドクダミ、バジル、トウガラシ、ヤナギハナガサ、ヤグルマギク、オオキンケイギク、ホタルブクロ。

        

  セロリーーーーーーーーーーヨーロッパ原産のセリ科の1、2年草。オランダミツバの別名でも知られ、よく食卓に姿を見せる食用植物である。

  モロヘイヤーーーーーーーー東地中海原産のシナノキ科の1年草。ビタミンA、B、カリュウム、カルシュウム、リン、鉄などの栄養分を豊富に含み、幼葉を食用にする食用植物である。

  ナンテンーーーーーーーーーメギ科の常緑低木で、高さは二メートルほど。赤い実は苦く毒性を有するが、葉や実は薬用として知られ、実は咳止めなどに、葉は赤飯の上に置かれたりする。

  ドクダミーーーーーーーーードクダミ科の多年草。十字形の白い花弁状に開く総苞片がよく目立つ。花はその中心に立つ棒状の花序につく黄緑色の微粒の一個一個で、多数に上る。北海道を除く全国各地に野生し、十薬の生薬名を持つ名高い薬用植物の一つで、ドクダミ茶はよく知られる。

  バジルーーーーーーーーーーインド原産のシソ科の多年草。サラダやパスタに用いられる芳香のある葉はイタリア料理やフランス料理に欠かせないハーブの一種で、黄色いかわいらしい花をつける。

  トウガラシーーーーーーーーメキシコ原産のナス科の多年草。所謂、唐辛子で、名の由来は唐(中国)から入って来た辛子の意。香辛料でお馴染みの野菜である。薬用にも刺激剤として用いられる。

  ヤナギハナガサーーーーーー南アメリカ原産の多年草。サンジャクバーベナの別名でも知られる。観賞用として帰化し、野生化して道端の草叢などに見られる。

  ヤグルマギクーーーーーーーヨーロッパ南部原産のキク科の越年草。別名ヤグルマソウ。原種は青色で、改良されてピンク、赤色、白色などの花も見られる観賞植物である。写真は園芸種による。

  オオキンケイギクーーーーーアメリカ原産のキク科の多年草。高さ60センチほどで、直径5センチほどの黄色の頭状花を咲かせる。観賞用として渡来、野生化して道端などでも見られる。

  ホタルブクローーーーーー北海道から九州までほぼ全国的に分布し、朝鮮半島や中国にも見られる多年草で、観賞用の園芸種も見られる。花は淡紅紫色または白色で、濃い斑点がある。写真は園芸種による。

             

 これらの花を判別してみると、観賞用、食用、薬用として私たちの役に立つものばかりであるのがわかるが、この中で在来はナンテン、ドクダミ、ホタルブクロの三点のみ、残りの七点は外来の帰化植物の範疇に入る。この七点は何らかの理由によって人がもたらした一種の文化の一端、その片々であるということが出来る。

 この十点の原産地からうかがえば、もたらされたのに欧米のものが多く、在来のものが少ない。そして、グローバル化の影響により世界から入っているのがわかる。昔は中国との交易が頻繁で、中国から入って来るものが圧倒的であったが、戦後の時代は欧米との行き来が頻繁になり、この影響によりこの方面からのものが多く、最近のグローバル化の勢いにより、世界の各地から入って来るに至っている。この十点のみを見てもその傾向がうかがえる。そして、それは文化の流れに沿うことが言えるように思われる。

 写真は上段左からセロリ、モロヘイヤ、ナンテン、ドクダミ、バジル。下段左からトウガラシ、ヤナギハナガサ、ヤグルマギク、オオキンケイギク、ホタルブクロ。

 


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