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時は金なり。金は時買えぬ。「一寸光陰一寸金、寸金難買寸光陰。」

『弟子規』日本語解説(68)

2018年10月18日 | 『弟子規』日本語解説
己有能 勿自私 人所能 勿輕訾
jǐ yǒu néng wù zì sī rén suǒ néng wù qīng zǐ
【解説】自己有才能,不要只顧著為自己謀私利,也應當做一些對社會大眾有利益的事。別人有才能,不要心生輕視、嫉妒、侮辱、毀謗。
【和訳】自分に才能があれば、自分一人だけではなく、もっと多くの人を助けるべきです。人に才能があるとしても、軽視(けいし)、嫉妬(しっと)や侮辱(ぶじょく)、名誉棄損(めいよきそん)をしてはなりません。



●簡単解説:
★「己有能 勿自私(自分に才学や物質的な能力などの力があれば、自分一人占めにしてはいけません)」についてですが、自分には何らかの能力が長けているのであれば、まず中国のある古訓を思い出すべきです。それは「不孝有三、無後為大」(不孝に三(さん)あり、後(のち)なきを大(だい)なりとなす)です。この「後」とは何でしょうか。後継者・伝承者のことです。

家庭であれば、「後」は子孫がたくさんという意味ではなく、子孫の中に、家の家道(家族が守るべき倫理・道徳)・家業を継承できる人材がいるということです。逆に、子孫がいくら多くても、中に賢明な人がなく、家道・家業を継承できないのであれば、その家系は衰えていることとなります。

教学であれば、先生・師匠の後継者、その教えの伝承者は「後」となります。

つまり、長じている能力があれば、伝承者を探すべきです。後世に伝えることは一番大事なことです。伝承者がいなければ、自分だけではなく、さらに父母、師匠までに申し訳が立ちません。あなたの世代で終わってしまうからです。これはもっとも不道徳なことです。あなた自分自身がいくらよくできていても、伝承者がいなく、次の世代に伝わらないのであれば、あなたのその一生の事業はゼロに等しいです。ゆえに、この「己有能 勿自私」の意味は実に深いです。

★現在の社会では善人が非常に少なく、自ら進んで他者を助けたい人もあまりいなくなりました。私たちは今日でこの『弟子規』を読んだから、ぜひ今一度自分自身のことを振り返ってみましょう。もし、私にはそのような才能、学識、道徳があれば、ぜひ、奮起して立ちあがり、この社会を助けるために、自分ができることを貢献してみませんか。これによって、現代の衰え廃れている社会風俗を、少しでも挽回できるのではないでしょうか。

★「人所能 勿軽訾」(他人に才学や物質的な能力などの力がある場合であれば、軽蔑、嫉妬や非難、中傷をしてはいけません)ですが、『朱子家訓』にも「人有喜慶、不可生嫉妬心;人有禍患、不可生喜幸心」(人(ひと)、喜慶(きけい)有(あ)るとき、嫉妬の心(こころ)を生(しょう)ず可(べ)からず。人、禍患(かかん)有るとき、喜(き)幸(こう)の心を生ず可からず。)〈他人に喜びごとがあるときに、それを妬む心を起こしてはなりません。他人に悪い事や心配ごとがあるときに、「いい気味だ」と喜んではなりません。)という教えがありました。



簡単解説の内容は浄空法師の説法、楊淑芬(ようしゅくふん)居士先生の「弟子規」、成徳法師(蔡礼旭<さいれいきょく>先生)の「幸福人生講座」などの講義内容に参照してまとめたものです。
一部の内容は念仏人さんのブログによります、心から感謝いたします。
ブログをご覧になっている皆さんとご一緒に学ぶことができて、本当にうれしいです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。