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時は金なり。金は時買えぬ。「一寸光陰一寸金、寸金難買寸光陰。」

『弟子規』日本語解説(67)

2018年10月17日 | 『弟子規』日本語解説
才大者 望自大 人所服 非言大
cái dà zhě wàng zì dà rén suǒ fú fēi yán dà
【解説】一個才學豐富的人,名望自然會大。因為人們所佩服的是他的真才實學,而不是自吹自擂的人。
【和訳】才能の優れた人は、自然に名望(めいぼう)が高まるもので、人々が敬服(けいふく)するのは真(しん)の才能と学問であり、決して口での大言壮語(たいげんそうご)ではありません。

●簡単解説:

★本当に学問と才能のある人はわざわざそれを言わなくても、周りにその才能を認められ、自然に名望が高いです。そして、「謙虚」もその学問の一つで、謙虚な人なら、自ら良い所を言わないでしょう。

★明代呂新吾(明朝末期の儒者であり、呂新吾によって著された『呻吟語』は大塩平八郎をはじめ、日本で多くの人々に強い影響を与えたものです)の『新小児語』にこんな言葉があります、『冷眼觀人 冷耳聽語』(冷静な目で人を観察し、冷静な耳で人の言葉を聴きます)のように、逆に、華麗なる言葉を聞いても、必ず相手が本当に学問と才能があるかどうかを智慧で判断しなければならないです。


(明朝末期の儒者・呂新吾によって著された『呻吟語』)

★春秋戦国時代、孔子には三千人の弟子がいたが、その中の一人に子羽という者がいました。彼は容貌が悪く、孔子が初めて彼を見た時、彼の印象は良くありませんでした。孔子には、彼が愚鈍に見え、言語弁舌も明瞭ではなかったため、前途に見込みはないものとひそかに思っていました。
 別に、宰我という学生がいましたが、彼は堂々としており、礼儀正しく、弁舌爽やかであったため、孔子が彼を初めて見たときには、前途有望の得難い人材に思えました。
 しかし孔子の予想とは裏腹に、子羽は学問に興味を示し、考えることも好きだったため、努力し続け、最後には学者となり、これに師事を求める者が続出しました。しかし、宰我は怠惰になり、学問を好まず、孔子の教導努力にも応じず、進歩が見られなかったため、最後には「腐った木には彫刻ができぬ」と孔子は評価しました。


(孔子の弟子・子羽)

 孔子は自らの判断を誤った原因として、「吾以言取人,失之宰予,以貌取人,失之子羽。(吾(われ)は言(げん)を以って人を受け取り、これを宰予に見あやまった。貌(かお)を以って人を受け取り、これを子羽に見あやまった)」と言っています。「以貌取人」( いぼうしゅじん。貌を以て人を取る)という四字熟語はこの孔子の失敗談から生まれました。
けっして容貌などの外観だけでは、その人の賢愚は判断してはいけませんね。