野球少年は夢を見る…

Hanshin Tigers Series 2024

プロ野球タブーの真相(別冊宝島)

2007-01-13 11:22:29 | Stove League
 プロ野球タブーの真相、と銘打っているから、どんなに凄いかと思ったら、何のことはない。スポーツ新聞やWEB-Siteでも十分知りえる程度の内容の集積。「廃部のシダックスから森滝獲得を……」と≪天下の≫永谷脩(スポーツライター)が選手の名前を間違えたりしている。(正解は森福)

 阪神タイガースが連覇を逃した原因についても、故障者が続出して、その手当て(バックアップ)をしておかなかったこと、若手を登用しなかったことを挙げているが、そんなことはない。昨シーズンのタイガースに関しては(期待していた)若手が伸びなかったこと。是に尽きる。杉山直久や左腕・江草仁貴、能見篤史、筒井和也らの伸び悩みが致命的、だった。認識が甘すぎるヨ、と(読みながら)突っ込みを入れたくなった。

 しかし第1章では、審判の「誤審」問題や「ドラフトの裏金」「スパイ疑惑」にも触れられていて、特に「誤審」問題の織田淳太郎氏(スポーツライター)の文章が「読ませる」。こういうプロの仕事を「読みたい」ものだ。読み応えのある文章だった。「スパイ疑惑」では、伊良部秀輝(前・阪神タイガース)のフォーク(球種)がバレていたらしい。それであんなに打ち込まれだしたのか? 

獲得発表!ジャンで“井川超え”だ (デイリースポーツ)

巨人軍タブー事件史―「栄光」の歴史に刻まれなかったストーリー (別冊宝島)

2007-01-11 11:37:41 | Stove League
 別冊宝島の『巨人軍タブー事件史』。かなり期待して、購入したのだが、やや期待外れ。Amazonの画像も無いし。一応、一通り、読売巨人軍のスキャンダルは押さえられているが、撫でただけ、という気がする。特に『「湯口敏彦」はなぜ死んだのか』は、織田淳太郎の『巨人軍に葬られた男たち』(新潮文庫)に較べたら、比肩のしようが無い。織田本で語られたことが後追いされているだけ。事実の「新」発掘など何もない。

 買わなきゃよかった、と後悔。ジャイアンツ・ファンでもないのに、何でこんな本を買ってしまったのか? プロ野球の盟主の座は、今や阪神タイガースが観客動員の実績面で、読売ジャイアンツを大きく引き離して、上回っている。今やタイガースが盟主の地位にある。
 しかし「巨人」ブランドにいつまでも<ノスタルジー>を感じている“おっさんマスコミ”と、地方でジャイアンツ戦しか見たことなかった田舎者たち(!?)が依然として「巨人」中心主義を棄てない。当のタイガースにも「盟主」になる意気地が無いから、状況は膠着している。

橋本良 「野村ノート」で文武両道 (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の六)

2007-01-07 11:53:10 | Stove League
 巨人軍を内側から(図らずも)瓦解させてしまったのは、長嶋茂雄元監督だったのかもしれない。あるいはそのシンパ、か。外側から瓦解へと導いたのは、著者(野村克也監督)だったか? そしてやってきた、日本プロ野球の衰退。
 プロ野球=巨人軍だった為に、巨人が強くなくなった為に、プロ野球人気も低下しているように見えるが、しかし実際は、阪神タイガースの地元・甲子園球場は連日≪満員≫の観衆が詰め掛けるし、福岡(ヤフードーム)のソフトバンク・ホークスもそう。仙台の東北楽天ゴールデンイーグルスも続いている。要は巨人軍をどうするか? の局面に差し掛かっている。

 またあの手この手を駆使して、巨人を強くする為に制度を弄くるか? それとも巨人をプロ野球の<ワン・オブ・ゼム>として扱うか? そのどちらの選択もできない。どちらかの方向にも針を強振できないところにプロ野球の「苦悩」がある。ハーフスウィングを繰り返す、プロ野球。出口は未だ見つからないのだと思う。……著者の最後の夢は「日本シリーズで巨人を倒す」ことだそうだ。

太陽「開幕ローテ入り」でV呼ぶ (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の伍)

2007-01-05 20:58:43 | Stove League
 ヤクルトスワローズのあるコーチが著者に向かって、「阪神とやるときにはやりにくい」「今の阪神の野球は、随所に野村さんの影響を感じられる」と言う。<ID野球>をスワローズで芽吹かせ、その後のタイガースでは結果的にはいい成績を収められなかったが、確実に<ID野球>はタイガースに根付き、スワローズと対等。スワローズに≪脅威≫を与えるチームになっている。
 タイガースが弱い時代には、どうしてもスワローズに勝てなくて、悉く<ID野球>の前に屈してきたのだが、著者のダブル存在が、セントラル・リーグの勢力図を一気に変えた。これは凄いこと、だ。

 しかし、そんな<ID野球>も昔の≪巨人野球≫がお手本。その「老舗」読売ジャイアンツが、現代の「情報戦」で悉く遅れをとっているが為に、伝統は失われた、と言われるのだろう。昔は常に野球をリードしてきたのは、ジャイアンツだった。それを壊したのは、著者。
 読売巨人軍は2005年のオフ、星野仙一SD(阪神タイガース)に監督要請をしたが、あれは間違いだったのかもしれない。本筋から行けば、(東北)楽天(ゴールデン)イーグルスに先駆けて、著者にこそオファーを出すべきだったのでは? しかし著者はそれを受けないだろうし、オファーも出ないだろうが……稀代の破壊者にして創造者はここに、いる。

日本ハムが阪神・吉野獲得へ (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の四)

2007-01-04 20:27:06 | Stove League
 野球のオーダー(打順)というのは、≪川上巨人≫の時代に初めて作られたらしい。それまでは、3番、4番以外はただ適当に並べていただけ、というのだから、まさに「野球」。現在のモデルケースを作ったのが、≪川上巨人≫だった。
 1番に俊足のスイッチヒッター(柴田勲)を置き、2番に小技の利くバントの巧い、右打ちが巧いエンドランもこなせるバッター(土井正三)。ONを挟んで、5番に勝負強いバッター(高倉照幸や末次利光)を置いた。
 明確な意図と目的を持って、不動のオーダーを作り上げたのだが、それに反逆したのが、≪長嶋巨人≫だったか? 4番バッターばかりを並べ、「適材適所」の逆を征った。稀代の破壊者だったか、あの人は……

 キャッチャーも昔は、身体の頑丈そうな選手が守るポジション。少年野球や学校の体育の時間と同じ基準で選ばれていたが、しかしその固定観念を覆したのも、巨人軍。これは水原茂監督時代だった。そこで見い出されたのが、著者のライヴァルであり、親友の昌彦(現・祇晶)氏だった。
 その後の日本球界で何故か、キャッチャーが背番号「27」を着けたがるのかは、この森氏の背番号だったから、と断言できる。それ以外に考えられない。著者(野村克也監督)の背番号「19」は特異すぎて、誰も着けたがらないが。

野原本格始動!1軍で“大噴火”や (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の参)

2007-01-03 11:34:35 | Stove League
巨人はパイオニアである」と第3章。何故か? いち早くメジャーリーグの<ドジャースの戦法>を採り入れ、日本プロ野球の近代化の先鞭をつけた、からである。それまでは、ブロックサインも(さまざまな)トリックプレーやサインプレーや、あるいは先発投手のローテーションの確立やワンポイントリリーフ、守備固め等も無かった。日本プロ野球の原初は、字そのものの「野球」だった。そこに「ベースボール」の血を入れていったのが、読売巨人軍だった。故にパイオニアであり、強かった。

 故・水原茂監督がメジャーリーグのスタイルや戦術を日本に紹介し、その後の川上哲治監督が<ドジャース戦法>を実践していった、という。日本初のスイッチヒッター(柴田勲)を誕生させ、1965年に宮田征典投手をリリーフの切り札として起用したのも、川上元監督だった。
 <ドジャースの戦法>=システマティック(組織的)な野球を確立していった。「管理野球」とも呼ばれたが、その「組織」や「管理」に反撥して、奔放な野球を展開しようとしたのが、長嶋茂雄その人だったか……故に長嶋氏は川上氏から疎まれたのだが……最近の巨人軍の低迷の元凶は、実は国民的人気者のその人だったのか? ならば、原辰徳監督が掲げた<スモール・ベースボール>は先祖返りの妙手だったのかもしれない。

岡田監督 今季はとにかく「勝つ」 (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の弐)

2007-01-02 10:47:51 | Stove League
 第2章は「巨人への対抗心とID野球」。『野村ID野球』の原点は、ドン・ブラッシングゲーム=ドン・ブレイザー氏との出逢い、である。「妻が英語が出来るので」ブレイザー氏と親交を深めることが出来た。沙知代夫人はこの一事だけでも、著者に物凄い貢献をしたことになる。巨人軍が他に先駆けて、<ドジャース戦法>を取り入れて、他球団の追随を許さなかった頃、当時の南海ホークスでは「気合で打て!」の精神野球がまかり通っていた。そんな野球に疑問を持っていた著者は、元メジャーリーガー・ブレイザー氏に「考える野球」を学ぶ。

 後に阪神タイガースの監督(1979~1980年)を務め、現監督・岡田彰布の起用を巡ってフロントと(あるいはマスコミと)激しく対立して、日本における晩年は不遇だった。タイガースファンの印象も(マスコミに煽られて)良くなかった。そのブレイザー氏も一昨年(4月13日)に73歳で亡くなられたが、そのことについての言及がないのが謎、だ。古田敦也(東京ヤクルト・スワローズ)兼任監督に年賀状の1枚も寄越さない、と苦言を呈する著者にしては……と思うが。著者にとっての恩人であろうに。

今岡がリングサイドから熱視線 (デイリースポーツ)

「巨人軍論」を読む(其の壱)

2007-01-01 13:16:42 | Stove League
 まえがきは、1997(平成9)年4月4日から始まる。そう、あの小早川毅彦(現・広島東洋カープ打撃コーチ)の3連発(3打席連続ホームラン)の開幕戦、だ。あの試合には「広島を追われた小早川の意地と反撥」だけではなく、やはり「ID野球」の裏づけ(周到な準備)があった、と著者は説く。導入部はそれ。著者の(意図する)「理詰めの野球」が、「天性」だけで闘おうとした「巨人野球」を倒した日。しかし、そもそも「ID野球」とは、「巨人軍から学んだ思想」である、と宣言している。この書は、ここから始まる。

 第1章は「巨人軍はなぜ凋落したか」。過去の巨人軍の見直し作業が行われるが、ここで興味深かったのは、松井秀喜(現ニューヨーク・ヤンキース)のこと。ヤクルトスワローズの監督当時、お得意のIDを駆使して、巨人軍の「4番」松井を封じたことが、スワローズの優勝に直結したことを示唆する。松井の苦手のコースは外角(アウトコース)低目。このデータを基本軸に松井攻略法をバッテリーに叩き込んだ、らしい。
 そうすると現在、松井がMLB(メジャーリーグ)へ行って、意外に苦戦しているのは、外角(アウトサイド)をワイドに採る、MLBのストライクゾーン故に苦しんでいるのか、と納得する。MLBは無意識のうちに「野村ID野球」を実践していたのか!?

清原VS下柳!? セコンド対決も明暗 (デイリースポーツ)