goo blog サービス終了のお知らせ 

Amrita Organics

薬膳・美容・掃除・畑つくり

感冒(カゼ)の弁証論治

2009-09-23 09:01:23 | 中医学
感冒(カゼ)の弁証論治
テーマ:中医学で病気を治す

感冒の弁証論治

感冒という疾患に対しては、西洋医学ではウイルスによるものと考えますが、
中医学では、ウイルスだけとは考えません。

ウイルスはあっても、感冒になる人とならない人があるのは何故か、
天気、気温が急に変わるときに、風邪にかかり易いのは何故かを考えてみると
感冒という疾患は、自然の変化と体質に関連すると考えられます。

つまり、体と自然のバランスをとれば、感冒にはかからないと考えるのです。
逆に体と自然のバランスを崩せば感冒になり易いのです。
自然の原因としては、風、寒、暑、熱、湿、燥などの六淫が考えられます。

体には防病能力がありますが、それが崩れる場合を虚といい、
気虚、陽虚、血虚、陰虚の区別があります。

自然の風、寒、暑、熱、湿、燥の邪気で起こった感冒では、実証といいます。
その時、体の抵抗力が十分あるので、反応は強くでます。

治療する場合、体の抵抗力を補助しないでも邪気を除けばバランスを回復できる
ので、瀉法を使います。

しかし、体質の弱いことで起こった感冒は、邪気を除くだけでなく、体の気血
陰陽不足の部分を補助しないと完治にならないので、補法も必要になります。

臨床では患者の体質及び感受した邪が違うので、
正しい治療方針の確立と処方の前提は、患者の体質と感受した邪の種類の明別
が重要になります。
つまり、弁証です。

感冒は、外邪による実証(体質は弱くない)と、体質が弱い上に外邪を受ける
虚証(実を兼ねる)に大別します。
実証には、外邪の種類により、風寒感冒、風熱感冒、暑湿感冒、風寒湿感冒、
燥熱感冒などがあります。

いずれも、外邪の侵入を原因とするので、侵入した外邪を排除すれば、バラン
スが回復されて治ります。

なお、初期の段階は邪気が皮膚と口、鼻より侵入し、表と肺に影響を与えて
表証を示します。

外邪を排除する方法では、発汗を選択すべきで、もし誤って瀉下法と補法など
を使用すれば外邪を体内に深入させ、或いは正気を消耗する可能性が強く、治ら
ないどころか病気が複雑になる場合が多くなります。

虚証には、気虚感冒、陽虚感冒、血虚感冒、陰虚感冒などがあり、いずれも
正気の不足が原因なので、正気の補助が治療の中心になります。

もし誤って正気を補助しないで瀉法、過度の発汗などを使ったら、正気を更に
消耗する恐れがあり、病気がひどくなる場合が多くなります。

★実証の感冒★
(1) 風寒感冒
[感受した邪]
風寒の邪
[症状]
悪寒、微発熱、頭身痛、無汗、鼻づまり、白い鼻汁
[舌脈]
舌苔薄白、脈浮緊
[中医学の考え]
  風寒の邪は体に侵入し、衛気が抑えられ、悪寒の症状を起こし、風寒の邪は
筋脈を縮めて、頭身がでる。衛気は抑えられるので、汗は出ない。鼻は肺の窓で、

皮膚より入った風寒の邪が肺に侵入したので、鼻も詰まり、白い鼻汁も出る。
舌苔の薄白と脈の浮緊風寒の邪は体表にあることを示す。
[治療方針]
  辛温解表(辛のものは発汗作用をもつ、邪を汗から除く。温のものは寒邪を
除くことができる。辛温のものは体表より寒邪を出す力をもつので、解表の作用
がある。)

(2) 風熱感冒
[感受した邪]
風熱の邪
[症状]
発熱、微悪寒、喉赤く痛い、咳して黄色痰、黄色い粘稠の鼻汁
[舌脈]
舌苔薄黄、脈浮数
[中医学の考え]
風熱の邪が体に侵入し、発熱がある。肺の宣発の機能を邪魔し、咳が出る。熱邪
によるものだから喉が赤く、痰と鼻汁は黄色である。舌苔の薄黄と脈の浮数は
風熱の邪は表にあることを示す。
[治療方法]
辛涼解表(辛のものは解表の作用がある。涼のものが熱邪を除く)

(3) 暑湿感冒
[感受した邪]
暑湿の邪
[症状]
発熱、頭重、脱力感、心煩、口渇、胸悶、尿赤、吐き気、咳して痰黄粘稠、黄色
粘稠の鼻汁
[舌脈]
舌紅苔薄黄膩、脈濡数
[中医学の考え]
  暑湿の邪が体表を侵入、微熱が出てくる。湿邪は粘滞、重濁で、感受する
ことにより、頭、体が重く脱力感をきたす。肺に侵入し、気の巡りに影響して、
胸悶がでる。脾にも影響して、痰湿が出て、黄色粘稠の痰が多量に出る。鼻汁
も黄色粘稠、舌紅苔膩などである。
[治療方針]
清暑去湿解表

(4) 風寒湿感冒
[感受した邪]
風寒湿の邪
[症状]
頭体が重く、痛い。微悪寒発熱
[舌脈]
舌淡苔白膩、脈浮
[中医学の考え]
風寒湿の邪は体に侵入し、経絡、筋肉、関節などのところに停滞し、気血の巡り
に影響を与えて、微悪寒発熱の他に、頭と体が重く痛いなどを引き起こす。
[治療方針]
袪風寒湿

(5) 燥熱感冒
[感受した邪]
燥熱の邪
[症状]
発熱、頭痛、口渇、乾咳、無痰
[舌脈]
舌紅苔白乾、脈浮数
[中医学の考え]
温燥、燥熱の邪気が体に侵入し、肺を傷め、津液を消耗するので、乾燥の症状を
起こす。

[治療方針]
清宣燥熱

★虚証(体質虚弱な人)の感冒★

(1) 気虚感冒
[不足のもの]

[症状]
悪寒発熱、頭痛、鼻づまりの他に、脱力感がひどい。
[舌脈]
舌淡白苔白、脈浮無力
[中医学の考え]
気の不足で、脱力感と脈無力が現れる。更に、外邪を感受すれば上述した症状を
呈する。
[治療方針]
益気解表

(2) 血虚の感冒
[不足のもの]

[症状]
頭痛、微悪寒、面唇の色は淡白で、光沢なし、めまい、心動悸
[舌脈]
舌淡白、苔なし、脈細
[中医学の考え]
血虚で面唇などを養うことができなくて、淡白色と光沢感はないわけである。
頭を養えないからめまい、心を養えないから心動悸、脈管を充満できないから
脈細などが現れる。頭痛と微悪寒は感冒の症状である。
[治療方針]
養血解表

(3) 陽虚の感冒
[不足のもの]

[症状]
悪寒、手足の冷え、頭身痛
[舌脈]
舌淡、苔薄白、脈沈無力
[中医学の考え]
陽虚で、体を温める力は弱くなり、手足が冷え、悪感が出るわけである。
[治療方針]
助陽解表

(4) 陰虚の感冒
[不足のもの]

[症状]
頭痛、微悪風寒、手足のほてり、口渇、乾燥した咳、痰は少ない。
[舌脈]
舌紅、無苔、脈細数
[中医学の考え]
陰虚で陽を抑えることができなくなって、手足がほてる、口渇、乾燥した咳、
舌紅、無苔、脈細数などが現れる。更に、外邪を受けて、頭痛と微悪寒が出現
する。
[治療方針]
滋陰解表

感冒の初期は上述した方法で弁証して治療しますが、もし平素ストレスがたま
っている人であれば、行気解表で治療します。

感冒は早期の正しい治療を受けない場合は、さまざまな変化が出ます。
感冒という疾患は、邪受した邪気の種類により、人の体質により、さまざまな
表現が出ます。

邪受した邪気の種類と人の体質を正しく弁証できれば、その回復する方法の選択
に便利になり、より良い治療効果を得られます。

更に感冒の発展をうまく予想し、早期に予防すれば、感冒による合併症も予防
できます。