北海道型鉄道模型を楽しむ

北海道の鉄道大好きな車両掛がノンビリとやってる、夕張鉄道を中心とした鉄道模型製作のブログです。(旧 夕張炭鉱鉄道の建設)

夕張鉄道11形の製作(その5)

2010-06-19 22:49:15 | 蒸気機関車

ロッドがうまく動いたので、シリンダーカバーを取り付けます。

はじめは16番の9600のカバーが流用できると踏んだのですが、どういじくっても寸足らずであることが分かりました。11形のシリンダーカバーなんと9600より大きいのです。

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というわけで、シリンダーカバーを自作することになりました。写真は夕張に保存されている14号のシリンダーです。

空気弁は国鉄制式蒸気のものと同じようなので、エコーのロストパーツが使えます。上下の点検蓋は0.2厚の薄板を使い、端を帯状に残して折り曲げ、その上で切り落としてやすりでしあげると、蝶番のように見えます。この手法はかのエマストロ氏に習いました。

でも、問題は実物写真でよくわかるリベットです。まあ省略することも可能なのですが、そうするとただの平板に見えてしまいよくありません。0.3線を埋める手もあるのですが、途中で息切れしそうです。

そうして、困っているところで、私が常々尊敬申し上げているマスターモデラーであるドンキー氏が、お手製のリベット打ち出し機を考案されました。さっそく相談して、しばらく機械を借り受けることができたのです。

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これが導入されて、一気にシリンダーカバーを作りました。

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下スソの曲げは、径の違う数本の丸棒を使って少しずつ曲げて行いました。最後はシリンダーブロックの前後板に直接あてて仕上げます。

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こうしてシリンダーブロックが完成しました。リベットの仕上がりはいかがでしょう?

この見えるか見えないかのさりげない感じは、0.3線の埋め込みでは出ませんね~

と、悦に入ったのです。


夕張鉄道11形の製作(その4) 転がれ!!

2010-06-17 21:27:24 | 蒸気機関車

蒸気機関車のキットの組み立てで、一番のハードルになるのはロッド類の組み立てではないでしょうか。

鉄道模型はレールの上で走行することが最低条件です。つまり走らない模型は鉄道模型ではない!少なくともTMSコンペの基準はそうであります。まあ、実際、ほとんどの鉄道模型ファンは車両がレイアウト上を走る姿を見て、「欲しい!」「やりたい!」「作ろう!」と思ってこの趣味の世界の泥沼に足を突っ込んでしまったはずです。ご愁傷様です。

で、蒸気機関車は永遠のヒーローで誰でも手にしたいと思うもので、いざキットの製作を始めると、必ずロッドの製作で中断し、難航し、場合によっては放り出してしまうのです。

かくいう私も、初めて製作にかかった珊瑚模型の創立15年記念発売の8620のキットは、ロッドが全く動かなくなり、途中で放り出してしまいました。先にボイラーやキャブなど上回り慣れないハンダ鏝を使って何とか組み上げて、いよいよ下回りということになり、ロッドを組んで取りつけても、動輪が強い力を加えてようやく動くだけで、その動きもぎくしゃくしています。ままよとモーターを取り付けて電流を流しても、なんとピクリとも動きません!!電流を流し続けるとなんとなく臭いが…モーターが過熱し始めていました。あまりのことに茫然として、早々に放り出してしまったのです。それまでNゲージの改造や自作ばかりしていて、動力のことを考える必要がなかったことがあだとなりました。それがきっかけか、15年近く車両模型製作から離れてしまったのです。

今となっては、原因も明らかなのですが、だれかよく知っている人に聞きながら作っていればよかったと後悔しました。その8620は、前に紹介した残骸になっていますが、11形に活用されて成仏したようです。合掌

そういえば、レストアや部品取りのためにオークションで手に入れたジャンクの機関車模型はたいていロッドが引っかかっていましたね。みんな挫折しているのですね。

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この9600の台枠も引っかかりが…

閑話休題、ロッドを取り付けるためには、モーションプレートを自作しなければなりません。残念ながら9600や8620と形状が違うからです。そのかわり変な装飾がなく比較的作りやすかったです。写真には切り出したばかりのモーションプレート支えが写っています。

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11形のバルブギア(いわゆるロッド類)の基本構造は9600や8620のものと同じです。それに気付いて12ミリの9600のロッド類をつかうことを着想しました。使ったのはサイドロッド、メインロッド、クロスヘッド、コンビネーションレバー、ユニオンリンクで、16番の9600からリターンクランク、エキセントリックロッド、加減リンクを流用しました。足りないのは、ラジアスロッド、釣りリンクでこれは洋白板から自作しました。逆転軸腕は9600用のリターンクランクを流用しました。ネジがすでに切ってあるからです。取り付けた様子をお示しします。

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この状態で、全くストレスなく転がってくれればしめたものです。チェックの方法は簡単!フレキシブルレールの上にのせて、レールを傾げて、重力だけで台枠ごとスムーズに走ってくれればオーケーです。手で押して走るのでは全く当てになりません。あくまでも重力によって自然と走りだすようにします。

たとえ走っても、ギクシャクしたり、なんかの拍子に引っかかったら、徹底的に点検し、問題を解決します。問題になりやすいのは動輪をつなぐサイドロッドのネジ穴のバリ、クロスヘッドとスライドバーのすべり、リターンクランクや加減リンクの遊び、そしてピストン棒とシリンダーカバーの穴との摩擦です。とくに最後のポイントは、きついのは問題外ですが、ゆるすぎてもほかのところに影響して引っかかりを作るので、特に慎重にします。うまくできると、レールを傾げただけで飛ぶように突っ走ります。せっかくの模型を落とさないようにご注意を!

なぜここまでするかというと、模型蒸気機関車の宿命ですが、モーターが動輪を動かし、動輪がロッド類を動かすからです。実物はピストンの力でロッドを動かして、それにより動輪を動かします。つまり力の伝わり方が逆なのです。ロッドの構造は実物どおりの作るので、動輪がロッドを動かす場合、強いストレスがロッドにかかってしまうのです。だから、ほとんど摩擦がない状態にしないと、スムーズに動かないのです。

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ロッド類がオーケーになって、ストレスなく走ってくれると、楽しくていつまでもレールを傾げて走らせて遊んでしまいます。おいしい”おつまみ”ができた夜はビールの出番です。

かんぱ~い!


夕張鉄道11形の製作(その3)

2010-06-16 22:13:28 | 蒸気機関車

台枠がオーケーとなったので、ロッド類を取り付ける前にシリンダーブロックを作ります。これは流用できるものがなく、完全に新製となりました。

シリンダーブロックにはメインロッドのピストン棒とスライドバーがつながりますので、結構正確な工作が要求されます。蒸気機関車の模型を作るときに、一番神経を使うところです。それを自作しなければならないので、かなり考え込みました。ずさんな私の腕でもそこそこ正確なに作るためにはどうしたらいいのか。

考えたのは、9.5ミリの角パイプを入手できたので、これを輪切りにして左右に配置して、それを基礎にして前後に所定の形に切り出した0.5厚の板を張り合わせて基本構造にするものです。これならブロックの前後幅は10.5ミリになって、左右で狂いは生じません。角材を頼り板を貼りあわせるから平行も垂直も出ると期待したわけです。

シリンダーブロックの中央のメンバー板は8620の物を流用しました。これなら台枠とのネジ留めにも8620の大きなボスネジを利用できるからです。

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写真には切り出したブロックの前後板を示しています。この前後板にはシリンダーカバーとバルブカバーがつきますが、これは今は亡きニワモケイの9600用のロストパーツを使うことにしました。そのままでは直径が大きいのでドリルレースで小さくしてあります。写真の上の方にある丸いパーツたちがそれです。これらのパーツの調整に相当の時間を要しました。とくにドリルレースはかなり削り込むので、ヤスリがすぐに目づまりして、なかなか進みませんでした。当工作職場には旋盤がありませんので仕方ありません。

一方、台枠のほうでは、後方のブレーキシリンダーと連動てこを鈴木工房の9600用のバーツを流用して取り付けてあります。

夕張鉄道11形は製造時期の関係で、国鉄の8620や9600と共通の部品が多く使われているので、模型化に際しては、おなじように8620や9600から部品が調達できるので、かなり楽でした。

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写真は、後方のブレーキシリンダーと前方のシリンダーブロックを取り付けた様子を示しています。シリンダーブロックの上方に9.5ミリ角パイプが見えます。前後板にはドリルレースしたカバー類を取り付け、シリンダーカバーの前方には尻棒カバーとなる丸棒をつけてあります。シリンダーカバーの後方には銀メッキされたスライドバーを取り付けます。これは8620の物を切り縮めて使っています。

次はロッドです。さあうまく転がるでしょうか?


夕張鉄道11形の製作(その2)

2010-06-16 00:11:11 | 蒸気機関車

工作の手始めは、型のごとく台枠の製作からです。

台枠は1/87・12ミリゲージの9600のものです。この台枠はシリンダーボックスの前端で終わった形になっていますが、そのままでは1/80の11形としては寸足らずになるので、1.5ミリ角材を前にあててのばします。この部分は削って台枠と同じ1ミリ厚に仕上げておきます。また、台枠の後方は形を11形のものとするため、上下に継ぎ足し部分を1ミリ板で切り出します。

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さて、この台枠は12ミリ用ですので、スペーサーをいったん外して、16.5ミリ用に幅を広げます。世の中では16.5ミリを13ミリや12ミリに狭く改めるのが普通ですが、なんだか世の中に逆行するような工作で、変な気持です。

それで16.5ミリ用のスペーサーは8620のパーツを流用しました。これを仕上げた後、南薩の動輪をはめ込み、12ミリの9600のサイドロッドで結んで、転がして調子を見ます。動輪押さえはとりあえず12ミリ9600用を使っていますが、このあと0.8厚の板で新製しました。写真ではまだですが、このあと前にシリンダーケースやモーションプレートを固定する平板、後ろにキャブ下端梁と台枠を固定するネジ穴をきる板を、それぞれ8620のものを流用して取り付けました。

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参考までに、12ミリ9600の台枠をそのままにしてる物と、16.5ミリに変更したものを比較した写真を示します。幅が変わるとこんなに印象が変わるのですね。12ミリや13ミリにこだわる人たちの気持ちがよくわかります。でも私はまだしばらく16.5ミリです。

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幸い、台枠は歪みなく仕上がりまして、動輪も気持ち良く転がりました。でもここまでで、相当に手間がかかってますね。


夕張鉄道11形の製作(その1)

2010-06-14 00:35:13 | 蒸気機関車

またまた最新作ではないのですが、夕張鉄道の11形の製作について書いてみようと思います。この機関車模型の製作を終えてから車両を作っていないので、そういう意味では最新作だからいいか…と言い訳します。まあ、更新のネタとしてしばらく続きそうだからという理由が大きいのですが、いろいろ苦労し思い入れも大きいし、周りにも結構受けている模型なので、詳しい記録を残しておこうという動機もあります。

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すでに詳細は記事になっているのですが、それには書ききれなかったことを中心にアップしてみます。

とても有名な夕張鉄道の11形については、運炭鉄道博士である親友の影響で、それなりのことは知っていましたし、石炭博物館SL館の14号もみていましたので、全くなじみがないわけではなかったのですが、模型を再開した当初にさる模型店で見つけた「夕張鉄道11形明細図集」の発売予告のチラシを見たときに、心の中の何かが動きました。発売を待って早速購入。まだNゲージャーだった私は「これをNでやるのはかなり難しいな~」と嘆息していました。そうすると12ミリで発売!買いたかったのですが、ゲージが違うことに対するためらいと、キットを買う予算を工面できず断念。

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そうこうしているうちに、長年16番をやっている模型エマストロの友人が11形のスクラッチをやるのでキャブ側面とテンダー側面のエッチング板を発注するとのこと。たくさん発注してクラブで分ければ安上がりになるというので、思わず3枚も頼んでしまいました。もうすでに11形を4両手にしたいという衝動は抑えられなくなっていました。

それに、友人はおそろしいことを私に囁いたのです。

「12ミリのキューロクの軸距離は16番の11形とさほど変わらないから、これと珊瑚の南薩の13.4ミリの動輪を組み合わせたら何とかなるんじゃないか?」

囁いた本人は腕に覚えあがあるから台枠を自作していましたが、16番ビギナーの私にとって、この構想は背中を押すのに十分な魅力を持っていました。

「そうかそれなら、すいすいできる!(アマ~イ!!)」

友人から3枚6両分のエッチング板と模型化図面のコピーを受け取って、「明細図」とにらめっこしながら、模型化の構想を練り始めたのでした。そのころ夕張鉄道の21形(キューロク)の製作をつづけていたので、並行して構想を練っていました。そしてどうせやるなら徹底して色々な部品を利用しようと決めました。手元に20年以上前に16番の手始めとして作り始めて途中で投げ出してしまった珊瑚のハチロクがあります。これのボイラーも使えそうです。図面にあててみるといける!これでほぼ決まり!

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写真はボイラーなどを奪われた哀れなハチロクの残骸です。

構想が決まって、仕入れに入ります。ハチロクはヤフーオークションに珊瑚のハチロクが出たら買うということで、新たにキットを三つ廉価で入手しました。(これだけで1年以上かかりました)

でも12ミリのキューロクを台枠のためだけに買うのはさすがに躊躇されました。そこでなじみの模型屋さんに相談したら、珊瑚さんに聞いてくれるということ。それならと、もし台枠が手に入るなら、同時に4両分のロッド類も合わせて分売してもらうように頼んでもらいました。検討の結果、12ミリのキューロクのロッド類はほとんど流用できることが判明していたからです。

珊瑚の社長さんのご厚意で、4両分台枠とロッド類が入手できました。いつも社長さんにはお世話になってばかりで…。そのあと資金を工面できたころに南薩の動輪(3軸)を6セットとモーターやギアボックスを買い込んで準備完了!パイロットの12号の着工となったのは2003年の春のことです。