塗装にはプラ用ラッカー系塗料のウッドブラウンが基本です。
これを側面全体に塗りましたが、写真でお分かりのごとく、相当きつめのウエザリングをするので、むらは気にせず筆で一気に塗ってしまいました。屋根と扉のトタン板は銀色のままです。
ストラクチャーの塗装のポイントは、この後のウエザリングにあります。
とくに、実物の屋根はトタン板で塗装されていません。雨風にさらされると1年もしないうちにびっしりとさびが回ってきます。しかし、さびは均一になりませんので、ところどころ銀色が残ります。さらに、傷んだトタン板を後から葺きかえるので、一部だけ妙に新しくなっていたりします。この辺りをうまく表現するかどうかが、瓦屋根がない北海道木造ストラクチャーの肝であります。
屋根の錆びた部分はプラ用水性塗料のウエザリング用の中のさび色を使います。ただ塗りたくるのではなく、雨水は上から下へ流れていくわけだから、水が流れ安い場所、あるいは雨上がりに水がたまりやすい場所などを意識して上から下へ筆を動かします。うすくかけて銀色が透けるところと、濃く塗料を置いて全くさびだけになってざらついているところを表現したりします。この辺りは写真で判断してもらうしかないんですが、決して横には動かしません。横のタッチは、錆びの表現を一気に不自然にします。
新しく葺き替えた場所は、なるべく波板一枚を一つの単位として、むしろ四角く、不自然なくらい大きくさび色を塗らないで残しておきます。
屋根の塗料が乾燥するまで十分な時間をおいてから、屋根には機関車の煤ついているという表現で、ウエザリングブラックを擦り込みます。ポイントは煙り出しのところは、煙りのためにほぼ真っ黒に、屋根のほかの部分はさびが強いところはより黒く(古いから)、銀色のところはあっさりと(新しいから)という具合です。
扉の上の妻面も煤けさせます。しかし側面の羽目板部分は黒くしません。実物を観察すると、この辺りに煙りが回ることは可能性としてほとんどないからです。むしろ雨にさらされやすい土台に近い部分にグレーのバステルをまぶして、木材が白っぽく風化していく感じにします。木造家屋の土台付近は絶対黒っぽくなりません。お忘れなく。
ウエザリングすると、それまでなんとなく今一な完成度のストラクチャーも一気に雰囲気が出てきます。ウエザリングブラックで手が真っ黒になりながら、ニコニコと「汚し」にいそしむ私でありました。