北海道型鉄道模型を楽しむ

北海道の鉄道大好きな車両掛がノンビリとやってる、夕張鉄道を中心とした鉄道模型製作のブログです。(旧 夕張炭鉱鉄道の建設)

夕張鉄道11形の製作 (その10)

2010-06-30 23:58:21 | 蒸気機関車

ランボード全体を組み上げる前に、前デッキのディテールを仕上げます。これも、デッキをつけてしまった後ではハンダごてがあてにくくなるからです。

前デッキの基本構造は、8620の前デッキの板で、それにリベットを打ち出した網目板を重ね合わせます。8620や9600と同じように、このデッキの上下には台枠の前方部分が覗いています。模型の台枠はシリンダーケースの前端で終わっていますので、台枠の前方部分は、このデッキの方にそれらしくはんだ付けします。台枠部分は上下ともに0.4厚の板から切り出して作りました。写真の上方に見えるのは、台枠の下部分です。

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前デッキには夕張鉄道ならではの重要な装置が二つ付いています。ひとつは簡易排雪器装置(スノープロウ上下装置)と連結器解錠装置(連結器遠隔解放コテ)です。簡易排雪装置とはその下に取り付けたスノープロウを上下させ、特に線路が入り組んでポイントが多い駅や機関区構内の除雪を行うものです。除雪するときはスノープロウを限界まで下ろして行いますが、ポイントを通過するときには、スノープロウを上げて、ポイントの先端部分やガードレールを傷つけないようにします。上下動はシリンダーに蒸気を入れることで行います。

写真は栗山公園に保存されている夕張鉄道21形21号(自社製9600)の前デッキの様子です。

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両装置が装着されている様子がよくわかりますが、これと同じものが11形にも取り付けられていました。ただ、1両1両で両方あったり、片方しかなかったりしますので、資料をよく確認しながら作りました。

まず、簡易排雪器装置ですが、中心になるのはスノープロウを上下させるシリンダーです。これは、アダチの動力逆転装置(カバーなし)のシリンダー部分を切り出してそれらしく成形しました。取り付け台座は0.3厚板から作っています。その様子を写真に示します。

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これを前デッキに装着したのが下の写真です。横から見ると取り付けた様子がお分かりと思います。ついでに台枠部分の取り付けの様子も示してあります。前輪用のバネカバーは鈴木工房のロストパーツ、前ステップは9600用のロストに手を入れています。つかみ棒は8620のものを流用しています。

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前デッキを前方斜め上から見ます。この前デッキは14号用のもので、両装置が付くものです。前デッキの端梁は鈴木工房の8620用ロストパーツを使っています。エアホースはエムテックス社製の基部配管配管の長いものを利用して、曲げながら合わせています。連結器解放コテの取り付けステーは珊瑚のロストパーツです。

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ステーの上方には連結器解錠装置の一部が見えます。この装置の話は次の機会に。

まだまだランボードは完成しません。でも、こういうディテール工作は、自分だけの模型を作っていることを実感して、実に楽しい作業です。模型工作は一種の自己満足ですが、自分だけの模型を作るというのは、どんな些細な工作であっても、簡単なパーツを一つつけるだけであっても、自己満足の頂点を味わえる瞬間です。

みなさん、うまいとか下手とかいう前に、自分だけの模型を作って楽しみませんか?


夕張鉄道11形の製作 (その9)

2010-06-28 00:04:08 | 蒸気機関車

ランボード上で、次に取り付けたのは、コンプレッサーです。

11形のコンプレッサーは8620と同じ単式ですので、文句なしで8620のキットから流用です。下の部分はランボードに埋め込まれているので、ランボードにあらかじめ大きな穴を空けておきます。2ミリのドリルより大きいので、ピンバイスで空けるのは不可能です。しかしボール盤もない家内制手工業の職場ですので、2ミリに空けてから、丸やすりで辛抱強く広げることにしました。件のリベット打ち出し機は、借りものですし、ボール盤としては機能していないので使いませんでした。

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実物では、コンプレッサー本体は、コンプレッサーの取り付け板に固定されており、この板は、ボイラーと取り付けのステーを介して結ばれています。ですから、本当はボイラーに取り付けるべきなのですが、その為にはボイラーに欠き取りを作らなければなりません。実は、8620も9600も実物は同じ構造なのですが、模型では省略され、コンプレッサーはランボードに固定される設計になっていることが大半です。

そこで実物どおりにしようと考えたのですが、やはり工作力に自信がなく、ランボード側に付けることに落着しました。そのかわり、取り付け板とステーをそれらしく自作して、少しでも努力をしたところです。といっても、完成して塗装してしまうと、取り付け板もステーも全くわかりません。素直にイモ付でよかったのかも…

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コンプレッサーの吸気管はニワモケイの継ぎ手管を組み合わせてそれらしくしてあります。先に付いているエアフィルタは8620のパーツの流用です。

昨日、シングルモルトの話をしたので、最近、お気に入りのボトルと一緒に模型の写真。

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やっぱりアードベックのガツンとしたピートがいいですね。この前はなじみの店で、アードベックのビールが手に入ったと聞かされたので、さっそくそれをチェイサーにして、このアードベックの10年を味わいました。いや~よかった。でも思いっきり酔っ払いました。ピートといえば、今年出たブルイックラデックのその名も「ピート」! 良心的なお値段で、若いお酒ですが、実にいいんです。際物にしないで、安定的に供給してほしいものです、ってお酒のブログじゃないんだから、このくらいで。

最近はロック片手に模型を作ると、必ず失敗があって、やり直しになるので、自重しています。本当は楽しいんだけど…


夕張鉄道11形の製作 (その8) ランボード周り

2010-06-27 11:08:30 | 蒸気機関車

ランボードの後ろ側、つまりキャブ下部分は8620のものが使えません。あれこれ考えた揚句、1/80の9600のものがやや曲線に不満は残るものの、使えそうです。ただし、寸足らずなので、延長しなければなりません。

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そこで1ミリ厚の板を使い、左右のランボードをつなげて一体にして仕上げました。こうすることで、1ミリ板が台枠の後方に乗っかる形になって安定し、水平を出しやすくしたのです。一方、前デッキとランボード本体は件の網目板を8620の基礎板に貼りあわせて省力化です。まあ、8620の前デッキと11形の前デッキの形状が同じというのも驚きでした。

さて。ランボードの上には色々な機器が乗っていて、楽しいものです。ボイラー本体はランボードに付くことになるので、加工がしにくくなります。そこで、ランボードを一体で仕上げるときに、ディテールも仕上げておくことにしました。

まずはエアタンクです。

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エアタンクは色々なパーツを検討したのですが、ピッタリくるパーツはありませんでした。直径は8620のものがあっているので、これを切り詰めて使うことにしました。その際、不満があったバンドは思い切ってすべて削り落して、新たに巻き直すことにしました。ただ、単純に巻いてしまうのではなく、実物と同じように、バンドでランボードに押さえつける構造にしてみました。0.3厚で幅1.5ミリの帯板をつかい、ランボードへの取り付け部分には折り返しを表現してみました。タンクをのせる枕は1.5ミリ角材です。タンクの上には歩み板がまたがっていますが、これはリベットを打ち出した網目板の前後に0.5X0.5のアングルを折り曲げてステーとしています。中央部分だけタンクを逃げるために0.5幅の帯板にしています。この0.5X0.5の細密アングルは、相当昔にNゲージ車両の自作をやっていたころに大量に手に入れた貴重なものです。今は入手できるのでしょうか?

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タンクからは当然ながら空気配管が伸びています。これも今のうちに仕上げておきます。冷却管はちょうどいいのがみつかったので、珊瑚のD50用のパーツを流用しました。以前は真鍮線で針金細工よろしく作って、それでもなかなかうまくいかず、苦労していたところですが、珊瑚が取り付け支えも含めて一体でロストにするという暴挙(?)に出て、うれしい限りです。でも、マスターモデラーにとっては見せ場が一つ失われたようで、内心がっかりしている人もいるとか。11形の場合、公式側の冷却管はタンクの後ろにひっそりとあるので、完成するとチラリと見えるぐらいですから、ロストで十分すぎるぐらい。少しお金がもったいないかも?

写真の奥に公式側のタンクがみえます。これの前側から出ている配管は非公式側へつながっていますが、これがボイラーの梯子の中を貫いて伸びてます。ボイラーをつけないと梯子はかけられませんから。この配管はまだ差し込んでいるだけで、ハンダ付けはしないでおきます。

ハンダごてでディテールをつけていく工程は、模型作りの中心のなす工程ですが、これはとにかく楽しいですね。毎夜、工作室で2~3ずつ、シングルモルトやバーボンのロックを供にして工作します。緊張を持続するにはスペイサイドのフルーティーな香りより、アイラのピートが効いたガツンとしたのがいいようです。至福の時、大人の時間。

でも、度が過ぎると翌朝に深く後悔。御供はほどほどがいいようです。


夕張鉄道11形の製作(その7)

2010-06-23 23:37:30 | 蒸気機関車

次はランボードの製作です。

8620や9600などこの時期の鉄道省制式蒸気機関車はランボードが前デッキからキャブ下まで一連につながっているデザインになっています。で、11形も同じ思想でデザインされていますので、ランボードを一体に作ることになります。そうすると、台枠の上にランボードが乗り、その上にキャブやボイラーが乗る形になるので、ランボードの水平性が狂っていると、模型が台無しになってしまいます。 というわけで、ランボードをなるべく正確にきれいに仕上げる必要があります。

もうひとつ、11形のランボードにはひし形の網目板が一面に貼り付けられています。珊瑚の8620のランボードにも網目板がついていますが、ちょっと目が粗すぎます。そこで、エコーの網目板を使って新たに切り出すことにしたのです。それで、先行して作った12号では網目板を8620のランボードに貼り付けて、ランボードを作りました。

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それはそれで、まあ良かったのですが、何か物足りないのです。そう、実物の網目板には取り付けのためのリベットやボルトの頭が整然と並んでいるのですが、それがないと、何ともあっさりし過ぎていて物足りないのです。そこで、11号、13号、14号を作るときには、リベットの埋め込みを決意したのですが、あまりにも大変そうで、二の足を踏んでいました。(とかなんとかいいながら、以前作った9600のキャブ下の端梁には0.3線の埋め込みでズラリとリベットを並べて、周囲をあきれさせた前科があるのですが…)

そのこともあって、尊敬するドンキー氏から件のリベット打ち出し機を借り受けたのです。

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期待通り、リベットが丸い頭で、一直線に並んでいます。効果抜群!大満足でランボード工作は進みました。

しかし、直線になった、直角が出た、水平だ、と、そんなことがある度に、底知れない喜びに浸ります。きっと恍惚としているのでしょう。1/80の模型なんて高々10数センチ立方程度の大きさなのに、少し曲がったって、やや鈍角だって、ほんの少し斜めになったって、大したことないはずなんですけどね~。逆にその事実に気付いた時の落ち込みようはひどいものです。模型の顔も見たくない!と思ったこと数知れず。

山のような失敗の上に、ほんの少しの成功がある。これは私の本業での金言でありますが、趣味でも同じような目に逢っているのです。なにが気分転換?

いや!!趣味とは、たとえ一銭にもならなくても、己の全智全霊を傾けて挑むことのできるものをいうのだと、若いころから思ってます。趣味は気分転換ではない!ナンテナ…


夕張鉄道11形の製作(その6) 動力装置

2010-06-21 22:40:05 | 蒸気機関車

下まわりの仕上げは動力装置です。

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型のごとく第3動輪を駆動軸にしています。ギアケースは珊瑚のA-8用です。モーターは1224Sで、このギアケースに合わせたものです。なので、ギアケースとモーターの間は直接ネジ止めができます。でも、これだけでは、電気を入れるとモーター自体が回転してしまいます。

モーターのボディを台枠側に固定するのですが、第3動輪もイコライザーを入れているので、台枠にじかにネジ止めするとイコライザーを殺してしまいます。そこで、モーターの留め具を作り、台枠との間はスプリングを入れて復元力を与えた上で段付きネジで留めて、ネジの頭が台枠側の穴に引っかかるというありきたりの構造とすることにしました。そのネジとスプリングは8620のパーツを流用しています。で、悩んだのは留め具をどのようにしてモーターにつけるかです。

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モーターのケースにネジを切るのが一番簡単ですが、ケースにじかにネジ穴をあけるのは、モーターの精度保持のためにもはばかられるところです。そこで、留め具に0.3厚の真鍮帯板をつけて、そこにモーターをあてがい、帯板をモーターの形に添うように折り曲げました。つまり、留め金にモーターをはめ込んだだけの状態になっています。なんだか頼りなさそうですが、モータはギアケースに、留め金は台枠に、それぞれ固定されているのではずれません。

テスト走行は、全く気持ちのいい走りでした。まさに案ずるより産むが安しです。モーターの電極は、この留め金に直に接していて、台枠を経て導通側の動輪に落ちます。絶縁側の電極は、写真で見える緑色のビニールコードを経て、テンダー側へ通じる絶縁ドローバーにつなげてあります。絶縁ドローバーはアダチのワンタッチドローバーにしてあります。

写真では先台車は昔の9600の簡易型のものを仮につけていますが、そのあと、珊瑚の9600用のロスト製の先台車に振り替えました。

下回りはついに完成!ここまでは結構地味な作業が多いのですが、この先は、どんどん形になっていく模型製作の一番楽しい段階です。楽しみ~(実はアマ~イ)