57歳から始めるレンタルカートの世界

唄う物書きアマミヤユキト57歳で人生初のレンタルカートデビュー。

お勧め映画『ラッシュ/プライドと友情』

2020年03月28日 | クルマの映画
『ラッシュ/プライドと友情』映画オリジナル予告編


新型コロナウィルスの影響で、『なるべく外を出歩かないように』という自粛ムードの今日、この頃ですが。
こんな時は、レンタルDVDで映画鑑賞、という方も多いでしょうね。
そこで、今回は、個人的におすすめの『クルマ映画』をご紹介したいと思います。
僕のイチオシは

『ラッシュ/プライドと友情』



二人のF1レーサーのお話です。1976年シーズンでの二人の熱い戦いにスポットを当てて、そのライバル関係を描いて行きます。
主役のひとり、イギリス人ドライバーの『ジェームス・ハント』
本人も劇中で言ってますが

「俺は、いつも人生最後の日、みたいに楽しんでるのさ。取り柄はクルマの運転だけなんだ」

というわけで、彼の周りは、いつも女の子と酒と、パーティー三昧。
まあ、この人ほど、『努力』という言葉が似合わない人はいませんな。私から言わせると。
ところがいざ、レーシングカーに乗せると、誰も真似できないようなドライビングセンスを見せます。
つまり『才能とセンス』だけで戦っているような、古き良き時代の、ロマンあふれるカーレーサー。
その典型的な人物なのです。

もう一人の主役は、これとは真逆の人物。
クルマのメカニズムにも詳しい。コンマ1秒でも速く走らせるためには、徹底したマシンの改良をメカニックたちに要求します。そこに一切の妥協はありません。
そのマシンセットアップ能力は『天才的』と評されます。
ドライビングにしても、朝の5時からサーキットを歩いて、冷静沈着にコース分析をしているような人です。
速く安全に走るにはどうしたらいいのか?
その合理的な解決方法を常に考えている人。
ついたあだ名は
「走るコンピューター」
それが、
『ニキ・ラウダ』
というレーサーです。
***
真逆のキャラクターである彼ら二人は、F3,F2選手権で腕を磨き、やがてモータースポーツ最高峰のF1グランプリにステップアップします。
この映画では、今となっては懐かしい、1970年代のF1の世界観が、実にリアルに描かれます。
若い世代が見ると、
「えっ、これがF1マシンなの?!」
とびっくりするかもしれませんね。
例えば『F1のステアリング』

今なら、パドルシフトや、各種スイッチ類がうじゃうじゃついてますが、当時は本当にシンプル。
ただの『輪っか』です。
ちなみに、映画の中で使われているマシンは、当時走っていた本物のF1マシン。
有名なティレルの6輪車も登場します。(当時は”タイレル”と言ってましたよ)

***
僕が大好きなシーンがあります。
ニキ・ラウダが、レースファンの車を借りて、田舎道を走らせるシーン。
横に乗っているのは、後に奥さんになる、マルレーヌ。
彼女は、

「あなたの運転って、まるでおじいちゃんね。とてもF1レーサーには見えないわ」

それぐらい安全運転で、田舎道をトコトコ走るニキ・ラウダ。

「一般道でスピードを出すなんて、危険なだけだよ」

と素知らぬ顔です。
***
ちなみに、この映画を鑑賞するのに、気をつけていただきたいこと。
それはモータースポーツへの偏見と誤解についてです。
劇中で語られるF1の危険性。

『レースで死ぬ確率は20%』

そして

『命をかけて走る』

などという、よくある慣用句。
本作で描かれるのは、あくまで『1970年代のF1』であるということ。
参考までにウィキペディアでの「F1死亡事故一覧」
をご覧ください。
確かに、1970年代までは、『一年のうちに、誰かが死ぬ』
それがレースでした。
しかし、1980年代になって「カーボンモノコック」採用などの安全対策により、死亡事故は激減しました。
また、レースの本場を見習って、日本でも
「レーサーは子供の頃から育てるもの」に変わってきました。
最短距離でレーサーに育てるには?
公道の峠道で危ない走りをすることでしょうか?
いいえ、違います。
レーサーになる最短距離は、レーシングカートでのトレーニングなのです。
かつてのF1王者、ミハエル・シューマッハ氏も、

「F1に乗りたければ、カートを練習しなさい。それ以外のトレーニングは必要ない!」
とさえ言い切っています。
クルマの走る、曲がる、止まる、という基本を体に覚え込ませる。
小さな幼稚園児の頃から、トレーニングを積んだ子供たちが、やがてフォーミュラーカーに乗る。
優れた技能を身につけ、レースでの結果を残した人たちが、上のクラスに上がってゆく。
現代のモータースポーツは、子供たちが安心、安全に参加できるスポーツとなっています。
***
ところで、F1の世界で絶対に避けて通れないこと。
それがズバリ
『お金』『マネー』です。
本作でも、スポンサー探しに奔走したり、あるいはドライバー本人が、持参金を用意して『F1のシートを買う』というシーンも描かれます。
ビジネスとしてのF1、イベント、興行、としてのF1の側面も描かれています。
いくら速いドライバーでも、
『このレーサーに金を出そう』
というスポンサーが見つからなければ、F1という土俵にも上がれないのです。
そういう意味で、レース活動を応援してくれる、『人』や『企業』をいかに巻き込んでゆくか?
それもレーサーにとって大切な資質の一つと言えるでしょう。
***
この映画を見ていて思うのは、世界の頂点で戦うには、強靭なメンタルが必要である、ということです。
ジェームス・ハントは、まさに羨むような才能溢れたレーサーです。本人も『俺が世界で一番速い』と思っている。
方や、ニキ・ラウダ。
冷静に状況を分析し、速いマシンを作り上げ、チャンピオンになるために、何をしなければならないか?
それを確信を持って実行します。
だからニキも
「ジェームスは一戦だけなら勝てるだろう。だけど年間を通したチャンピオンは無理だね」
とサラっと言ってのけます。
自分はF1世界チャンピオンになるために、考えられる全ての課題を成し遂げてきたんだ。
その自負があるからこそ、とてつもない自信を持って

「チャンピオンは僕だ」

と言ってのけられるのです。
彼らを見て、思い出すことがあります。
野球の大リーグに挑戦した野茂英雄選手やイチロー選手。
そして世界トップレベルのサッカー、セリエAでの中田英寿選手。
また、日本人二人目のF1パイロット、鈴木亜久里選手。
彼らに共通するもの。
それは強烈な自意識です。
時に、日本国内ではそれは
『生意気なヤツ!!』
とのけ者にされてしまいます。

それぐらい鼻っ柱が強くないと世界で戦えないのでしょうね。
***
本作は、映画作品として『観る楽しみ』を味わえる作品です。
監督は『アポロ13』(トム・ハンクス主演)
のロン・ハワード。その的確な手腕は名監督と言っていいでしょうね。
映画は、脚本の面白さと、キャスティングの的確さで、おおよそ決まってしまいます。
その点、本作は、1976年のF1シーズンを描いた、ドキュメンタリーの側面を持っています。
『事実は小説より奇なり』
でして、下手な創作ストーリーよりも、現実に起こったことは、よほどドラマチックなのです。
ニキ・ラウダは、この年、命も危ぶまれるレース中の大事故に見舞われます。
その、ニキ・ラウダを演じたのは、ダニエル・ブリュール。
ドイツの俳優さんです。本作では、プライベートシーンではドイツ語で会話し、記者会見などのシーンでは、ドイツ語なまりの英語を話しております。字幕好きな映画ファンとしては、こういうところを聴き比べるのも楽しいのです。
僕はこの人の出演した
「戦場のアリア」

「コッホ先生と僕らの革命」
を映画館で鑑賞しました。
どちらもおすすめですよ。
****
映画データ
「Rush」
監督:ロン・ハワード
脚本:ピーター・モーガン
主演:クリス・ヘムズワース
   ダニエル・ブリュール
   アレクサンドラ・マリア・ララ

音楽:ハンス・ジマー
2013年製作 アメリカ、イギリス合作
上映時間 122分


***本文の著作権は天見谷行人に帰属します ©️Yukito amamiya 2020
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