プーチン大統領の来日が公式に発表された。ここ
当初の予定では首相のお膝元で領土問題の決着を意図していたというが、
どうやらそれはないだろう。
一番気になるのは、日本側に解決案についての確かな腹積もりがあるのかである。
私の見立てでは、首脳同士が何回会ったかとか、緊密な人間関係などは
基本的には関係ないと思う。
外国をあちこち旅して感じるのは、その国の置かれている地理的条件が
決定的だということだ。いわゆる地政学だ。
国家は、お隣さんが気に入らないからとかウマが合わないからといって、
引っ越しすることは出来ないのである。
兎に角、何とかうまく付き合う方法を見つけるしかないのだ。
勿論、相手の国のDNAも問題だ。
ロシアは広大な領土とこれに見合うかのような大国意識を持つ国だ。
国が発展するためには、いかに外に向かって開けているかだ。
ロシアの海外線は長いが、ほとんどが冬は使えない。
一年中使用可能な外に向けての窓口といえば、実質3か所である。
地図を見てみよう。
まずヨーロッパである。
サンクトペテルブルクと黒海である。ロシアがクリミアに拘る理由が
わかろうというものだ。
なお、海に面したところに飛地があるのである。しかし飛地は使い勝手が悪い。
クリミアをめぐってのウクライナとの紛争もやや飛地的になるからだ。
(ポーランドとエストニアはロシアに対して極めて強い恐怖心を持っていることは
旅行してみれば肌で感じられるが、この地図をみれば、理由は一目瞭然だ。)
次にアジア側を見てみよう。
ヨーロッパ側の窓口は狭くて、多くの国に囲まれている。
アジア側は太平洋に向けて無限に広がっているが、拠点がない。
北方領土がロシアにとっていかに重要かがわかろうというものだ。
ロシアは基本的はヨーロッパの国ではある。
ソ連が崩壊し、冷戦が終結しても、ロシアに一番大きな影響を与える国は
アメリカだ。アメリカ映画を見ていると、正体不明の敵は必ずロシアである。
現在の経済制裁もアメリカなしでは(特に今はオバマのアメリカである)実効性なしだ。
そのアメリカと実はロシアは隣国同士なのだ(アラスカ州で)。
つい最近、国後・択捉にミサイルを配置したというが、軍事的にも重要性を増している。
地理的に日本の延長と見られるような北方4島を自国の領土に持つことの経済的メリット
というのも大きなものだ。特に日本は経済大国だ。また自己主張もあまりしない。
北方領土はある程度開発されており、今後の開発も比較的容易だ。
北方領土はロシアにとって益々特殊的・重要性を持ちつつあることは確かである。
ヤルタの密約が分かったからというのは、それほど大きなことではない。
こういう客観的条件を前提にして、ロシアに返還を決意させるには、
同等、或はそれ以上のメリットを示せるかどうかである。
そういう戦略的思考は残念ながら見えない。
たまたま、投稿の後、飛地(カリーニングラード)がミサイル基地となっているとの記事をみた。
ここ
写真をみるだけでも参考になった。