喜寿から始まる

気づき・観察・発見・元気キレイ・自分らしく・生きる

アブラハム・プライベートバンク訴訟提起は不法行為・東京地裁判決

2022年03月21日 | 弁護士

アブラハム・プライベートバンク(株)(平成28年1月18日、現在のヘッジファンドダイレクト(株)に商号変更)が平成25年10月11日、金融庁の行政処分を受けたことは、ご承知の方も多いと思う。

処分の第一理由は、わかりやすくいうと無登録で海外ファンドの販売をしたことであった。アブラハム・プライベートバンク(株)は投資助言業者の登録につき、販売や運用は金融商品取引法上、できないのである。いうまでもなく、販売や運用は登録要件は厳しいのである。

ところで、筆者はアブラハム・プライベートバンクから海外ファンドを購入したことがあった。
購入したい海外ファンドの販売会社としてアブラハム・プライベートバンクを紹介された。
平成22年と平成23年の2回、利用した。

金融庁の行政処分を受けた後である、平成26年8月に投資助言料が支払われていないとして、アブラハムプライベートバンクから、未払分請求を受けた。最初の購入の時に投資助言契約を締結したというものだった。
購入したファンドを保有している間、投資助言料を払えというもの。

それまでに、未払いだとして支払催促を受けたことはないし、そもそも、投資助言契約をしたこともなかったので、いろいろ遣り取りの上、内容証明郵便でその旨、通告した。
その後、メールなどで請求書が度々送付されてきたが、こういう言いがかりを付けてくる相手は無視することがトリセツの原則であるので、無視した。
アブラハム・プライベートバンクは、支払を求めて平成30年に法的手続きをとった。平成22年から平成30年までの分を支払えというもの。
最初は、督促手続きという簡略なものからスタートした。

事実無根の請求なので、請求棄却を求めたが、訴訟の進行に従い、訴訟のやり方があまりにもひどいので、こちらから、アブラハム・プライベートバンクの訴訟提起は違法であり、不当行為に該当するとして慰謝料請求の反訴を提起した。

たとえば、アブラハム・プライベートバンクが証拠として提出した契約フロー図について、具体的理由をあげて虚偽作成だと明らかにしたところ、アブラハム・プライベートバンクは図表は裁判所に契約フローを説明するための「資料」である、そこに記載されている文言はサンプルであるので、筆者(被告)とは無関係である、サンプル文書について指摘したとしても、被告との契約関係に全く無関係である、と書面で言い出す始末だった。しかし、その数行下では、またしても、被告とは無関係なはずの契約フローが資料から証拠に生き返えり、被告は契約フロー図に従ってクリックして契約したと言い出すという支離滅裂な言いたい放題だったからだ。
また、購入時の担当者の陳述書も証人申請もしない。
アブラハムによると、販売担当者ではなく、投資助言契約、投資助言の担当者ということになる。

今年2月18日判決の言渡があった。
アブラハム・プライベートバンクの請求は棄却、筆者の反訴請求に対し、慰謝料請求が認められた。これは画期的な判決なのである。
訴訟提起が違法で不法行為とされた判決はほとんどないからである。
最高裁判決のケースも違法となる基準を定めたが、当該事例はその基準にあたらないとしたからである。

判決の結論部分だけを紹介する。
※1の部分は、購入はしたが、投資助言サービスをうけた事実はない。契約締結はないというもの。
※2の部分は、立証状況や訴訟の仕方をみると、事実無根と知りながら、訴訟提起したと認定したもの。

https://drive.google.com/file/d/1caILuDL6AfXizMoShB5sWsGrusiWfqAy/view?usp=sharing

ところで、訴訟中、そもそも投資助言契約の内容は、そもそも正規の契約の手続きはなど、いろんな面から検討した。
筆者は弁護士なので、請求されても支払ったことはないし、契約したといわれても、していないものはしていないと拒否したり、無視できた。
多分、多くの人は騙されて契約したことにされたのではと思われる。
彼らの営業の狙いは、何もしないで、投資助言料名目で騙し取ることではないのかと疑われた。
契約内容は明らかに問題だ。
アブラハムの請求は、前述のとおり、平成22年から30年の9年間の請求であった。
裁判所は、※1のとおり、購入した以外に投資助言サービスを受けたことがないと認めたが、
アブラハムは、いろいろ投資助言をしたと主張はしていたのである。
おおよそ、投資助言とはいえず、販売者としてのアフターサービス的ものだった。

ネットで情報収集中に、金融庁は、営業停止ではなく、登録取消の行政処分をすべきだったのではという記事をいくつか見つけた。

皆様、どうぞ被害者にならないようにと祈るのみである。