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米大統領選挙、再集計申立のスタイン、ヒラリーに残念な結果

2016年12月14日 | 日記
どうやら3つの州の再集計の申立ての最終結果が出たようだ。
ウイスコンシン
唯一、再集計がなされた州だ。結果も出た。
トランプが162票を増やし、ネットでもヒラリーに131票勝ちとのこと。
というわけで、再集計などやらなかった方が良かったという結果だ。
ミシガン
ここは裁判の結果、途中で再集計を中止した。
12月10日にもちょっとばかりブログした。
ペンシルベニア
申立てが一番遅かった州。再集計に着手することなく終了。
再集計の法律的問題についての結論はペンシルベニアの決定(連邦裁判所の)をみればわかる。
ウイスコンシンの状況、ミシガンの決定にも触れ、3つの州を総括したものになっている。
法律的な論点は6つであり、いずれも認められないというものだ。
1 もともとが投票機がハッキングされたかもしれないといういい加減な申立てだ。
 これについて、ハッキングがあったという証拠はなく、何の影響も設けていないという説得力の
 ある証拠がある。
 (もともと、何の証拠もないので、スタインは提出など念頭にない。要は、主張するだけ)
2 原告適格がない。申立出来るのは、実際に被害のあったものでなければならないが、スタインは
  実際に被害をこうむったという主張すらしていない。
  本人が出頭しているのに、「REMARKABLY」発言すらしないと理由中に述べてある。
3 連邦裁判所の管轄がない。
  大統領選挙については合衆国憲法修正12条に定めるが、具体的な選挙規定は各州の法律で規定。
  したがって、再集計の規定は州の法律。ということは、基本的には州の裁判所の管轄となる。
  ただ、州の法律が合衆国憲法に違反するときは、連邦裁判所にも訴え提起できる。
  ミシガンのケースでも州と連邦の双方が関わっていた。
  途中から州の司法長官が訴訟参加することになり、法律論が充実することになったが、それまでは
  連邦裁判所で手続きが先行していた。(州に関わる部分は、留保する形になっていた。たぶん、
  再集計の期限の関係で急を要すると見られていたのだろう。
  さしあたり再集計のチャンスを与えたものと思われる)
  ただし、ミシガンの場合も、州の最高裁判所で申立てを却下する決定が出、確定した後に、
  それを理由に連邦裁判所は以前に出した仮処分の取消をした。
  ペンシルベニアでは州の関係では、申立てを取下げしたため、手続きは終了しており、連邦だけの
  問題にシンプル化されていた。
  連邦と州の裁判所の関係というのは、日本人にはわかりにくいが、連邦の裁判所は、州の裁判所の
  存在・役割を尊重することになっている。当然のことではあるが・・
  実質的に州の裁判所を回避するようなケースについては、連邦の裁判所は審理をしないことに
  なっている。ということで、管轄を認めなかったようだ。
  おもしろい表現があった。「SCATTERSHOT」と述べてもいいかもしれないような主張だ
  とあった。
  平等原則違反、実質的適法手続違反、ファーストアメンドメント違反の主張をしておけば
  いいだろうというものだからだ。
4 理由のない手続きの遅れ
  11月8日選挙終了。12月13日までに集計しなければ、州の全部の票がカウントされない
  ことになる(アメリカの大統領選挙はいわゆる間接選挙(選挙人の選挙)なので、ややこしい
  のである)13日というのは明日だ。
  にも関わらず、申立期限ぎりぎりの28日まで待った。連邦裁判所には12月5日の申立。
  わざと遅らせたのではないかということ。
5 仮処分の要件がない。
6 申立てを認めた場合の許容しがたい被害
  13日のデッドラインを守れない場合(集計を終わる)にはペンシルベニア州の約600万人の
  投票がカウントされなくなる(選挙人を選べない)ことである。
  分かりやすくいうと州全体の投票が無効になるのだ。トンデモナイというわけだ。

スタインは最初から再集計しても選挙結果に何の影響もないことを知っており、
またそれが目的ではないと公言していた。本人の得票数は0.82%にすぎないという。
ミシガンでは、機械での再計算ではなく手作業による再集計を要求していた(手作業によると
期限内に再集計できない)
ハッキングがあったという証拠は全くない(そもそも証拠を出すことなどできないので
出すつもりもない)。
となると、トランプ勝利という選挙結果に対する嫌がらせ以外の何物でもないと思う。
ヒラリー陣営がカウントには参加するが、法律上の理由・根拠が全くないので
申立人にはならないとしたのは尤もである。
スタインにとっては、別に失うものはない、逆に、再集計の申立てをするための寄付集めで、
経費以上の資金を集めることが出来、(勿論、話題作りにもなり)損はなかったのである。
日本人にもよく知られているソロス氏が資金をつぎ込んだ可能性もあるとか。
スタインはヒラリーの当て馬(STALKING HORSE)と言われている。
選挙直後のアンチ・トランプ暴動の黒幕はソロス氏だともいわれている。

アメリカは訴訟社会、民主主義の国といわれるが、こういうためにする裁判、訴訟手続きの
乱用をみるとアメリカ嫌いとまでは言わないが、距離を置きたくなるのが正直なところだ。

今年の目標の一つは米大統領選挙のフォローであった。
ペンシルベニアに関する連邦裁判所の決定でかなりの情報を得た。
投票の仕方だが、機械といっても、紙ベースで投票し、それを機器でスキャンして集計する州も
あれば、投票機に直接投票するケースもあるようだ。この場合は記録が残らないので
再集計は困難ということだ。
ミシガンはスキャンするだけで、また個々の機器はネットに接続していないので、ハッキングは
起こり得ないようだ。
ペンシルベニアの場合は、投票機に直接入力する所が大多数だが、スキャンのカウンティもある。
また、ごく少数ではあるが併用のところもあるという。
アメリカの場合、日本の選挙人名簿もないので、選挙の都度、登録しなければならない。
大統領選挙というような全米的な選挙でも、各州でかなり違いがある(大枠の統一的ルール
はあるようだが)。
なぜ統一的な制度にしないのか日本人からみると理解しがたい。

判例法と制定法の国との法規制に対する意識の違いか?と最近は思うようになった。

アメリカについて感心すること
裁判の判決文が即座に無料でインターネットから取得できることだ。
ペンシルベニアの決定は全文31頁だ。アメリカの判決類は日本に比べ分量が多いようだ。