ふしょうなブログ

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「笑う」について

2005年11月18日 22時27分51秒 | 詩の背景
  笑いには幾つかの種類がありますよね。お愛想笑い、ひきつり笑いとか、でも、心から笑う事って少ないような気がします。どうもコントの影響って訳じゃ無さそうですけど、人の失敗を笑うとか笑いの動機、仕組みが単純というか卑屈な気がします。

  心から笑う、心の底から笑える、思わぬ幸せに恵まれた時とか、満足出来た時の笑いなのかなとも思うけど、どうなんだろう

  この詩は、そんな笑いとはちょっと異なって『不条理』な笑いを表現したくて書いた詩です。不条理、辞書で引いてみると『人生に何の意義も見いだせない人間存在の絶望的状況』とあります。お酒を飲めば飲むほどに覚醒する意識、感情を表に出してしまった事への自己嫌悪、何故なんだという思いを隠すように理性の仮面を被ってみる。そして陽の差すベンチに腰掛け理性の仮面を外したとき、意外と背中に背負ったものをすっと降ろせる、無我の境地になれるのかなと思います。

  今までの優しい表現から趣を変えた表現方法にしてみました。なんだか自分にあってないような気がしないでもないので、どうしようかなって迷っています。

笑う(現代詩フォーラム)
URL: http://po-m.com/forum/showdoc.php?did=55064

(詩遊会)
URL:http://oba-poe.ktplan.ne.jp/bbs/toukou.cgi?md=thread&no=7894&tp=7894&dc=




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ボージョレ・ヌーボー

2005年11月17日 11時01分15秒 | 
  テーブルの上にはワイングラスをふたつ 仕事の帰りがけに買ってきた今年収穫された葡萄で作られたワイン ボージョレ・ヌーボーの栓を開けよう 僕の他にこの部屋には誰でも居ない 君が頬杖を突いて物思いにふけったり 誰かに緑色のペンで手紙を書いたり 僕の小さな幸運を自分の事のように喜んでくれた そして時には口を尖らせ不機嫌そうな顔をして 喜びも悲しみもともに分かち合い 僕の向い側に何時も座っていた君の為に 良く磨き上げたワイングラスを用意したから まず君のグラスに注ぐ 今年採れた葡萄で作られたワイン ボージョレ・ヌーボー


  ボージョレ地区のなだらかな丘陵地帯は葡萄の木で埋め尽くされている 不思議な神の血となる ひとふさの葡萄 コルクの栓を抜くとボージョレ・ヌーボーの生きた香りが漂い 静かなこの部屋に 君の謎めいた甘い微笑み 掻き揚げた髪の齎す陶酔と幻想へ誘う唇から覗く舌先は 不思議な神の血にきっと震えるだろうか 僕のグラスにもボージョレ・ヌーボーを注ぐ グラスの中で揺れる赤い液体 口に含めば拡がる 太陽と熱風の記憶 それは 向い側の席でグラスを捧げ 大げさな身振り手振りで今日の出来事を語る君の記憶 甘く切なく そして満たされていたひとときの夢


  星屑になった君の愛に満ちた涙を
  僕は夜空から掬い上げる事を躊躇った
  君の将来を案ずる心と
  今の幸せにしがみ付こうとする心との
  葛藤に切り刻まれた僕の魂は
  愛する君と別れる事を選び
  ひとり絶望の道を歩む
  そして 君の面影を胸に抱き
  グラスに注ぐ赤い液体 ボージョレ・ヌーボー
 

  ディオニュソス神の悪戯なのか 酩酊した君への想いを引き摺るようにして ブルーチーズを齧りながら飲む ボージョレ・ヌーボー 君のグラスの中で静かに時の過ぎ行く様を眺めている 不思議な神の血 ワインはグラス一杯に注いではいけないと何時も君に窘められていたから 慎ましいほどにグラスへ注いだ ボージョレ・ヌーボー この部屋はエアコンディショナーから吹き出される 乾燥した暖かさに満たされていて 君の居ない虚しさを次第次第に想い出の片隅へ押しやろうとする 日付の変わる前にはボトルの総てを飲み干そう 明日になれば陽はまたボージョレ地区の葡萄畑に降り注ぎ 収穫の終わった喜びに満たされた村々に木霊する 牛追いの声が聞こえる



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猫待ち草

2005年11月16日 19時14分50秒 | 
月に向かって叫んでみる
君の前だから腰なんか振ってみたりして

あまりにも馬鹿らしくて
何故だか凍え死ぬ程に寒々しいな

猫待ち草はニャンと鳴き
夜毎に彷徨える僕はアレルギーの洟垂れ小僧

君の膝頭の温もりに安らいでも
猫待ち草に虚しさ覚え
ソファーから飛び起きて
君の部屋から飛び出して
コンビニの軒先までたどり着いたら
くしゃみをひとつ
貧相な猫待ち草の哀れさに
小声でニャンと頷けば
立ち読みは やるせなさのページをめくり
めくってもめくっても
果てしなく続く
グラビアの猥雑さはとめどなく
涙もろい涙もろくて
鼻水垂らして
夜毎に彷徨える僕の魂は
猫待ち草と繰り返す交尾の果てに

月に向かって叫んでみる
フォオオオオオオオ!



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笑う

2005年11月14日 22時42分10秒 | 
飲みすぎたアルコールとともに吐き出した
苦しみも 悲しみも 寂しさも
苛立ちも 憤りも何もかもが
それはもう呆気なく
それはもう大きな渦となって
便器の穴から消えてゆく


吐き出した 苦しみも 悲しみも 寂しさも
苛立ちも そして 憤りも何もかもが
単なる気まぐれに過ぎないのだから
口許についた吐瀉物と涎をハンカチで拭い
歪んだ顔を三角容器から拾った仮面で隠すと
化粧室の傾いだ扉をゆっくりと開く


そこは喧騒の坩堝 そこは淫猥の坩堝
自分勝手な言葉を酔いに託けて飛ばし合う
誰も聞いてはいない 誰も理解しようとしない
ただ そこにあるのは一方通行の満足感と
愛欲の舌先を絡ませ合う男と女の饐えた匂い


耳元に吹きかけられた酒臭さに空返事をしながら
確かめてみる 明日の天気 明日の降水確率


晴れ時々曇り 降水確率 20パーセント
今冬一番の木枯らしが吹き荒れた今日よりましなら
あの公園のベンチに腰掛けて 組んだ足を揺すり
総ての感情を吐瀉物とともに流した心の軽さを
確かめるように仮面をゆっくりと外して


仮面で蒸れた頬を叩く北風に笑う



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詩を理解すること

2005年11月12日 21時48分49秒 | 詩に関わる話
 良い詩は時空を越えて、いつの時代でも共感を得られるものですし、読む人の心を捉えて放さないものだと思います。でも、その詩の書かれた背景を知れば、その詩について、また、その詩を書いた詩人についてより深く理解出来るのかなと思います。

 良く言われるのが『荒地』の詩人達により書かれた詩についてだと思います。戦中の言論弾圧、敗戦により、これまでの思想、信条が180度ひっくり返り国内に怒涛のように流れ込んだ、アメリカから自由主義(資本主義)そして、ソビエト、中国からは社会主義、共産主義、濁流のような社会の動きの中で詩人達は『死』を原点として新しい詩の地平を求めたと言われています。

 詩を書かずにはいられなかった心の起伏、心を揺り動かしたものが、どのようなものであったのかを掘り下げて理解する事により、詩の言葉ひとつひとつの意味、詩人が詩を通し訴えたかった事が鮮やかに浮かび上がってくるのではと考えます。



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ポイントとともに消えるもの

2005年11月10日 20時48分09秒 | 詩に関わる話
 現代詩フォーラムでは投稿した詩に共感していただいた方よりポイントを頂戴できます。それは、詩の言葉を通じて心を通わせ、思いを共有していただいた証であり、とても大切でありがたいものです。ですから、その方より頂戴したポイントには感謝の言葉を、そしてコメントまでいただいた際には、お礼の言葉を添えるようにしています。

 でも、そのポイントを下さった方が現代詩フォーラムより退会されてしまうと、その方が付けたポイント総てが消えてしまいます。そうすると、何時の間にか消えたポイントの後には、その方に宛てたお礼の言葉が所在なげに、一人ぼっちで佇んでいるのです。

 まだまだ、拙い詩を書いていますので、それ程多くの方々よりポイントを頂戴している訳でも無いのですが、それでも暫く気付かない事があって、過去に投稿した詩を何気に開いてみて、あっと気付く訳です。

 退会されるのには、それなりの理由があるのでしょう。それでも身勝手な思いであるにしても、とても寂しいですし、儚さを感じてしまいます。また、その方の投稿された詩も全て消えてしまいますので、退会された時点で、その方の足跡は現代詩フォーラムには一切残っていません。ああ、この方はどんな詩を書いていた方かなと慌てても後の祭りな訳です。

 また、退会されなくても、良い詩を書かれる方だなと感じて『ひみつのお気に入り』に追加した方で、ここ何ヶ月か投稿していない方もいらっしゃいます。気になって、その方のプロフに記されているリンクより、その方のサイト、ブログを覗いてみると元気に詩を書かれていたりします。詩を書くこと止められていないのだな、元気でがんばっているのだなと安心する反面、どのような理由で、現代詩フォーラムに投稿される事を中止されているのかなと気になってしまいます。

 これが、この世界の決まり。そう言い切ってしまえば終わりの事で、何をつまらない感傷だとお思いでしょうが、一期一会、出会いは別れのはじまり。そんな事を思ってしまう、良く晴れた秋の日の午後でした。




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手のひらの不思議(葬送譜について)

2005年11月09日 22時13分27秒 | 詩の背景
 手のひらで体調の良し悪しが分かったり、手相を見て、その人の人生、将来が推し量れるように手のひらって身体の一部でありながら、その人の総てが凝縮されているようです。また、緊張したときに汗をかいたり、不安なとき、手と手をつなぐことにより安心感を得る。(恋人同士、幼子とその親、年老いた親と子だったり、サッカーの大切な試合では、選手同士が手をつなぎあったりします)つまり、心模様というか、どうやら心の窓なのかなと思います。他には唇も心の窓なのかな、恋人同士、唇を重ねる事でコミュニケーションを図りますよね(^。^)

 そして、この詩(葬送譜)で歌ったように生まれるときは両の手のひらにをしっかりと握り締めて赤ちゃんは母親の子宮より出てきます。また、死ぬときには生への執着、最後の足掻きのように手のひらを握り締めます。(テレビドラマの見すぎなんて言わないでくださいね)それらは、生理的、科学的な根拠(死んだ場合には死後硬直なのかな)があるのは理解しています。でも、もっと他の理由により手のひらを握り締めるのだと、Yock自身は思ってします。
 
 この詩を書いた発端は現代詩フォーラム、詩遊会さんでお世話になっているPULL.さんよりグエル詩人学校・詩と絵のリレーへの投稿のお誘いを受けたことによります。死については軽軽しく扱えないなと常々感じているのですが、リレーをつないでいる方々の作品を拝見して、真摯な姿勢で死という重いテーマに取り組んでおられる、皆さんの姿に共感し、PULL.さんよりバトンを引き継ぐ事にしました。尚、PULL.さんはご自身で死をテーマとして作曲された楽曲を投稿されています。以下にリンクを添えますので、PULL.さんの作曲された曲、是非お聞きください。

 両目をつぶり深く呼吸を吐きながら両の手のひらに力を入れてみてください。死後の世界を垣間見ることは出来ないと思いますが、きっと何かが見えてくる、浮んでくると思います。解脱なんて言うとアレですけど、そんな境地なのかも知れないな(^o^)




グエル詩人学校・詩と絵のリレー
URL:http://otd8.jbbs.livedoor.jp/262937/bbs_thread?range=400&base=100


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100作目を投稿しました

2005年11月08日 21時15分20秒 | 詩の背景

 今朝、現代詩フォーラムに記念すべき100作目の投稿となる詩『落ち葉のプレリュード』を投稿しました。先に述べました通り、この後暫く、若しくは当分の間、どうやら試行錯誤の日々が続きそうです。でも、詩作を再開し僅か半年あまりで、ここまで来れたのですから、これからも何とかなりそうな雰囲気ありますし、偏西風が吹き付けてくるのを確かに感じ取れます。




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落ち葉のプレリュード

2005年11月07日 23時20分26秒 | 
君の知らない深い悲しみを
僕は背負って生きている
そして君も僕の知らない過去の残骸に
足をとられては涙を流す

この街のプラタナスも深まる秋の気配に
すっかり色づき始めたよね

人は儚さと虚しさの境目で
ひとり立ち止まっては
冷酷な自らの運命に天を仰ぎ

優しさはやたらと涙もろくて
時の過ぎ行くままに
頬杖をついている

あの街の何処かに捨ててきたはずの
置いてきたはずの
やるせないしがらみに怯え
うなされる夜の果てに
プラタナスの落葉が降り積もる

ふたりは許されるのか
それは何時誰によりなされるのか
忘れようにも
忘れる事の出来ない悲しみの影に
君も僕も苛まれているのかな

ふたり手と手をつなぎ
プラタナスの街路を歩く
降り積もる落ち葉のあげる
悲鳴にも似た足音に
今は唯ひたすら耳を傾けていたい



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葬送譜

2005年11月06日 21時38分52秒 | 
胎内より産まれ出るとき 人は両の掌を握り締める
これからの生を掌から逃さぬように
そして命絶えるときも 人は両の掌を握り締める
これまでの生き様を掌から逃さぬように
これまでの記憶を掌から溢さぬように


指折り数え死を迎え


握り締めた生き様を何処へ持っていこうとするのか
命絶える時でさえ 人は己を手放そうとはしない


指折り数え死を迎え


両手の指を一本ずつ折り曲げながら生を数え
十本の指総てを閉じ終える それは命の尽きるとき
未来は眼前より消え失せ 荒涼と拡がる生きてきた日々
それは陽炎のように不確かなものであり
それは大樹の息吹のように確かなものでもある


指折り数え死を迎え


瞼を閉じれば昨夜の出来事のように鮮明に浮かび上がる
生きてきた日々を指先の内側にある細い隆起線のつくり出す
紋様一本一本に擦り込み 刻み込み なぞるようにして
追憶の指先で触れてみれば 過去の甘い生き様に
過去の苦い生き様に 血の気の失せた唇を震わせながら


命絶えるその瞬間


両の掌を強く握り締めてみる





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