緑内障のプロスタグランジン系新薬は、タフルプロスト(タプロス点眼液)でした。
旭硝子がフッ素化学合成の技術を生かして創出した化合物を参天と開発した目薬のようで、メルクとも提携しているそうです。開放隅角緑内障に適用があるようなので、次回は名前を忘れないように。
さて、さぼっている間に、脳腫瘍治療についても日々進歩しているようで、いろいろとニュースがありました。
まずは、中外製薬が9月19日に、抗VEGF(血管内皮増殖因子)抗体「アバスチン」(ベバシズマブ)を膠芽腫の再発例に対する治療薬として承認申請しました。脳腫瘍も分子標的薬の時代になってきました。
その8日前、エーザイが、ノーベルファーマという会社が開発していた「ギリアデル(カルムスチン)」を、悪性神経膠腫治療薬として日本における販売権を取得しました。ギリアデルは徐放製剤で、手術で腫瘍を取り除いた後に、ギリアデルを埋め込むようです。
それから、まだ臨床試験段階のものですが、ステラケミファが開発したホウ素化合物を使って中性子照射を組み合わせる治療「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT:Boron Neutron Capture Therapy)」を、ステラケミファ・ステラファーマ・京都大学原子炉実験所・住友重機械工業が共同で、再発悪性神経膠腫患者を対象にしたフェーズ1試験を開始するというもので、9月6日に発表されました。5年後の承認申請を目指しているそうです。
悪性神経膠腫は正常細胞に比べてホウ素化合物を約3.5倍取り込むので、そこへ中性子線を照射するとホウ素の核分裂が起きてα粒子とリチウム原子核が放出され、廻りの正常細胞を傷つけることなく癌細胞を破壊できる、ということらしいです。
まだまだ動物実験段階の話ですが、グリオーマの化学放射線治療で、絶食や絶食に似た状況に置くと、治療効果が高くなる、というマウス実験結果も報告されています。
いろいろな治療法が研究開発されていますが、それぞれ患者さんに合う治療が早く届ければ良いと思います。