はげちゃびん

「なんか、年取ったねぇ～。」

僕と同年代の殿方に申し上げたい。
この言葉は、日本が沈没しても奥さんには言ってはいけません。

親しき仲にも礼儀ありをモット－にしていたはずの私は、
事もあろうに、見たままを素直に発言してしまいました。

それは休日の夕食時。
スマホを見るのに、最近購入した老眼鏡を奥さんが取り出したのです。

「遠くは見えるんだけど、近くがねぇ」

僕は、娘たちとお話ししながら機嫌で晩酌していたせいもあり、
「年取ったね」

日本は沈没していないのに言ってしまいました。

彼女は昔からいつも元気で、
つい数年前まで、娘たちに「３０代」と信じ込ませた現在５０才。
やはり歳月には逆らえないんだぁと思ってしまったのですもの。

そう・・・・・・でも
彼女は、やられたらやり返す武闘派。

「ほ～ほほほほほっ」


「はげちゃびんに言われたくないわぁ～」


「はげちゃびん」
何十年ぶりに聞いたでしょう。その言葉。

その時は、すっごく面白くてゲラゲラ笑ったのですが、
脳みその回転率の低い僕には、後からジワジワきました。

「土瓶、茶瓶、はげちゃ瓶」
翌朝、目が覚めると頭の中で鳴り響き「なんだか悲しい」のです。


「言葉には気をつけよう」と改めて思いました。



ちなみに、奥さんにその話をしましたら、
「あぁそう。じゃ、つるっぱげ　の方が良かった？」

あ～言わなきゃよかった・・・・・・。