じゃっくり

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協力するということ

2006年06月01日 | 雑記
協力するということ

 職場対抗の野球のリーグ戦があって、僕もメンバーなので参加してきた。小学校時代に少し経験がありますと僕がいったら、メンバーに入れてくれたのだけど、実際は新品のグローブとユニフォームと靴を買ったはいいが、二週間でクラブをやめてしまった。
 だから、下手っぴなのである。素人にニ三本の毛が生えたプレーしかできないのだが、運動神経はなかなかいい方なので、なんとかいちおう経験者としての面子はぎりぎり保てている。
 野球を観るのは好きだが、するのは実はあまり好きではない。集団スポーツだからだ。野球はとくに集団プレーが重視され、意識させられる。
 セカンドを守る僕の前にボールが転がってきた。びくっと身体が一瞬こわばるのが分かった。体勢を低くし、ボールの軌道をスピードを確認し、捕球体勢に入る。試合の間、僕の前には六七度ボールが転がってきて、そのうち一つはものすごいスピードで左を抜けていったが、大部分はきちんと捕球し、一塁なりニ塁に投げることができた。「大活躍だな」と先輩に言われて思わず顔がほころぶ。
 同じチームの皆は僕がボールを捌く度に声をかけてくれた。「ナイスセカンド!」そういってグローブを叩き合わせてくれる人もいたし、肩を叩いてくれる人もいた。いつも無愛想でとっつきにくそうな彼が、キャップを取って僕におじぎをしてくれた……。感動せずにはいられなかった。チームプレイってこんなに楽しいものだったのか。
 見直さなければいけない。集団行動がいつまでたっても苦手な僕は、いつまでたっても集団で歩いている者たちを疎ましい目で見ている。「あの」といって声をかけたらその輪に参加できるかもしれないのに、しないでいた。見直さなければいけない。

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トビラノムコウ

 あと五ページほどとなった。思えば旅をするように読んでいた。著者に会ったとき、「あと百ページほどです」と僕は言った。あれから三週間、なかなかページをめくれないでいたのだ。普通著者と会ったわけだから、益々興味をもって本を読み進めると思うのだが、そうではなかった。なぜだろう。
 鬱病に不眠症、この二つの語句を見てはっとなった。このごろ距離を置いている女性と重なった。救急車で運ばれたり、オーバードーズをしたりする著者とも被さる。

 どちらも自分の存在を認めてもらいたい者と会いたがっている。「自分は欠陥品なんだ」という言葉が今になって頭に突き刺さってきた。続いて「あなたも健常者みたいに言うでしょうね」という言葉も。そうじゃないと思っていたが、たしかに。僕は健常者でも障害者でもないけど、このごろはたしかに健常者の脳みそで物事をみていたのかもしれない。

 著者の小学生時代のことはもうおぼろげにしか思い出すことができない。中学生時代が一番苦痛だったということは知っている。高校生時代は不登校になった。大検を受検して、大学に入ったが、中退をした。キャバクラ、デリヘル……。そして出会い。本を再び開けば全てのことはそこに鮮明に巧みな文体で描かれているだろう。次に読むのはいつになるのか――。

 著者にお疲れ様と言うのは早いのかもしれない。僕にはあと五ページが残っている。

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