じゃっくり

日常をひたすら記すブログ

R君のこと

2005年08月22日 | 雑記
僕の親と母の知り合いの夫婦2組とその一方の子供1人、僕もいれて計8人で庭先でバーベキューをした。母親を筆頭に皆はよくしゃべったけど、僕と唯一高校生の「子供」であるR君はほとんどしゃべらなかった。

 僕とR君は隣の席に座った。僕の方が8個上だ。年上の方から話しかけるのが普通なのだけど、僕はどうも切り出しにくく感じ、無理をせずに黙っていた。でも本当に一言も会話をしないのは嫌だったので、彼に肉を取り分けたり、ジュースを渡すときに「これ、どう?」とかいって少し話した。結局僕から会話にならない言葉を少し彼に投げかけたくらいで、彼から僕に何かを話しかけてくることはなかった。

 僕はR君を自宅まで送らなくてはならなかった。ポンコツぎみの軽トラで少し冷や汗をかきながらレバー操作をして運転した。せっかくクーラーが入っているのにR君側のウインドウが開いていて、でも僕はそれを注意するのも気がひけたし、その前にクーラーの「ク」がでそうになかった。

 でも車内には2人きり。赤信号で止まったのを見計らい僕は彼に話しかけた。

「こ、高校……高校い……高校生だっけ?」高校一年生というのを知っていて、それを彼の言葉で確認したくて、でも一年生の「い」がでてこず、無理やり言葉を変えたので変な質問になってしまった。彼は「はい」と答えた。

「す、すいそう、吹奏楽部だっけ?」
「そうです」
「たぶん、たしか、けっこう、お、お、男とか少ない感じだよね」
「……す、少ないですね。僕一人です」

 彼も吃音者なので、多少つっかえながら話した。僕と彼は拙い会話をしながら、でも心を通わせながら車に乗っていた。3つくらいの質問をした後、今のこの空間に言葉の必要性をあまり感じなくなって、それ以降は特に何も言わなかった。

 R君の自宅の駐車場につき、僕は「お疲れ様でした」と仕事場で使っている言葉がそのままでてしまって苦笑した。
「あ、あ、ありがとうございました」
 R君は助手席に座りながらそう言い、降りた後も「どうもあ、ありがとうございました」と言った。僕は笑顔で会釈した後、慣れないMT車のバック操作をして駐車場を出た。

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