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Dear Happy Days*

何気ない毎日に
しあわせいっぱい探そう♪

あの空をおぼえてる

2005-06-23 | 読書ノート

ジャネット・リー ケアリー 著作

死ぬ瞬間、二人は明るい光の中にいた。
明るいその光はなんともあたたかく二人を包み込み
心地よく夢見るような快適さだった。
その光の向こう側に行ってしまったのが、二度と帰らぬ人となった妹。
そして残された両親の気持ちを思い、光の中から生還した兄。

突発的な事故に遭い、妹は死亡し、兄は生き残る。
その兄の亡き妹への思い、悲しみ、やるせなさ、
彼の、愛娘を亡くした両親へのいじらしいぐらいの愛情を
天国の妹ジェニーへの手紙として記述されているのが本書である。

生き残った者の悲しみ、妹の死を受け入れることの苦しみ、
意気消沈した両親への思い、いろいろな感情が彼の中で交錯する。
特に両親を元気づけようと頭を悩まし、
いろいろな対策を練ろうとする彼の姿は、いじらしく切ない。

最愛の人を亡くした時、人はどのようにそれを受け入れ、乗り越えていくのだろうか。
それはいつの時代でも人生の課題ではあるが、
本書は、このテーマを最も愛情を持って描いた作品である。

読み終えた後、心があたたかくなった。

赤い長靴

2005-06-20 | 読書ノート

江國 香織 著作

結婚した夫婦が二人でいることの孤独。
一緒にいるのに心が通じ合わない淋しさ、せつなさ。
二人の間にはいつも距離感がある。

日和子とその夫、逍三との関係はまさにそんな感じだった。
日和子が話しかけても、夫はただ「ああ」とか「うん」とか
相づちを打つだけだ。彼は彼女の話なんて聞いていないし
淡々と自分の生活を続けているだけだ。
それでも日和子は話し続ける。話し続けなければ会話がなくなるからだ。
といっても、こんな一方的な語りを会話というのには少し疑問が残るが・・

この本の題名、「赤い長靴」というのは、クリスマスになると
なぜか毎年逍三から贈られるお菓子が入ったクリスマスブーツのこと。
日和子はこの赤い長靴を気に入っておらず
もう贈ることをやめてくれと伝えているにもかかわらず、
そんな彼女の感情など気に留めることもなく
自分がいいと思ったものを、押しつける夫。
日和子とは感性が異なる夫。

こんな夫を半ばあきれながら、時として孤独と淋しさを感じつつも
日和子は、夫といる生活を愛している。
外に出て友人と会っていても、夫の事を思い、早く帰宅したくなる。
そして夫と離れていると、むしろ一緒に居るときよりもいとおしく思う。
一人でいる時は安堵に似た気楽さもあるが、
やはり逍三がいると生活に変化があり動きがある。
そういう生活空間の中にいることへのさりげない喜びを感じている。

私だったら、夫が人の話をろくすっぽ聞いてくれなかったなら
耐えられないし、怒り狂う(?)だろう。
そしてもっと「人の話をよく聞け!」と要求するだろう。
どうして日和子は、夫への不満をこんなにも静かに胸に抱えていられるのだろう。
また、なぜ自分の予想外の答えが返ってきたり、行動だったりすると
彼女は笑ってしまうのだろう。
私とは全然違うタイプのようだ。

・・でもなんとなくわかる、この本の言いたかったこと。
一番近くにいて、遠い存在。
近い関係でありながら、距離のある他人。
二人でいることの淋しさ。
でもやっぱり、夫とのこの空間を愛する。
夫婦ってこんなものかもしれない。


さおだけ屋はなぜつぶれないのか?

2005-06-17 | 読書ノート

山田 真哉 著作

最初本屋でこの本の題名を見たとき、「なんじゃこれ~!」と思った。
ユニークというか、とても強烈な印象としてインプットされた。
でも、なかなか読むきっかけがつかめずに日にちが経過・・
そんな時、しんはるさんのブログを読ませて頂いて、
「よっしゃ~、読んでみよう!」と私の頭の中でゴーサインが炸裂!

光文社の新書版で頁数、200ページほどのボリュームの会計の本。
そういうと、数字がいっぱいでてきて、難しそうなイメージだが、
そんなことはなく、
どちらかというと、会計とはこういう考え方なのよ、という軽い感じ。
なぜ、さおだけやが潰れないのか?
その疑問を解決したい!という単純な欲望と
話題の本は、目を通しておきたかったのでさっそく読むことにする。

内容はというと、とても身近でわかりやすい説明と解説で、
意外とおもしろい。
「へぇ~、なるほどねぇ・・」と思える所がいっぱい!
会計に関する7つのエピソード

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

1 さおだけ屋はなぜ潰れないのか?
2 ベッドタウンに高級フランス料理店の謎
3 在庫だらけの自然食品店
4 完売したののい怒られた!
5 トップを逃して満足するギャンブラー
6 あの人はなぜいつもワリカンの支払い役になるのか?
7 数字に弱くても「数字のセンス」があればいい

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

各エピソードの終わりに「まとめ」というか「要約」がコンパクトに集結されているので
私のように読んだ端から忘れていくタイプにも、おさらいができるのでグッド!
巻末には「ことわざ会計学」や「コメント付き会計用語」というコーナーもあるし
索引もついているので、てっとりばやく興味の内容にたどり着ける。

どこから読んでも、読み飛ばしても、どうにでもなる本で、
会計学というお堅いジャンルでありながら、とてもライトな内容。
会計をまったく知らないド素人な私でも理解できたし
もしかして会計の考え方っておもしろいかも~という気分にさせてくれた。
そして会計の話など、主婦の私にはまったく関係なさそうでいて
日常生活の中で数字のセンスを磨いていくことは
スマートに生きるということにもつながり、いろいろな場に応用できることが
たくさんあることに気づく。

著者は他にも本を多数出しており、それにもとても興味がある。
「女子大生会計士の事件簿 1~4」
「世界一やさしい会計の本です」
コミックス「公認会計士萌ちゃん1~3」etc

高校生の息子がこの方面の勉強をし始めているので
まずは今日あたりから、この「さおだけ~」の本を薦めてみたいと思う。

注意! これはあくまでも個人的感想です。感じ方には個人差があると思いますので、その点はご了承下さいマセ。あしからず!

盲点力~人が見えないところを見る力

2005-06-14 | 読書ノート


多湖 輝 著作

この本を読んでとても印象に残ったこと。
それは、作者が指摘するように、
人は自分の興味のあること、関心を持っていることにしか
意識が集中しない・・ということだ。

つまりある人達が、同じ状況、環境に共に居合わせたとしても
それぞれ見ている観点、視点が異なり、感じることも様々だ。
例えば、友人や旦那と散歩をしているとする。
あとでその散歩の途中の様子や風景を語り合ってみると
えっ、そんな所あったっけ?・・とか
そんな花咲いていたっけ?・・etc
(また自分が発見したことを相手が気づいていない場合もある。)
かなりの隔たりというか、見ているところが違うなぁと感じる時が多々ある。

花の好きな人は、道ばたに咲いている花に興味がいくだろうし、
野鳥の好きな旦那は、鳴き声を聞き分け、枝に止まっている小さな野鳥をも
発見することができる。
グルメな人は新しくできたお店や、オシャレな喫茶店に目がいくだろうし
子供が大好きな人は、公園で無邪気に遊ぶ子供や、ベビーカーでスヤスヤ
お昼寝している赤ちゃんの寝顔を幸せな気持ちで見つめるだろう。

そういうことを考え合わせてみても、自分が普段見ている世界というものは
とても限られた偏った世界なのだということがよくわかるし、
実際、見ているようで見ていないところがたくさんある。
つまり
日常には盲点がいっぱいある・・ということだ。
時には違った角度で物事を考えたり、情報のアンテナの向きを変えてみるのも
新しい発見があって、おもしろいかもしれない。
そして人が考えないこと、見ていないところを追求していくことが
盲点力を鍛えることになる。


発想の転換といえば、
例の「簡単すぎる!」というCMでおなじみの
TU-KAのお年寄り向けの携帯があげられる。
この携帯のスタイルは「若者が絶対に使いたくない携帯のスタイルを考えろ」
という上部のお達しがあり作り出されたらしい。
そしてお年寄りのユーザーにターゲットを絞ったそうだ。
その結果、この携帯は爆発的に売れているらしい。
これは、見事に盲点をついたアイデアがヒットした例だと思う。

何よりおもしろいなぁと思ったのは、電源スイッチをコタツのスイッチのように
左右にスライドするスタイルにしたことだ。
バイブレーション機能など一切なし!スイッチを入れて電話をするのみ!
考えてみれば、日本の人口は老人が多い。
ややこしい機能などいらないのだ。
公衆電話がわりに利用できたらそれでいいのだ。
メールなど、グダグダ打つ必要もなし。
簡単でわかりやすく!・・というユニバーサルデザインだ。

TU-KAさん、ここでひとつ提案があります。
お年寄りの方でも、おしゃれがしたいと思います。
そこで・・形はこのままでよいと思うのですが
もう少し色をなんとかしてもらえませんか?
きれいなカラフルな色を使って、もう一度再現してほしい!
きっと携帯を使うことが楽しくなると思います。

・・う~ん、なんだか論点がずれてきているような・・
どうして本の話からTU-KAさんへのお願いになっちゃってるんだろう?
書き出したら、止まらなくなっちゃった。(笑)
まぁ、いっか!




対岸の彼女

2005-06-11 | 読書ノート

角田 光代 著作

図書館で予約して数ヶ月経ち、やっと自分の番がやってきた、直木賞受賞作品。

女性にはさまざまな生き方がある。
大きくわければ、結婚の有無、そして子供の有無。
それによってライフスタイルや人生観も大きく異なってくるだろう。

この本は、シングルで会社社長を営む葵と既婚者で小さな娘を持つ小夜子が
共に仕事をすることになることから話が始まる。
大きくかけ離れた相手の住む世界。
それは、この本の題名「対岸」を意味するところである。

しかし、住んでいる世界が違う、価値観が違う・・ということは
それほどまでに相手を理解しがたいことなのだろうか?

この本を読んだ時、男性はこの話を理解できるのだろうか?と思った。
そこには女性独特のものがあるような気がした。
とにかく女性は、同じ環境や趣味、同じ立場の同姓と群れたがる。
それ以外の価値を持つ人たちとは、群れたがらない・・というか
拒絶する傾向があるように思う。
たぶん、そうすることが楽だからだろう。

この本の登場人物、小夜子もそのように感じた。
葵とは住む世界が違うのだと・・。
しかし、だからといってこの話はそれで終わらない。
この二人は最終的には相手を理解し、共に新たに仕事を始めるのだ。

ほんとうのところ、相手のことをどれだけ理解しているのか。
表面的な事だけで判断し、案外相手の本当の姿は見ていないのかもしれない。
対岸のような場所にいるであろう相手でも、
きっと根本的には理解できる身近な存在なのではないかとこの本を読んで感じた。

自分の中で、勝手に「対岸」を作らないようにしたい。



四日間の奇蹟

2005-06-08 | 読書ノート
浅倉 卓弥 著作

最初から最後まで、ピアノの調べがメロディーとして
バックミュージックに流れているような、幻想的な作品。

この作品の主人公敬輔、彼のことを「敬パパ」と呼ぶ千織、
そして敬輔のことを学生時代から片思いだった真理子も
皆、人生の闇と重荷を背負っている。

死を目前に4日間を過ごす真理子。
迫り来る死への絶え間ない恐怖、あせり、絶望・・
しかし、最後には、自分が生まれ、生きてきた意義を求め、愛を確認し
自分の存在意義を確信する。
クライマックスはとても美しい光景が繰り広げられる。
ピアノの音が心の中で再現される。
それは優しく、喜びと希望に満ちた音の調べ。

この作品の映画が公開された。
この作品がどのように映像化されているのが是非観てみたいと思う。

焼き菓子のレシピ本

2005-05-30 | 読書ノート

”毎日のように焼き続けてやっと見つけだした”
ぜったいおいしく作れる焼き菓子レシピ
稲田多佳子

とてもおしゃれな、焼き菓子のレシピ本です。
眺めているだけで、しあわせ~
お菓子達の写真や、稲田多佳子さんのお菓子作りのコツや
コメントなども書かれていて
読み物としても、とても満足できる内容です。



クッキーやタルト、シフォンケーキ、ロールケーキ、スコーンなどの
焼き菓子のレシピが満載。
気取ることなく、日常のティータイムにさりげなく登場させたいような
そんな焼き菓子、もっと手軽に、身近に取り入れたくなりました。




シフォンケーキをさっそく作ってみましたが
今までになく、大成功でした♪
週末なると、この本をパラパラめくって、眺めては
次は何を作ろうか・・と思いを巡らせるのが至福のひとときなのです



カシコギ

2005-05-07 | 読書ノート
趙 昌仁(チョ チャンイン)

『あなたが虚しく生きた今日という日は
昨日死んでいった者があれほど生きたいと願った明日』

この韓国小説の題名の「カシコギ」、最初なんのことだろうと思った。
(プルコギならわかるけど・・笑)
「カシコギ」というのは、魚の名前だということが
この小説を読み進めていくうちにわかった。

カシコギのママは産卵したら、さっさとどこかへ行ってしまう。
その産卵された卵がやがて稚魚となり、独り立ちできるまで
ひたすら外敵から守り育てていくのがカシコギのパパだ。
しかし、パパのもとで守られながら育った子供のカシコギも
すぐに独り立ちできる日がやってくる。
子カシコギが旅立った後、役目を終えたパパカシコギは
石に頭をぶつけて死ぬ・・
このような習性のあるカシコギという魚。

この小説に登場する父親の子供に対する愛情、彼自身の生き方は
まさにこのカシコギパパの一生に酷似している。
白血病の息子を命がけで守り、絶え間ない愛情を注ぎ続ける父性の愛情を描いている。

息子を生かすためには、骨髄移植しかない。
そのためには多額の金額を必要とする。
その費用を作るために自分の角膜を売る父親。
そのお陰で息子は生還するが
父親はやがて自らの病、癌に冒され死すべき運命である。

あまりにも運命は残酷で、悲しい。

この小説はあくまでフィクションではあるが、
著者は、不治の病を患う息子を持つ知人の事をこの小説に書き記したということだ。
母の愛を記すドラマや小説は多いが
父の愛を男性の視点で描いているところが新鮮かもしれない。

最初、文頭に書いたフレーズにすごく感銘を受けて本を読み始めた。
でも、読み終えた今はこの本の最後に書かれてあるフレーズに心が揺さぶられる。

「人間は、自分の子どもを世に残す以上は、
死んだとしても、それはまったき死じゃないんだよ」

自分がいつかこの世を去るとき、
子供を一人でもこの世に残せること・・
このことは自分が生きた証であり、
その子の中に生き続けるということである。



がばいばあちゃんの笑顔で生きんしゃい

2005-04-26 | 読書ノート

島田洋七

「佐賀のがばいばあちゃん」の続編のエッセイ。
重複する部分もあるが、やっぱり「ばあちゃん」の魅力、
明るさ、たくましく生きる力や知恵などがつまっている。
私、個人的には前作の「佐賀のがばいばあちゃん」の方が好みかも。

とにかく食べるものもないような超貧乏な暮らしをしていたらしいが
その暗さはみじんも感じさせず、
そこには明るさと生活に対する工夫が施されている。
感心するやら、感動するやら・・

前作を含めこの本全体に漂っているものは
底抜けの明るさと生きる力、そして人を信じ愛する心。
この「ばあちゃん」にかかっては、どんなつらい出来事も
笑いに変え、元気にしてくれる。
まさしく「ばあちゃん」パワーだ。
「ばあちゃん」に会ってみたかった気がする。

「佐賀のがばいばあちゃん」が映画化されるということだが
是非、映像化したこの作品を観てみたいものだ。

佐賀のがばいばあちゃん

2005-04-25 | 読書ノート
島田洋七

この本、ほんとお勧めです。
ずっと以前、本屋で「佐賀のがばいばあちゃん」というケッタイな?題名を見て
思わず手に取って立ち読みした本。
「がばい」とは、佐賀弁で「すごい」という意味らしい。

ざっと速読?して、すごく印象に残った箇所は
「本当の優しさとは、他人に気づかれずにやること。」というばあちゃんの言葉。
最近新聞に紹介されて、やっぱり欲しくなって早速本屋に走った。
あらためて、じっくり読むと所々ばあちゃんの哲学というのがあり、
読んでいて、思わず大笑い、でもなるほど!と共感したり、
そうだよね!と納得したり、本当に面白い。

タレントの島田洋七さんの生い立ちやばあちゃんと過ごした中学生時代までの
ことが書かれている。そのエピソードやこばなしが心をほっとさせてくれる。
何かをどこかに忘れてしまっている現代人の私たちに、
本当に大切なことはなにかということを、笑いと涙を持って教えてくれる。
しかし、それは決して説教じみたものは一切なく、さわやかな読後感を与えてくれる。
とてもわかりやすく文章なので小学生の子供も読んで楽しめると思う。

佐賀のがばいばあちゃん