北欧デンマークおばさんの独りごちブロ

「住み慣れた地域で最期まで」をテーマにデンマーク高齢者福祉を研究し、世界のこと・日本のことを独りごちっています。

三つ葉のクローバーとケルト的霊性

2008-08-07 | 国際アイルランド
まだまだ、アイルランドの話が続く。

写真は、ダブリン市内で見た輪タクである。
ロンドンでも、ロッテルダムでも見たので、
流行になっているようだ。

後ろに見えるみどりのダブルデッカーは、
自由に乗り降りができる市内の循環観光バス「Hop-on Hop-off バス」である。
一般のバスも、ダブルデッカーで、英国の影響と思われる。

本日は、輪タクの話でもなく、二階建てバスの話もでもなく、
これらの色「みどり」について。

アイルランドでは、「みどり」は特別な意味を持つ。
そういえば、インフォメーションセンターにあるみやげ物は緑一色で、
天井まで積まれたみやげ物で、視界が一時的に緑に染められる程であった。
市内の乗り降り自由の観光用の「Hop-on Hop-off Bus」も緑一色。

その「みどり」は三つ葉のクローバーから来ている、という。

そして、三つ葉のクローバーは「父と、子と、精霊の御名によって、アーメン」
という「三位一体」の「三位」を示しているそうな。
と、司馬遼先生の本「アイルランド紀行I」にあった。

アイルランドにキリスト教を伝えたのは
セント・パトリックであり(385?-461)、
彼が「三位一体」の教義を教えるのに、
三つ葉のクローバーをかざして見せて
「葉は三つに分かれいるが、よく見ると1枚の葉なんだよ」と
わかりやすく、説明した。

また彼は、カソリックの絶対神とその厳格な教義を押し付けることなく、
土着のドルイド教の神々をも認めた。
このことが、土着の人々(つまり、ケルト人:註デンばあ)のキリスト教
受容を促進していった、らしい。

そして、アイルランドの土着の神々は妖精として生残ることになった
というのである。

ここまでが、司馬遼先生の本からの孫引き。
以下、私のひとりごち。

キリスト教は、その布教過程で、土着の宗教を否定し、封印してきた。
それらを悪魔や魔女にしたてて、正当化をはかってきた。

しかし、アイルランドでは、セント・パトリックという
寛容なる人物によってその教えが広められたため、
カソリックでありながらも、土着宗教と共存するという
特異な発展を遂げた。

土着の神々はかれらの幻想のなかで、「妖精」として
肯定的に行き続けたのである。

だから、自己アイデンティティは強烈にもちながらも、
周辺部理解というのか、正統からはみ出す部分への理解にも
寛容であり、困難時にも夢見がちであり、
困難な英国支配を生き延びて、寛容に、明るく独立を
勝ち取ったのではないか。(飛躍がすぎる?)

司馬遼先生は「ケルト的霊性」という。

今回のアイルランド行きの目的は、は学会出席だったため、
アイルランド人との接触は正直なところ、それほど多くなかった。

しかし、最初のアイルランド体験はパブでのバカ騒ぎであり、
トリニティカレッジでの学生のさわやかな態度であり、
大学寮内での若者の親切さであり、テンプルバーの裸男であり、
もの悲しいアイルランド民謡であり、
スタディ・ツアーで出かけた先での市役所職員の異様な明るさであり、
仕事に誇りをもって新しいチャレンジをする姿であり、、、、

「ケルト的霊性」に結びつかないかもしれないが、
デンマーク人に通じるものを多く感じ取っていた。

しまりのない内容となってしまったが、
アイルランドのキリスト教(カソリック)は、かなり特異である
ということである。

そのことは、この国にキリスト教を伝えたセント・パトリックが
寛容にも土着宗教を認めことによるものであり、
かれの教えは「三つ葉のクローバー」によって説明された。

そこで、今、
アイルランドのテーマカラーは「緑」であり、
町中に「みどり」があふているのである。

そういえば、国旗もオレンジ・白・緑。
フランスやイタリアと酷似していて、え?と思うが、
この「みどり」も、セント・パトリックから来ているのだろうか?


アイルランドの「ケルト的霊性」をよく物語るのが、
ダブリン生まれの詩人イェーツであるという。

それから、ダブリンのあるホテルで写真を見かけたが、
小泉八雲も、アイルランド人。
なっとく、である。

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