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じゅうしちのに

2005-04-20 14:53:02 | 日記・エッセイ・コラム
 IMGP0396

 七時の角笛とともに門番が門を開け、獣たちを街に導き入れる。獣たちの去ったあとには、まるで大地にできたこぶのような形に幾つかの死骸が残されていた。僕は朝日が僕の目を痛め始めるまでずっとそのこぶを眺めていた。
 壁を下り、部屋の戻ってみると、朝の光は思ったよりずっと強く僕の目を痛めてしまったようだった。目を閉じると涙がこぼれ、僕の頬とシャツを濡らした。何時間も僕は目を閉じたまま、距離感のない闇の中に浮かんでは消えていく様々な色の光をじっと見つめていた。
 老人が冷やしたタオルを僕の目にあて、熱いコーヒーを飲ませてくれた。
「朝の光はあんたが考えているよりずっと強いんだ。とくに雪の朝はね。いったい何をしに外なんて出たんだ?」
「獣たちを見に行ったんですよ。死んでやしないかと思ってね」
「どうだったね?」
「何頭か死んでました」
「これからもっと死ぬよ」
「何故そんなに簡単に死んでしまうんですか


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