yasminn

ナビゲーターは魂だ

草野 心平       雪の朝

2012-02-14 | 
まぶしい 雪のはねつかえし。

青い。

キララ子たちは はしやいで。

跳びあがつたり もぐつたりしての 鬼ごつこだ。


ああ。

まぶしい光のはねつかえし。

自分の額にも キララ子は映えり。


うれしい。


空は グーンとまえに 乗りだし。

天の天まで 見え透くやうだ。


ミラー・H・カルドウェル による祈り

2012-02-13 | 
神よ。

汝は、私が年老いていることを、 そしていつの日か本当の年寄りになることを、 私よりも よくご存知だ。

いかなる機会にも、ひとこと口出しせねばと考える、私の致命的な癖を遠ざけたまえ。

他人の煩いごとを、ことごとく正したくなる性癖から、私を解放したまえ。

思慮深く、しかし気分屋でなく、役立つが、専横でない人間たらんことを。

広大な知恵を蓄えながら、残念なことに、それを少しも使うことがなかった。



神よ。

私は最期には、ほんの一握りの友人だけが欲しい。

終わらぬディテールの独唱から、心を解き放たせたまえ。

そして要点に着地する翼を与えたまえ。

疼きや痛みが漏れる口をふさぎたまえ。

それらは増すばかりで、歳を重ねるにつれ、口にすることが甘美になるばかりだ。

代わりに、他人の痛みに耳を傾ける優美さを与えたまえ。

がまん強く、それに耐える力を与えたまえ。

時には自分が間違っていると悟る、輝かしい教訓を与えたまえ。

適度に素敵な人間であらんことを。

聖人になろうとは思わないが、他人が楽しめるような聖なる性質を与えたまえ。

人生からできるだけ長く楽しみを抽出し続けられるよう、助けたまえ。

私の人生の周りには、おかしなことがたくさんある。

みなとそれを分け合いたいのだ。






ダイヤモンド社 書籍オンラインの以下のページにあった、
http://diamond.jp/articles/-/13029?page=3
ドラッカー夫人が指針にしているという祈りです。








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ラングストン・ヒューズ 愛についての嘆き

2012-02-04 | 
わたしの子供は ぜったい、

もう 男なんて、 愛さなきゃ いいと思うの


ね、わたしの子供は、 ぜったい、

もう 男なんて、 愛さなきゃ いいと思うの


愛する ってことほど、 あんたを

傷だらけに できるものは、ないんだもの


河の方へ、降りてくところよ

泳ぎにってんでは ないの

河の方へ 降りてくの

泳ぎに ではないの



愛って、まるで、ウィスキーみたい

愛って、まるで、赤い、

赤い ぶどう酒みたい

愛って、まるで、ウィスキーみたい

甘くて、赤い ぶどう酒みたい

幸せに なろうと 思うなら、ね

しょっちゅう 愛してなきゃ、ね



わたしは、塔に、登ってくところ

木みたいに 高い 高い 塔

塔に 登ってくところ

木みたいに 高い 高い 塔

わたしの 彼氏のこと、 考えに

そいで、わたしの 阿呆らしさ

落っことしに。


木下 杢太郎 もしや草の芽が

2012-02-03 | 
美しい瓶(かめ)なりしかど、 暗い心を盛つて、

まだ少(わか)い時であつた、森の中に 埋めた。


二月の末の 幹の漏れ日に

斑(まばら)な 雪は 輝き、 そして 川の縁に、

黄にまじる 緑の草が やうやうに 頭をあげる。


草は 心は無いけれども――地の底から――

もしや その草の芽が 暗い心を

ひよつとして 人の目に 立てはせぬかと

案じた日があつた――覚えてゐる。



今日となり 同じ憂(うれひ)が

来るものか。 淡雪ふる日。