先日「鎖骨の成長、出生前減速」という新聞記事を見つけました。
興味が湧いて元ネタ検索!
(以下、京都大学のHPより抜粋)
『ヒトは頭が大きいだけでなく、肩幅も広い動物です。広い肩幅は、二足歩行を安定させたり、狩りで槍を遠投したりするために重要な特徴である一方、デメリットもあります。二足歩行に適したヒトの骨盤は小さく、産道が狭いこととあいまって、難産の原因となるのです。大きな頭や広い肩幅が原因の難産は珍しいものではなく、最悪の場合は死産に繋がります。頭では頭蓋骨を未発達で柔らかい状態に保つことで、出生に対応していることが知られています。一方、肩がどのように出生という難関をクリアしているのかは未解明でした。
(中略)
ヒトでは出生が近づくと、肩幅に直接関係する鎖骨の成長が減速し、出生後にそれを補うように加速することを発見しました。この現象はチンパンジーにはみられず、また、ヒトでも頭蓋骨や他の骨にはみられない鎖骨特有のものでした。ヒトは出生前後の特殊な成長パターンにより難産を緩和することで、「広い肩幅」と「狭い産道」という相容れない特徴を両立しているのです。いつ、どのように、肩の特殊な成長パターンが進化したのか、今後さらに詳しく検証する必要があります。』
とのこと。ふむふむ。
私たち人間の腕は、鎖骨によって体幹(胸骨)につながっています。
腕が体の前ではなく、鎖骨を通して左右にぶら下がることで、歩行や走行時のバランスがとりやすくなっているし、体幹の振りかぶる力が鎖骨(→肩甲骨)をとおして腕に伝わることで、物を遠くに投げることもできる。
ただし、鎖骨が長いと肩幅が大きくなり、二足歩行に適合して小さくなった人間の骨盤内を通過するには不利になる。
そこで、出産前に一旦鎖骨の成長を減速させ、出生後に鎖骨の成長を再加速するというユニークなパターンを人間は持っているということですね。
また、研究者の川田美風氏はプレスリリースにて「波及効果、今後の予定」として
『「広い肩幅の謎」は解明されました。では、いつ、どのように、ヒトは肩の特殊な成⻑パターンを獲得したのでしょうか?化石の形態から、広い肩幅の起源は約 350 万年前の猿人段階にまで遡ると考えられています が、これは脳の著しい大型化が起きる前のことです。我々は、特殊な成⻑パターンの獲得という点で肩が頭より先にヒト化したという仮説をたてていますが、今後さらに詳しく検証する必要があります。 』
と述べています。
肩幅が先で、脳の大型化が後。
鎖骨の長さが腕や手の使い方を変え、それが脳の発達に影響したのでしょうか?
興味深い関係性ですね。
なんだかワクワクします。
ところで、四足歩行をする犬や猫、牛や馬などは鎖骨が退化し、残存していてもほぼ機能していないか消失しているそうです。
それらの動物は後ろ脚で地面を蹴って前に進み、前足で着地します。
鎖骨は胸骨と関節を作って、腕と体幹をつなげているので、鎖骨があると着地の衝撃が、胸骨、しいては背骨にダイレクトに伝わってしまいます。
そこで、鎖骨を退化させ、筋肉などの軟部組織のみで前脚(肩甲骨)と体幹をつなげることで、着地時の衝撃を和らげている。
逆に、後ろ脚の蹴り出す力は、骨盤を通して体幹に伝わり、全身を上手く推進させるようになっているのだそうです。
【チーターの全力疾走】
脳の大きさや、鎖骨の役割、はたまた他の動物との違いなど、身体に関することを知ったり考えたりするのは本当に楽しいです。
今週は、ありがたいことにアナトミートレイン筋膜解剖「骨盤への深いダイビング」も視聴できます。
トッドガルシアの技術が見せてくれる、身体の構造の神秘の世界。
すでにこの3日間も驚きの連続でした。
視聴が許されている後数日、集中します!
【お知らせ】
- マット・ピラティストレーナー養成 「ITTピラティス研究会」参加者募集!
キネティコスコンテンツを利用したITTマットピラティストレーナー養成コースです。
まずはコンテンツにて、事前学習をしていただきます。
(コンテンツはどなたでも購入可能。)
上記二部構成で、EEのみの受講も可能です。
- 「挫折知らずの1分運動」シリーズ
どなたでもおこなっていただけます
Instagram
- 講習会情報をお送りします。
メルマガ登録はこちら。