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奥秩父や奥多摩周辺の山と花の風景を楽しんでいるデジカメ日記です

ヒカゲツツジ咲く坪山を訪ねて

2014年04月11日 | さんぽ


2014年4月11日(金) 晴れ

駐車場→八ッ田→西尾根→坪山→尾根分岐→一宮神社→駐車場

この季節になると気掛かりな山が坪山だ。花の咲く時季は大勢のハイカーで賑わう坪山は毎年敬遠していたが、今回はリフレッシュ休暇に合わせ、車で訪れることにした。この周辺の山域は電車バスを利用すれば人里離れた静かな雰囲気を楽しめる山も多く、花の咲くこの頃はまた賑やかになる。休日ともなれば上野原駅からのバスは増便され、坪山はハイカーで溢れ変える。そして、狭い山頂からもこぼれ出す程の多くの方がまた訪れるのであろう。ゆったりとした山旅は電車バスを利用するのが好みだが、どうも混雑する場所が苦手でならない。そんな訳で坪山へは足を向けることがなかった。しかし、花の咲く頃にもなれば、一度は訪れてみたい。そんな気持ちでいた。坪山だけなら単調だが、車となればいさ仕方ない。あれこれ考えたが、結局定番コースにとどめ、花を楽しむことにした。ヒカゲツツジとイワウチワは西コースと呼ばれる山道に群生しているようだ。車は一宮神社近くの道路沿いに駐車した。平日なのに十数台が停まっている。そして、身支度している方は誰もいない。既に出発している様子だった。


<道すがら>




<登山口>
八ッ田から入ればカタクリが見られるというので、橋を渡った。まず、迎えてくれたのがスイセンに桜に小さなスミレ達だ。実に春らしく、リフレッシュ休暇にしてはいいスタートだといえるだろう。そして、ワクワクしながら登山口を入ったが、お目当てのカタクリは網の中で保護されている。おまけに時季も過ぎてしまったのか、何だかしなびているものばかりだった。ガッカリして先に進む。花の多い西コースを予定にしていたが、そのことは全く忘れていた。三歩歩けば何とやらである。しかし、案内の道標には「花の多いヒカゲツツジはこちら」となる内容が注意書きしてあったので助けられた。うっかりしていれば東に入っていたかもしれない。何しろせっかちな性格だからしょうがない。



<ミツバツツジ>
バスを利用する場合、その帰りのことが頭から離れないが、車なら余裕だ。まったく気にすることなく頭の中は空っぽでいられる。ただ周りの景色を眺め、足元に咲く花を愛でればいいだけだ。そんな感じで勢いもなく、だらだらと登っていれば、ミツバツツジに目を奪われた。焦ることもなく、ゆったりと流れる時間に春の香りを感じる。まさに春うららだ。




<ヒカゲツツジ>
今日の目的のイワウチワとヒカゲツツジが出てきた。ここも親切に注意書きが設置されていた。「ここからイワウチワの群生」となる小さな立札が足元にある。辺りをキョロキョロすれば、しなびたイワウチワが数本、それを見て、またちょっとがっかりする。奥多摩の鉄五郎新道に咲くイワウチワと比較してしまった。そんな訳で落胆しながら更に先へ進んだ。すると、期待通りのヒカゲツツジにイワウチワが次々に現れてきた。時間を忘れて目が釘付けである。そんな静かな時を過ごしていれば、下から数名の方達がやって来た。それも連続でだ。次々に抜かされてしまい、嵐が過ぎ去る感じだった。再び気を取り戻して自分の世界へ。考えてみればバスで来られた方達だった。これほど鈍足になってしまう程、ヒカゲツツジとイワウチワが咲き乱れていた。


<イワウチワ>








<坪山>
「あれ?、もう山頂?」、こんな感覚で坪山の山頂に到着する。まだお昼ご飯には早いが、ここで食べなければご飯を食べる機会もないだろうと簡単に済ませた。コーヒーもラーメンもなし、おにぎり二つでお昼ご飯とした。山頂からの展望はすこぶるいいとは言えないが、お隣の笹尾根は目の前にしっかりと見渡せる。それに雲取と飛龍山が眺められるので、奥多摩らしい感覚を得ることができた。それほど広くない山頂なので、早々に退散するとしよう。時間があれば大寺山から尾名手尾根を回って下山することも視野に入れたが、今日は止めておく。


<奈良倉山、鶴峠、飛龍山、雲取山>


<三頭山、大沢山>


<奈良倉山、大菩薩>



<下山途中から>
このコースの定番はびりゅう館へ下山するのが順当だが、途中で黄色いテープに誘われ、直接一宮神社へ下る尾根に入った。入口からしっかりとテーピングされ、迷うこともなかった。尾根の末端に近づくと岩場が現れ、少々戸惑う場面もあったが、全般的にみて尾根を忠実に下れば問題はない。それにこの尾根は踏み跡こそ少ないが、再びヒカゲツツジに出合えるのが嬉しい。そして、全く考えていなかったカタクリが生き生きと咲いていた。そんな可憐な姿を目にすることができる、おまけ付の尾根である。


<再びヒカゲツツジ>



<ひっそりと咲くカタクリ>



<ニリンソウ>
途中から思いがけないショートカットで下山して来たが、駐車した場所からほんの数十m離れた一宮神社前に降り立った。びりゅう館まで行ってしまうと車が往来する道路を歩かなければならず、意外な発見で得した気分に浸る。花もあり、静かな尾根を選んで良かったと思える下山だった。朝は甲武トンネルを抜けて来たが、帰りは小菅村から奥多摩湖畔の桜を見ながら帰った。今日は色とりどりの花に出合え、やっと肌で感じることができた春だった。

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