本日の沖縄タイムスに「復帰の日正答率22%」とある。沖縄歴史教育研究会が5年ごとに実施している調査だという。正解22%とは低すぎる。もっとも高校2年生というから16,17歳だ。2005年、6年生まれだから、無理からぬ。時は冷厳に刻まれているのだ。
一方で、沖縄の歴史・文化を学ぶことを「とても重要」38%、「重要」41%、「余り必要でない」7%、「必要でない」2%、「分からない」11%とあり、総じて重要だと答えた人が79%と多かった。「分からない」が11%と少ないのも意外だ。「5・15」問題と後者は深いところで繋がっているはずなのに、こうした乖離が見られるのは残念だ。「5・15」問題は「沖縄の歴史・文化」のひとつの帰結であるはずだが、歴史と言えば「琉球王国」というイメージでは、飛ばしすぎだろう。
現在の沖縄問題と言えば、環境問題を挙げた人が16%、基地問題が39%、経済問題が26%、福祉問題が8%、分からないが9%、その他3%だという。依然として基地問題が高いが、経済問題への関心が高まり、基地問題は低下気味だという。こうした結果も、大人のここ数年の選挙結果でも露骨にでており、大人の意識を反映しているのではないか。
「足下の歴史学習が必要」だと新城俊昭沖縄大学客員教授が述べている。確かにその通りだし、「(基地問題に)賛成・反対の意見を出し問題の本質に向き合うことが大切」だろう。高校生の足下にあることであり、だからこそ、引いてしまうのだろう。足下にあり、生まれる遙か前からあることなのだ。そこに向き合うのは、簡単ではない。考える場と、着想がなければ、よほどの衝撃的事態にぶつからなければ、「人ごとにしておきたい」のだろう。
また「復帰」というが、これは何のことだろう。「元の場所、地位、状態などに戻ること」(広辞苑)とある。ただ歴史は動いている。厳密に言えば、沖縄も、日本国も、元の地位、状態なども変わっている。1945年6月22日、1945年9月7日、1947年5月3日、1952年4月28日、1972年5月15日、そして今日。単純ではない。
何が変わったかと言えば、この国の、日本国憲法との向き合い方が変わり、日米安保体制の実体が変わり、「武力行使」を是としたい人たちが権力を握っているのだ。少なからぬ有権者がそうした人たちを選び続けている。それは沖縄の高校生の責任ではない。日本国の大人の責任だ。
私たちは自分の足元から考え始めよう。自分史を大切にしながら、様々な物事を横断的に、立体的に考えたい。