ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

沖縄のコロナ禍、米軍発のコロナ禍(20220118)

2022年01月19日 | 米日地位協定-事件事故

 沖縄のコロナ禍が止まらない。16日の新たな感染者は、1226人、この1週間(15日まで)の10万人当たり671.53人と全国一位だ。不名誉なことだ。1月15日の沖縄タイムスに「在沖米軍 感染桁違いー直近一週間10万人あたり6011人」とある。沖縄県の約9倍という驚くべき高さだ。

 もっともこの試算は、正確さに欠ける。分母が不正確だ。2011年6月の在沖米軍(軍属・家族を含む)を使った試算だからだ。だがこれは、沖縄タイムスが適当なのではない。米軍が2011年7月以降、非公開にしているからだ。公表されなくなって、早10年が経つ。こういう問題はあるのだが、相対として在沖米軍の感染者がめちゃ高いことは間違いあるまい。

 先日、日米合同委員会が出した「新型コロナウイルス感染症の拡大に対処するための措置に関する日米合同委員会声明」(2022年1月9日)を私は批判した。

【拡散願います】【補正】コロナ禍の沖縄の恨み節(20220115) - ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

 本稿は、これを受けて、何故米軍のコロナ禍が沖縄県民に大きく影響しているのかを明らかにし、併せて、軍隊はコロナウイルスに何故甘くなるのかを検討する。

 在沖米軍の人数は、残念ながら2011年6月時点までしか明らかにされていない。だから私はこれを参考値として書いておく。(「沖縄の米軍基地」沖縄県知事公室基地対策課 2018年12月刊)

陸 軍ー軍人:1547人・軍属:326人・家族:1855人 計:3728人。

海 軍ー軍人:2159人・軍属:1139人・家族:2086人・計:5384人。

空 軍ー軍人:6772人・軍属:437人・家族:7396人・計:14605人。

海兵隊ー軍人:15365人・軍属:92人・家族:8126人・計:23583人。

計  ー軍人:25843人・軍属:1994人・家族:19463人・計47300人。

 これだけの人数(概数)が沖縄島にいたわけだ。米軍人等(軍人・軍属・家族を含む)がいても、彼等は沖縄県民等と別に活動し、暮らしているならば、米軍発のコロナ禍が起きることはないはずだ。そもそも隔離されているとすれば。

 しかしご承知の通り、彼等の移動はフリーパスだ。基地内から外の演習場へ、基地内から繁華街・浜辺・売店・各種ボランティア(英語の先生など)・学校(これはスクールバスの移動だが、バス停までの移動はある)などなどへ。日本国内の勤務地等の移動の際は、国内線にのってのこともある。現にあった。

 また、軍人等の住居も、基地外に「マイホーム」を借りている米軍人等は多いのだ。この人数・所在地は全く明らかにされていない。

 そして基地内には日本人従業員がいる。先に示した「沖縄の米軍基地」にある基地ごとの従業員数を足し上げると、海兵隊:4699人、空軍:2986人、海軍:200人、陸軍:544人となり、計8429人となる。この数もあくまでも参考値でしかない。他に基地毎にカウントされていない人たちも少なからずいるだろう。これだけの人たちが米軍基地の機能維持のために米兵等と接触しながら働いているのだ。また、だから日本人従業員の家族も、米軍由来のコロナ禍に巻き込まれていることは、間違いあるまい。

 さらに基地への出入り業者も多数あり、米兵等と接することも少なくないだろう。無論、新基地建設等様々な基地関連の工事業者もゲート通過時を初め、米兵と接点をもたざるをえないこともあるだろう。

 そしてなによりも国内外への出入りが自由となっている。日米地位協定によって、米国軍人等は基本的に日本国の入国審査、税関、検疫フリーとされている。

 彼等の国外からの移動は、米軍機による場合もあるだろうが、パトリオット・エクスプレスの名で知られているように米軍が民間機をチャーターしての事も多いのだ。両者ともに嘉手納基地におりることになり、国内のチェックは全く不可能だ。さらに船で軍事物資・軍用車両等の移動に伴っての出入りも少なくない。この場合は、那覇軍港(那覇市)かホワイトビーチ着となる。私が見てきた限り、沖縄の観光バスをチャータ-していた。航空機であれ、船であれ、バス移動でそれぞれの基地に配送されているようだ。米軍が1月10日から行っているはずの検査もおのおのの基地到着後だろう。例えば、嘉手納で一括管理・隔離などできないだろうからだ。

 沖縄県の調べでは(2022年1月16日調べ)、21年12月15日から在沖米軍基地での新型コロナウイルスの感染者は、総計4808人となっている。基地別に見ると、キャンプ・ハンセン(金武町・名護市・恩納村・宜野座村):1237人。嘉手納基地(沖縄市・嘉手納町・北谷町・那覇市):854人、キャンプ・ズケラン(宜野湾市・沖縄市・うるま市・北谷町・北中城村):621人、普天間飛行場(宜野湾市):358人、キャンプ・キンザ-(浦添市):294人、キャンプ・コートニー(うるま市):168人、トリイ通信施設(読谷村):113人、キャンプ・シュワブ(名護市・宜野座村):79人、ホワイトビーチ(うるま市):20人、その他:5人、確認中・不明:1059人だそうだ。(市町村)内は所在地域だ。

 また、県内感染者数(1月16日現在)は、那覇市:287人、名護市:59人、うるま市:93人、沖縄市:175人、宜野湾市:78人、浦添市:101人、豊見城市:46人、南城市:33人、糸満市:53人、宮古島市:48人、石垣市:21人、町村部は、北部:13人、中部:145人、南部:70,宮古島:0,八重山:0となっている。

 今こうした数をあげても、相互の関連性を浮上させるのは難しいだろう。ただ昨年12月のキャンプ・ハンセンでの急増期に、基地従業員4名が陽性だと分かったことが知られている。細かい経路を追わなければならないが、基地内のことだから、保健所は基地内に入れない。陽性となった本人から聞き出すことも、基地内の動きを知ることは難しく、米軍当局の協力がなければ、詳細を追うことは難しいのだ。とあたふたしているうちに、どんどん増えていけば、基地内外で拡散されてしまい、正確な情報を追えないままとなろう。

 それを沖縄の体勢がなっていないなどと言われたくないものだ。基地従業員のことは沖縄防衛局が責任をもって、沖縄県に協力すべきだが、そんな話は全く聞こえてこない。

 以下、地位協定について関連項目を簡潔に記す。

①第3条ー「基地内の合衆国の管理権」ー米軍の排他的管理権が認められている。だから基地内でのPCR検査などをやるかなども全部米軍の決定任せ。外出禁止などの措置も。

②第5条ー「受け入れ国内における移動の自由、公の船舶、航空機の出入国、基地への出入権」

③第9条ー「軍隊構成員などの出入国」-「2 合衆国軍隊の構成員は、旅券および査証に関する日本国の法令の適用から除外される。(中略ー軍人等は)外国人の登録および管理に関する日本国の法令の適用から除外される。(後略)」こうして勝手に直接基地に入れば、検疫も不可能。

 ということです。

 私たちが考え抜かなければならないことは、何故こうしたことが、戦後77年間続いているかです。1945年4月に沖縄が米軍に占領され始め、1952年4月28日日本国の独立時に沖縄等が日本国から分離され、米国に施政権をもっていかれた。このときに旧安保条約と行政協定が結ばれ、60年安保で、地位協定に変わった。沖縄は1972年5月15日、日本国に返還されたが、米国べったりの日本国によって、沖縄県に編入された。沖縄(県)にとって、漸く日本国憲法や地方自治が適用されるはずだったが、従前のまま米国の特権(軍事利用)が維持されていった。それが日米地位協定の裏マニュアル(「日米地位協定の考え方」外務省ー琉球新報社が2004年に暴露)ができたわけだ。(「本当は憲法よりも大切な『日米地位協定入門』」前泊博盛著 2013年 創元社刊)

 ということで地位協定は条文を読んだだけでは分からない奥があるということ。私が米日地位協定というのはそういう意味です。

 

【軍隊は何故、感染症に弱いのか?】簡単にまとめておく。

①上位下達の指示系統ー命令に従うことが、軍務の日常であり、個人の体調などを気づきにくい身体と意識がつくられている。お互いに、本音を言いにくい。だから上司への申告が遅れ、蔓延してしまう。

②部隊行動ー号令一下の動きであり、大声を出す。装甲車、航空機、艦船等密閉空間に押し込まれる。

③居住環境も将校などを別にして、プライベートルームは限られている。

④こうした反動で、公務外の遊びは、集団をなし、気勢を上げたり、騒がしくなりがち。軍隊(幹部)が規律を強化すればするほど、悪循環に陥りやすい。

 だから、私は「兵隊個々人が馬鹿」ではすまないと考えている。軍隊という組織の問題を抜きに解決できないのだ。

 



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