ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

普天間第2小学校でPFASだとー空も陸も危険だということ(20220906)

2022年09月06日 | 米日地位協定-事件事故

(1)普天間第2小学校校庭が汚染

 本日(20220906)の沖縄タイムスによれば、普天間第2小学校で有機フッ素化合物PFAS等が検出されたと出ている。校内土壌が米国基準値の29倍とか。それも行政が動かないから住民団体(宜野湾ちゅら水会)が県環境科学センターに依頼し、8月15日に実施。9月5日公表。

 私は化学研究にうといので言及しがたい。そこで私の問題意識を示したい。普天間第2小学校は宜野湾市新城2丁目にある。普天間基地の北東の端。普天間基地のフェンスと接している。滑走路の先端先であり、騒音は日常であり、ヘリの窓枠を校庭におとされたこともあり。しかし何故ここにPFAS等の化学物質がでたのか? 

 今回の調査地点は、①一番東側のブランコの下(幼稚園と接する)、➁グラウンド西端のバックネット裏、③グランド北西に位置する学校裏門脇。値は③-➁-①の順で高かった。

 滑走路面は標高約70m。この学校付近は約60m。つまり普天間基地より低い。水は高いところから低いところに流れる。普天間基地はこのあたりで一番高みに(360度)位置している。つまりどこにでも(360度)流出可能なのだ。普天間第2小あたりは、滑走路端であり、駐機場・格納庫・航空燃料タンク・消火設備とも遠い。常識的に考えれば、なぜここにまで流れ出たのか、不思議だ。

 排水路が未整備だったという。それで改修したとも聞く。雨水・汚水を含めて排水路はどうなっているのか。沖縄防衛局は、沖縄県と宜野湾市は把握しているのだろうか。私が言うことは基本の基であり、これまでも何度も述べてきた。基地内で完結すべし。周辺にまきちらすなだ。PFAS等は消火剤に含まれており、どこにおいても使うものではあるまい。航空燃料を含む火事への防火資材・設備のはずだ。

 ぐるっと滑走路と駐機場、格納庫などを覆う別の排水溝をつくり、基地内で化学処理できなければなるまい。発がん性の高いものであれ、低いものであれ基本は同じだ。この原則を何故守れないのか?!

(2)日米地位協定第3条が壁となっている

 ここで化学問題が日米地位協定の問題と接続する。第3条[基地内の合衆国の管理権]「1 合衆国は、基地内において、それらの設定、運営、警護および管理のため必要な措置をとることができる」(「2]は略)「3 合衆国軍隊が使用している基地における作業は、公共の安全に妥当な考慮を払って行わなければならない」とあり「米軍の排他的管理権」が認められているからだ。

 外務省が作成している機密文書「日米地位協定の考え方 増補版」(1983年12月作成)(琉球新報社編、2004年刊行)に驚くべき事が書かれている。第3条の解説の3に「地位協定に特別な定めがある場合を除き、一般国際法上我が国の法令の適用がなく、従って米軍の軍隊としての活動が施設・区域外で無制限に行われれば我が国の社会秩序に大きな影響が与えられる事が予想されるので、米軍の軍隊としての活動は右のごとき特別の法的地位を有する施設区域内に限られるべきである」という。

 外務省は、基本的に米軍の活動はご自由に(「一般国際法上我が国の法令の適用がなく」)と認めてしまっているのだ。だからせいぜい基地の中でと言っているだけで、そこから基地外にしみ出してくるものについても黙殺する事が読み取れる。また「4」で「租借地」ではないと弁明している。「租借地は、租借国の領土と実質的に同じ法的性格をもち、租貸国の施政は全面的に排除されるが、施設・区域には属地的にはわが国の法令が全面的に適用される」という。要するに前者(租借地)は全面的に使う側が管理するが、後者(地位協定上の施設・区域)は「属地的には我が国の法令が適用される」と言うのだ。しかし「5 施設・区域には属地的には我が国の法令が全面的には適用されるが、施設・区域は前期3のような観点から米軍(施設・区域の内外を問わず原則として我が国の国内法令の適用を受けないという特殊な法的地位を有する)に使用を許している場所であることから、施設・区域内における法令の執行という面において制約が存する(中略)従って地位協定は、前記のような施設・区域に対する国内法の属地的な適用を前提としつつも、米軍に対しては施設・区域の管理権を認め、法令の現実の執行は、かかる米軍の管理権を侵害しない形で行うこととされている。/右は施設・区域内における米軍の活動がまったく自由であるということでは決してなく、我が国の公共の安全等に関連ある限り米軍が我が国の法令を尊重することは一般国際法上米側の義務であると考えられる」。

 非常にわかりにくい弁明だが、日本国は米国に基地(施設・区域)を提供する、その際は「ご自由にお使いください」と言っていることに等しく、属国としての本音が露出している。

 わかりやすくいえば、この国は、米軍が消火剤を川に海に、土にまき散らしても、知らんぷり、自己処理施設がなくてもしらんぷり、「あれお宅にPFASでてましたか?」だ。私が「米日地位協定」だと主張してきた通りの解釈をやっているのだ。だから、私たちはこの国がお得意な「グレイゾーン」(基地の周縁部)にも日本法令を適用させ、同時にPFAS等の国基準を作らせなければならないのだ。

(3)普天間基地の360度からPFAS等の調査を行おう

 この国の頑迷なあり方を変えるのは、簡単でなさそうだ。しかしこのまま見過ごしていたら、沖縄の陸・海・空は、市民は様々な形で浸食されていく。普天間基地周囲を360度からPFASの土壌と水質の調査を行い、基地内の核心部に迫っていこう。どこがどうなっており、外に漏れてくるのか、ここがわからなくては、根本的な解決に至らない。米軍が基地内調査を阻もうが、周辺部から調査し、追い詰めない限り、何も変わるまい。主権者は米軍ではない、沖縄の住民・市民だと声を上げ続ける以外にないだろう。諦めずに。

 

 



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