ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【拡散ください】岸田首相の3度目の所信表明演説を読む(20220119)

2022年01月19日 | 暮らしと政治

 2022年1月17日、通常国会が始まり、岸田首相の所信表明演説が行われた。早速読ませて頂いたが、ごまかし、科学技術の振興、管理強化、そして守りの姿勢が顕著だ。修正するといっていることにも裏があり、よほど気をつけて読まなくては、流されてしまう。

 「一 はじめに」で、新型コロナの対応を強調している。「決断と責任」「信頼と共感」等の言葉を用いながら、イメージアップを図っているだけだ。これまでの自公政権の何が間違っていたのか、ここに切り込まない政治姿勢のままでは、私たち市民を今後も裏切り続けていくだろう。

 大きな項目は9個。「二 新型コロナ対応」、「三 当たらしい資本主義」、「四 気候変動問題への対応」、「五 全ての人が生きがいを感じられる社会へ」、「六 地域活性化」、「七 災害対策」、「八 外交・安全保障」、「九 憲法改正」の8項目だ。

 総論的な項目は、二と三。四、五、六、七は、掲げました状態。八と九は、目だたぬように後ろに配置した。私は沖縄から考えたいので、総論的なことは外したいが、一言申し添える。「三 新しい資本主義」だが、「市場に依存しすぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大」などと新自由主義を修正しますと言いながら、消費税の拡大などの政策の反省は一言もない。あたかも自公政権のあずかりしらぬところで、こうなってしまったといわんばかりだ。

 一方で、「単なる規制緩和でなく、新しいルールを作ることで、地域社会に新たなサービスを生み出す」、マイナンバーカードで便利になる、中間層を維持する、と語る反面、民営化の促進も明言している。デジタル技術などの科学技術の拡大で、今日の危機を突破できるとの過信は揺らいでいないのだ。気候変動も生きがいづくりも、地域活性化もその程度の認識で行うといっているようだ。

 何故かと言えば、岸田首相が見ている視線は財界を向いているからだ。財界の利益のために全ての政治を組み立てている。気候変動の項目に「革新原子力、核融合など非炭素電源」などと原発推進も忘れていない。2011年3月11日からの核被害のことを忘れようとしているからできることだ。

 「五 全ての人が生きがいを感じる社会へ」はわずか48行。「新しい資本主義を支える基盤」としての生きがい対策だ。女性、孤独・孤立、少子化対策・子ども政策、消費者をあげているが、いずれも原因への言及がない。政治的社会的なこととしてではなく、個人へのサポート。だが「子ども家庭庁」の創設は、「教育・福祉・家庭を通じた子どもデータ連携」などと人格としての子どもの発展にではなく、こどもの徹底的な管理強化にあるようだ。それが「新しい資本主義を支える基盤」だから、か。

 なお、持続可能を考える政権にとって、今や最大の問題であるべき「少子化対策」は「不妊治療の範囲を拡大し」のひとことのみ。そんな話じゃないだろう。労働力の再生産しか考えない近視眼的な発想がここに至ったことを大胆に見直すべきだろう。

 「六 地域活性化」は41行。ここでも同様だ。何故地域がズタズタにされ形骸化され、つぶれてきたのか。都市と農村の分断がますます多重に細分化されている現実が置き去りにされている。だから「農林水産業の輸出の促進」が冒頭にでてくる。巧くいっているところをより巧くいくようにやる。つまり農林水産業間の「弱肉強食」を加速する結果となるだろう。

 自然の力を学びながら、育みながら、生き直すという発想は、経済成長一本槍だった頃から、今日まで一貫してこの国では、無視されてきた。科学技術万能主義。その足下を見なおさなければ、人間の身体と心を傷つけ続けていくだろう。

 

 さて、沖縄問題を検討する。3カ所で沖縄に触れている。①「二 新型コロナ対応」の最後、②「六 地域活性化」の最後、③「八 外交・安全保障」の最後だ。

 まず①だが「新型コロナ対応」の最後のパラグラフにこうある。「米国は、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間外出を禁止するなど在日米軍の拡大防止措置を発表しました」(1月9日)と嬉々として語っている。それも秘密会である日米合同委員会に封じ込めながらだ。遅れても何しても米軍様々のこの国の姿勢は一歩も変わっていない。

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②「六 地域活性化」の最後にこうある。「本年は沖縄の復帰50年です。この節目の年に、復帰の歴史的意義を想起し、沖縄の歴史に思いを致します。強い沖縄経済を作るための取り組みを進めます」だ。これだけなのが、不思議であると同時に露骨。「復帰の歴史的意義」とはなんのことだろう。米国の占領・統治に変わって、日本国が代官様になったことか? 沖縄の歴史を想起するとき、「復帰」に至る経緯を振り返るとき、沖縄戦を外すことはできないが、何を反省しているのか? そして「強い沖縄経済を作るための取り組み」と来るから、笑止千万だ。首相が言う「強い沖縄経済」とは何か? 基地の島と同居する、基地の島を支える沖縄経済か。そのことは2022年度の沖縄振興対策費(前年比600億円削減)に明示されてしまっている。

 沖縄の自律的な強い経済のためには、基地の削減、基地撤去しかないはずだ。新基地建設などもってのほかだ。渡具知武豊(自公推せん)候補が主張する鉄軌道の敷設も、基地撤去するしか不可能だ。地下鉄でしょうかね。

③長々と語られている「八 外交・安全保障」。「新時代リアリズム外交」「普遍的価値の重視」「『自由で開かれたインド太平洋』の推進」「近隣外交」「地球規模課題の取り組み」「国民の命と暮らしを守る取り組み」と項目が並ぶ。最後に(何でも最後か!)「日米同盟の抑止力を維持しながら、沖縄の皆さんに寄り添い、基地負担軽減に引き続き取り組みます。普天間飛行場の1日も早い全面返還をめざし、辺野古への移設工事を進めます」とくる。前例踏襲だな。

 ここで私は長々と書こうとは思わない(既に別項で書いてきた)。米国の力で押しまくる体勢を強化しての「(対中)新時代リアリズム外交」を基調としながら、米国の配下での軍事力増強、敵基地攻撃能力、「島嶼防衛」、宇宙戦争・サイバー戦争など琉球諸島の陸と海と空と宇宙を戦域にしていく破滅的な政治・軍事が何故、沖縄の負担軽減になるのか、政権が言う「沖縄に寄り添う」とは、「軍事力と共に生きよ(死ね)」ということに他ならない。

 普天間基地(2800mの滑走路)の辺野古(1600mの滑走路が計画)への移設はありえない。もとより不可能なことなのだ。滑走路の長さが足りないからだ。そのうえ、軟弱地盤が広がる(詳細は下記参照)。

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 私たちは欺されてはならない。私たちが歩むべく進路は不戦外交しかない。米国の駒として、敵前にあるから、歴史的にやむを得ないからと、「『自由で開かれたインド・太平洋』の推進」と、いつまで軍事的に刃(ミサイル等)を中国に対して向けるのか。その最前線に位置づけられているのが沖縄島・琉球諸島だ。愚策から脱却するのは、今だ。これ以上遅れたら完全に手遅れになる。

 無論私は、親中派ではない。はっきりと言っておく。チベットでは中国による弾圧を垣間見たし、香港での民主化弾圧のすさまじさ、軍事的にも東シナ海・南シナ海での強化など、軍事的緊張をたかめていることも承知している。馬鹿げた争いを捨て、コロナ対策や環境問題など人間が生き延びるための努力を進めるしかないはずだ。お互いに、お金も知恵も藻屑にできる余裕はないだろう。どこの国も、軍事に使うお金を、市民が生き延びるために使うべきだ。

 それでも憲法改正だと叫ぶことは、虚しくならないのだろうか? 冷静に自己を問うていただきたい。

 

 



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